笹原尾根に七面山遥拝石の建つ楊枝ノ森手前から東方に大台ケ原を望みつつ東側の巻道を下る。ここで奥駈縦走3日目の熟年夫婦を追い越し挨拶を交わす。山のような荷物を背負って、きょうは楊子ノ宿泊まりだそうだが立派なものだ。楊枝ノ森を過ぎてアケボノツツジの咲く崖の崩落部を越えると避難小屋だ。内部も小奇麗な小屋だ。仏生岳まで行きたかったが午後2時になったのでここでUターンだ。楊子ノ宿跡の笹原の高台から七面山の最後の展望を楽しんでから奥駈道と別れ、踏み跡もテープ印もなかったが楊枝ノ森の西斜面をトラバースだ。薮もなく順調に斜面を水平移動し、七面尾基部の広い美しいブナの稜線に達するとテープ印と登山道が現われ、以降、道標付きの道だ。西大台の原生林のような苔むしたさわやか樹林をなだらかに下り、爽やか笹原尾根を登り返すと七面山分岐だ。すぐ上が七面山頂上だが薄暗い樹木に囲まれた頂上だ。山頂で行き止まりなので分岐点まで戻り、西峰を経てアケボノ平を省略して下山だ。初めは笹原林床の美しいブナ林を下るが、木の根の絡まったやせ尾根のシャクナゲ尾根が続く。七面尾稜線と別れ杉植林帯をジグザグに下ると林道登山口だ。5年前に来たときにはここまで車で上がれたが、きょうは長い長い林道歩きでやっと林道ゲートだ。チャリンコをゲットして湯ノ又登山口に帰り着いた。帰りは篠原から近道の高野辻を経て、夕日に照らされた大峰山系を眺め、大塔支所からR168で往路通りに帰阪した。
中尾尾根は距離も標高差もあって、泊まり装備のリュックで行くとあごを出しそうな所だ。標高約600メートルから約1900メートルまで登るので植生の移り変わりが目に見える面白い尾根だ。明星ヶ岳からの展望のよい奥駈道も素晴らしく、楊枝ノ森から七面山までの笹原稜線も好きな所だ。
(青々とした谷間の舟の峠) (七面山遥拝石) (楊枝ノ森の東を巻く奥駈道)