雨乞岳(1238.0m)イハイガ岳(964.1m)綿向山(1110m)

 

★ひとこと   「荒れた稲ヶ谷から雨乞岳を経て絶景の稜線漫歩で綿向山へ」

南雨乞岳から清水頭(左手前)綿向山(中央)を望む

★行った日   2008年4月4日(金)  晴  Kさんと2人(Kさんのレポート
        
★コース

高槻4:44(名神、新名神、東名阪)=甲賀土山IC(県道)=6:19西明寺登山口駐車場7:05(県道、R477)=ゲート前駐車場7:30→稲ヶ谷登山口7:48→支尾根終端8:21→10:15(1207m)南雨乞岳10:35→10:50(1238.0m)雨乞岳11:02→南雨乞岳11:15→11:37(1095m)清水頭11:49→P1014 12:04→12:49大峠13:01→(964.1m)イハイガ岳13:40→竜王山分岐14:28→14:38(1110m)綿向山14:50→欽明水15:04→水無山分岐15:08→七合目(行者コバ)15:16→五合目小屋15:27→ヒミズ谷登山口16:01→西明寺登山口駐車場16:23(県道、R477)=16:47ゲート前駐車場16:53(R477、R1)=甲賀土山IC(新名神、名神)=高槻18:30

 1年越し懸案の雨乞岳・綿向山縦走だ。Kさんとお互いに都合が合わなかったり予定日の天候が悪かったりと伸び伸びになっていたが、絶好の好天に恵まれていよいよ実行だ。綿向山登山口に1台デポし、武平峠から雨乞岳へ登るつもりだったが、R477が閉鎖中のため稲ヶ谷から雨乞岳へ登ることにした。快適な新名神を利用して早目に西明寺駐車場に着き、いつも明るいKさんと挨拶を交わして、鈴鹿スカイライン閉鎖ゲート手前の駐車場へ移動した。
 閉鎖ゲートから約1キロ舗装道路を進み、稲ヶ谷橋手前の登山口からいよいよ登山開始だ。谷に入るとすぐに渡渉して荒れた沢を進む。いたる所で崩れた崖を巻いたり、赤テープを頼りに渡渉を繰り返しながら岩を乗越えて進むと前方の岩と木の間にかすかに滝が見えてくる。登山口の表示にあった水木谷の滝らしい。沢の右岸の意外にしっかりした道で滝を高巻き、古いロープを避けて岩や木の根を掴んで急坂を登ると、支尾根終端の平地だ。杉林をなだらかに登ると、右へ下る踏み跡を分け、尾根を直進する。後で判ったことだが、直進ルートは南雨乞岳へ直接登る尾根ルート、右の踏み跡は山と高原地図の雨乞岳と東雨乞岳の間に至る谷ルートらしい。やせ尾根の岩稜を越えると右矢印表示「イナガ谷」のある鞍部に着き、ここから支尾根の急登に次ぐ急登だ。杉林を過ぎるとブナ林となり、徐々に笹原林床になり、最後になだらかな展望尾根になって鈴鹿山地特有の笹原をかき分けて登る。振り返ると登ってきた尾根が尾を引き、正面の笹原の向うにあるピークが南雨乞岳だ。山頂は笹原の頂点にある展望抜群の小さな空地だ。西には遥か彼方に目的地の綿向山、北にはすぐそばに雨乞岳、東のずんぐりした山塊が御在所岳、その右隣の岩峰が鎌ヶ岳だ。
 ここから雨乞岳は手が届きそうだが、点々とある残雪は歩き易いが深い笹原の薮コギは踏み跡があっても難儀だ。一旦下って登り返すと雨乞岳だ。雪が消えると丈余の笹薮で移動が大変だが、残雪の山頂を少し杉峠方向に下ると北側が展望できる。丁度1年前にKさんと行ったイブネ/クラシの草原を想い返しつつ展望を楽しんだ。


  (R477閉ざされたゲート)      (稲ヶ谷登山口)      (荒れた谷を飛び石伝いに進む)

  (いたる所で崖崩れの谷)       (滝を高巻いて登る)      (やっと支尾根終端に着く)

 (初めて雨乞岳稜線が見える)     (やせた岩稜を行く)          (杉林を急登する)

   (ブナ尾根を急登する) (林床が笹原になると稜線が近い)(登ってきた支尾根を振り返る)

 (南雨乞岳の近くは笹薮コギ)    (南雨乞岳山頂)       (深い笹薮コギで雨乞岳へ)

               (南雨乞岳から西〜北〜東〜南〜西南を望む)

      (雨乞岳山頂)     (山頂付近は残雪で歩き易い)  (雨乞岳山頂から綿向山)

                 (雨乞岳から西北〜北〜東を望む)

