三周ヶ岳(1292.0m)三国岳(1209m)

 

★ひとこと   「夜叉ヶ池から三周ヶ岳を経て猛烈な薮漕ぎで三国岳へ」

P1206付近から三周ヶ岳を望む(左中央)

★行った日   2006年9月2日(土)  晴一時曇  単独

★コース

高槻5:02(名神)=米原IC(R8、R365、県道)→7:52岩谷川コース登山口8:00→トチの大木8:30→9:43夜叉ヶ池9:48→ピーク10:23→11:00(1292.0m)三周ヶ岳11:14→ピーク11:45→12:12夜叉ヶ池12:16→P1206 12:52→13:39(1209m)三国岳13:50→P1206 14:42→夜叉ヶ池15:15→15:56トチの大木16:04→16:26岩谷川コース登山口16:32(県道、R365)=いまじょう365やすらぎのゆ17:30(R365、R476、R8、R161、名神)=高槻20:12

 9月に入ってやっと朝晩涼しくなってきたので近畿百名山で唯一残っていた三国岳へでかけた。名神の早朝割引利用のため米原ICから一般道を利用し、北国街道で今庄を経て駐車場手前の1キロほどだけが未舗装の林道で岩谷川コース登山口着だ。カツラの大木が茂ったトイレや水場もある立派な駐車場だ。今年は昨年の豪雪被害のため、夜叉ヶ池登山口に通じている林道が岐阜県側、福井県側とも開通が大幅に遅れたが被害箇所が判らないほど復旧されていた。
 すでに2台先着しており、登山準備中の方々に挨拶を交わして登山開始だ。最初、樹林の中の急坂が過ぎると岩谷川を足下に見て、左岸沿いに山の中腹をたどるなだらかな道が続く。30分も進むと左下前方に2段の夜叉ヶ滝が現れる。滝壺へ下る道はなさそうだ。滝の上流で右岸へ渡りすぐ左岸へ戻ると森の巨人百選に選ばれた2本のトチの大木がある。さすがに貫禄のある樹形だ。すぐ隣に最終の水場でもある支沢があり、ここからしんどい急坂が続く。しばらく九十九折れの道で急坂を登ると支尾根の尾にでて、この尾根伝いにどこまでも登る。殆ど視界のきかない樹林帯の道ばかりなので黙々と汗をふり絞るのみだ。道が水平になると低木帯になって空が明るくなり木道が現れてすぐに夜叉ヶ池だ。陽光に照らされた明るい池なので、泉鏡花の夜叉ヶ池を想わせる神秘的な感じはない。池の右側の木道を通って稜線の鞍部に出ると視界が開け、足下に岐阜県側の池の又谷が伸び、左に三周ヶ岳へ登る道、右に三国岳へ登る道などがある。後述するが今朝このすぐ近くで転落死亡事故が発生した模様だったが、何も騒がしい雰囲気はなかった。
 左の急坂を登ると三周ヶ岳の道標がありトラロープに沿って進み、尾根伝いにちょっとした薮漕ぎをしつつ緩やかに登る。一昨年岐阜県側から来た時にはトラロープがなくてそのまま直進してブッシュに突っ込んでしまったようだ。岐阜県側下部が夜叉壁の絶壁になっている辺りの岩稜を2度右へ巻いて県境尾根を登る。この稜線から岐阜県側の池の又谷登山口駐車場が足下に見えている。鳥帽子山へ続く稜線が右へ分かれているピークがP1252だ。ここから稜線を少し進むとやっと三周ヶ岳頂上が見え、勇気百倍して薮を漕ぎながら登りついた先が低落葉樹にかこまれた7、8メートル位の1等三角点のある空間だ。山頂からの見通しはあまり良くなかったが、東北には能郷白山、西南には今まで歩いて来た稜線とその先にこれから行く三国岳が連なっていた。


  (登山口の夜叉ヶ池石碑)     (岩谷川左岸を行く)      (足下に見える夜叉ヶ滝)

  (滝上流で川を渡る)     (森の巨人百選のトチの大木)   (500メートル毎の標識)

