山頂で昼食後、展望台まで戻り、立派になった木道で正木嶺を越え、枯死したトウヒがぽつぽつ残るミヤコザサの笹原平原を涼しい微風に吹かれながら下るのは最高の気分だ。シロヤシオの林を過ぎ、トウヒ林を抜けて正木ヶ原に至るが、一面にミヤコザサが密生しており、5年前に残っていた薄暗い苔むした林の面影は全くなかった。笹を食む鹿の群れを眺めながら牛石ヶ原の笹原を過ぎ、分岐点からちょっとした岩稜を通って大蛇グラに向った。突き出た岩稜の大蛇グラから眺める屏風のような岩壁は絶景だが、ムズムズするような感覚が味わえる所だ。もとの分岐点まで戻り、ツクシシャクナゲの茂る石ころの急坂を下り、公園のような遊歩道を下るとシオカラ谷だ。冷たい水でリフレッシュ後、吊橋を渡ってこのルート一番の長い石段が続く上り坂だ。一汗も二汗もかいてから水平道を進むと駐車場だ。渋滞に遭うこともなく往路通りに順調に帰阪した。
きょうは霞がかかり遠望はいまいちだったが、直射日光にさらされることもなく快適な高原漫歩を楽しむことができた。大台ケ原といえば幽玄の世界のような苔むした樹林を思い浮かべがちだが、東大台は明るい草原と笹原林床のトウヒ疎林が大部分を占める高原だ。
(正木嶺下り遊歩道階段付近の枯れたトウヒと笹原)