北美濃にある小津三山、花房山、小津権現山、雷倉の中の一つだ。東側の小津集落から登る道を表参道とすれば比較的新しく開かれた西側の横山ダムから登る道は裏参道だ。八草峠を抜けるR303の改良工事が完成し、木之本から揖斐川へ快適走行ができるので西側の藤波谷から登ることにした。また、午前中に下山したので、地図を持ってなかったが近くの湧谷山へも立ち寄った。
国道沿いの藤波谷横の空地には数台駐車可能だ。砂防堰堤を越え、水のない谷を渡ってトラロープの張られた右岸の急坂をジグザグに上る。稜線の上に出ると少しなだらかになり、登山口から1時間も樹林帯を進むと林道に出合う。少し上流の横山ダム左岸の矢中谷から来ている揖北林道だが、荒れ放題の林道跡だ。林道出合では東北の視界が開け、東には金糞岳や湧谷山、北には五蛇池山(ごじゃいけやま)から東へ続く稜線が眺められた。草深い林道出合から標識に従って山道に入り、自然林の尾根道を上り、立派なブナ大木を過ぎるとほどなく切り開きの植林帯だ。権現の森づくりとしてブナやミズナラの幼木が育てられている。自然林の大木が茂る尾根を進み、、根上り杉を過ぎると山頂は目の前だ。シャクナゲ林を過ぎサラサドウダンの下をくぐり、背丈ほどの笹原をかき分けると祠の裏から小津権現山の山頂広場に飛び出す。ブッシュを切り開いた山頂から東側の視界が開け、岐阜方面や能郷白山が望め、近くには小津三山の花房山と雷倉が尾根続きだ。この尾根の縦走はひどいブッシュなので無雪期は到底無理だ。山頂から小津集落へ通ずる道が下っているが、雪のしまった3月頃に横山ダムバス停からふじはし観音、電波塔(地形図の点線コース)を経て西尾根から登頂した記録がネットにある。往路通りに下山したが、途中で登山パンツの裾に点々と血が付いているのを発見、調べると足首に吸い付かれて靴下が血でぐっしょりだ。満腹した蛭は逃げ去った後だ。蛭の免疫が無いせいか傷口は2、3日経っても腫れたままだ。蛇足ながら春を過ぎると薮っぽい所はスパッツ必須だ。地図なしだったがまだ昼前なので近くの湧谷山へ向った。
(藤波谷登山口) (谷を渡って急坂を上る) (杉林をジグザグに上る)
(支尾根上をなだらかに上る) (揖北林道出合) (林道出合から東の山々)
(林道出合から北の山々) (ブナやニズナラ林を行く) (植林中の切り開きを行く)
(権現の森づくりの表示) (ブナ林を行く) (根上り杉)
(サラサドウダンを過ぎると山頂) (小津権現山頂上の祠) (山頂から三山の花房山と雷倉)
(小津権現山頂上から北〜東〜南を望む)
R303を木之本方向へ進み、道の駅「夜叉ヶ池の里さかうち」の先を右折、坂内スキー場の大駐車場にとめる。駐車場の案内図にスキー場上端に登山口があるとあったので、リフトに沿ってゲレンデを登り、リフト降り口付近の山道に入った。草ぼうぼうの切り開きをしばらく上ると水槽があって道は終わり、しばらく道なき斜面を上ったが地図がないためお手上げ、スキー場までUターンだ。ゲレンデ上端の左にも何も表示のない山道があり、これが本物らしいので入り込む。しばらく針葉樹林帯の急坂をジグザグに上るとブナが主体の森となる。登るに従って、東南の樹間から坂内の集落が俯瞰でき、北には藪山で有名な蕎麦粒山(そむぎやま)や五蛇池山が垣間見えてくる。ブナ林の平坦な所が丁子(ちょうじ)山だ。視界は全くないが清々しいブナ林が広がっている。少し下ってから、踏み跡を覆い隠すように茂った背丈位の笹をかき分けて登りきると湧谷山三角点だ。見通し皆無のブッシュに囲まれた狭い空地があるだけだ。往路通りに下山したが、この山は若葉か紅葉の頃がベストだ。帰りはマキノ温泉さらさで汗を流し、琵琶湖西岸の景色を楽しみつつ帰阪した。
日本山岳会岐阜支部の尽力で登山道が整備され、西側からも簡単に登れる展望抜群の小津権現山だ。豊かなブナ林が広がる丁子山から湧谷山の尾根道も捨てがたい。なお、この付近の山域は薮が濃く、登山道以外の無雪期の尾根歩きは殆ど不可能だ。
(坂内スキー場を上る) (ゲレンデを見下ろす) (間違ってゲレンデ上端右へ)
(ゲレンデ上端左が正解)
(杉林の急坂をジグザグに上る)
(ブナ林の中の丁子山)
(ブナ林尾根を行く)
(踏み跡にかぶさった薮コギ) (視界のない湧谷山三角点)
★道で出会った花
コアジサイ(藤波谷) オトギリソウ(藤波谷) タニウツギ(揖北林道)
ギンリョウソウ(切り開き) サラサドウダン(小津権現山頂) ニガナ(スキー場)
ミヤマナルコユリ(スキー場) エンレイソウ(丁子山) キバナウツギ?(丁子山)
★ルート断面図
(1)小津権現山
(2)湧谷山
★地 図
(1)小津権現山
(2)湧谷山
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・2万5千分の1地形図 美濃広瀬
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