    (支尾根を登る)     (三周ヶ岳への急坂から夜叉ヶ池)   (県境尾根を進む)

  (岐阜県側の池の又谷)     (P1252めざして薮漕ぎ)    (P1252から振り返る)

     (稜線を薮漕ぎ)      (池の又谷コース駐車場)     (やっと見えた三周ヶ岳)

              (三周ヶ岳山頂から東北〜東南〜西南の展望)

 夜叉ヶ池まで戻り夜叉ヶ池山への急坂を登る。夜叉ヶ池山から先は相当な薮漕ぎをしながらP1206に到着。ここから三国岳山頂までが殺人的な薮漕ぎだ。地面には道の空間があるので何とか進めるが、僕の身長180センチを越える笹が密集し、下りは体重をかけて何とか進めるが、上り坂はタオルで頬被りして顔を隠して両手で笹を払いのけながら進む難行苦行だ。おまけに暑いので水をかぶったような汗びっしょりだ。こんな時、他に誰も居ないと時計を気にしながら不安が増してきて、途中引き返しも考えながら、やっと三国岳山頂に近付いた時、生きものの気配を感じて「熊では」とギョッとした。何とブッシュの中の空間に女性半数を含む10人ばかりの登山者が宴会中だった。リーダーの方の話では福井山岳会と福井新聞で募集した登山の方々だった。あまり山なれたとは思われない女性の方々がようもすさまじい薮漕ぎをして三国岳まで登ってこられたものと感心した次第。美顔に引っ掻き傷を作らないように祈るばかりだ。折角登りついた三国岳山頂は笹薮に囲まれた古い板切れ1枚の小空間だった。
 下山時、先程のグループから焼き鳥をご馳走になってから、今度は1人ではないという安心感もあって勇気百倍して薮漕ぎに精を出して下山した。登山口駐車場には2台の車が残っており、そのうちの1台は朝に挨拶を交わした車で、三国岳山頂で逢った方々だとやっと気付いた次第。R365の途中で「いまじょう365やすらぎ」で汗を流し、R476で敦賀経由、琵琶湖の西岸を通って一般道で帰阪した。
 9月に入ったとはいえ低山はまだまだ暑すぎることを実感し、3Lの水でも不足した山行だった。9月4日朝日新聞(朝刊13版の30面)によれば、京都の70歳女性が三国岳で転落死が報じられた。2日朝、日本山岳会京都支部の会員8人と日帰り予定で岐阜県揖斐川町から入山後、福井県南越町の夜叉ヶ池に向かう途中、足を踏み外し70メートル下の岩場に落ち頭蓋骨折で死亡とのことだった。ご冥福を祈ります。たしかに岐阜県側ルートの夜叉壁横にはザイルを張った岩場があり登山者の細心の注意が望まれる。


    (三周ヶ岳三角点)        (夜叉ヶ池山登り口)        (夜叉壁を振り返る)

  (夜叉ヶ池山を薮漕ぎ)     (P1206に向かって進む)      (稜線から三国岳)

      (P1206)          (三国岳へ向かう稜線)       (深い薮漕ぎの連続)

 
                   (P1206付近から北〜東を望む)
 
 
 
 
 
 

  

  (何もない三国岳山頂)      (吸込まれそうな瞳)     (登山口の夜叉龍神社鳥居)

 
★道端の花

  ヤマゼリ(トチ大木)       オオカサモチ(トチ大木)    オオアキギリ(池まで1.5km)
 
  ミズヒキ(池まで1.5km)     クルマバハグマ(池まで1km) コガクウツギ?(池まで0.5km)
 
     ?(三周ヶ岳稜線)        ?(三周ヶ岳稜線)    アキノタムラソウ(三周ヶ岳稜線)
 
 クルマバハグマ(池まで1km)   ツリフネソウ(池まで2km)    ヤマホトギス(池まで2km)

★ルート断面図

★地  図(GPS軌跡)

(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・2万5千分の1地形図  広野、美濃川上

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