 笹原をかき分け何度か笹の茎で足を滑らせて尻餅をつきながら南雨乞岳へ。清水頭へ向って稜線を下るとすぐに短い笹原となり、以降笹薮コギは必要なく、文字通り緑の絨毯を清水頭へ向って下った。女性的な曲線美の清水頭から東を振り返ると雨乞岳が緑の絨毯尾根の向うに広がっている。清水頭から、左杉林、右雑木林の尾根を過ぎると、P1014を中心として幅の広いなだらかな美しいブナ林尾根が続いている。尾根の方向が北向きに変わる頃から石楠花の茂る岩稜やせ尾根となり、岩頭からの展望が素晴らしい。西にはだいぶ近付いてきた綿向山、東には雨乞岳から歩いて来た稜線が展望できる。再び西向きに方向を変えた稜線を木を掴みながら劇下りすると大峠だ。地形図の位置より一つ手前の鞍部が大峠だ。
 大峠で休憩中、アナグマ?が来訪。体長40センチ位の暗いこげ茶色で一頭は横を走りぬけ、他の一頭は手前1メートル位で立ち止まりじっとこちらを見て少しフーッと威嚇してから走って戻って行った。ネットで調べるとアナグマらしくなかなか愛嬌のある顔だった。峠から雑木林の劇登りだ。イハイガ岳手前の崩壊地の上横を抜けて木を手掛かりに急坂をよじ登るとイハイガ岳だ。この斜面で、稜線漫歩で唯一の花「キクザキイチゲ」が数輪咲いていた。トンガリ帽子のイハイガ岳山頂は小さな空間であまり展望は良くない。


 (笹薮かき分けて南雨乞岳へ) (南雨乞岳から清水頭へ下る)(絨毯の様な清水頭へ続く稜線)
 
(清水頭から雨乞岳を振り返る)      (清水頭)          (さわやかなブナ稜線を行く)

  (P1014はブナ林の中)   (石楠花が現われるとやせ尾根)       (見晴らしのよい岩稜)

               (見晴らし岩稜から西〜北〜東〜南〜西南を望む)

  (石楠花の急坂を下る)          (大峠)               (急坂を登る)

 (崩壊地の向うにイハイガ岳)   (雑木林の急坂を登る)        (イハイガ岳山頂)

 ブナ尾根を下って登ると一気に視界が開け、東には遠くなった雨乞岳、西には綿向山頂上は見えないが竜王山分岐近くの稜線が間近に見えている。雪解けの水溜りのある幅の広いブナ林の稜線を過ぎると、見晴らしのよいなだらかな草原になり、更に進むと緑の絨毯笹原が現われる。登りつめた稜線が竜王山分岐だ。すぐ近くに「ブナの珍変木」と表示された2本の木がアーチ状につながった、間をくぐると良い事がある幸福ブナがある。少し登ると綺麗に整備された広場の綿向山頂上だ。綿向神社奥宮の祠もあり、絶景の展望台だ。東方に、歩いて来た稜線の彼方に雨乞岳が霞んでいた。山頂ではきょう唯一の人と歓談。地元の単独行の女性登山者で、綿向山登山関係の方らしく、先に下られて追いつくことはなかった。
 山頂からは、表参道コース、表参道コースの途中から分かれる水無山コース。先程の分岐まで戻る竜王山コースの3コースがあるが、疲労も激しかったのでよく踏まれた表参道コースで下山した。遊歩道のような手入れの行き届いたなだらかな道を下ると欽明水だ。残雪の下の水で喉を潤してからブナの森や植林帯をなだらかに下る。立派なブナ林が広がる行者コバの七合目は冬道が分岐しており、いま下ってきた夏道はまだ閉ざされていた。山腹をトラバース気味に斜めに下ると五合目小屋だ。西明寺経由を右に分け、植林帯をジグザグに下るとヒミズ谷登山口の小屋だ。水無山コースと合流して西明寺川沿いに下ると、大きな砂防ダムがあり、その下が綿向山登山口駐車場だ。デポしてあった車でR477のゲートまで戻り、往路と同じ経路で帰阪した。
 きょうのルートはなかなか変化があり、スリルのある稲ヶ谷の沢歩き、雨乞岳付近の笹薮コギ、ハイライトの雨乞岳から綿向山の大展望の稜線歩き、P1014付近のブナ林尾根など最高の山歩きが楽しめた。一日中暖かい快晴に恵まれて、Kさんのお蔭で念願の雨乞岳・綿向山スカイライン歩きができた。


  (ブナ林の尾根を登る)    (振り返ると遠のく雨乞岳)      (正面に近付く綿向山)
 
 (広い尾根の雪解け湿地帯)  (見晴らしのよい草原を登る)  (笹原絨毯を緩やかに登る)
 
    (竜王山分岐点)     (分岐点から見た綿向山頂上)     (稜線の幸福ブナ)
 
  (広い綿向山頂上広場)       (山頂の方位板)       (立派な表参道遊歩道を下る)
 
 (ブナ林の七合目行者コバ)   (なだらかな快適路を下る)        (五合目小屋)

  (杉林をジグザグに下る)     (ヒミズ谷登山口)       (砂防ダムのすぐ下が駐車場)

★道端の花

    イワカガミ(稲ヶ谷)      キクザキイチゲ(イハイガ岳)   ミヤマカタバミ(ヒミズ谷)

  ヤブツバキの大木(ヒミズ谷)  満開のヤブツバキ(ヒミズ谷)    ミツマタ(ヒミズ谷)

★ルート断面図

★地  図(GPS軌跡)
(1)R477ゲート前駐車場〜雨乞岳〜大峠

(2)大峠〜綿向山〜西明寺駐車場

(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       御在所・霊仙・伊吹
・2万5千分の1地形図  日野東部、御在所山

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