蕎麦粒山は奥多摩や静岡にもあるが、藪山で知られた美濃の蕎麦粒山(そむぎやま)だ。正規の登山道はないが、ネット情報によれば所々崩壊した林道をたどり、五蛇池山分岐標識から急坂を登って山頂まで明確な踏み跡があるそうだ。木之本ICから快適なR303を東進、夜叉ヶ池分岐を過ぎて次の集落の広瀬を左折、少し直進すると湧谷山登山口のある遊ランド坂内スキー場だ。スキー場から細い舗装林道を1.5キロほど大谷川に沿って進むと林道工事現場の広場で通行止だ。2台の先行車のそばに駐車する。
ユンボの手前に立ち入り禁止の表示があったので、先行車の単独行男性とともに河原へ下り、流れを渡って右岸沿いの踏み跡をたどったが直ぐに雑草に覆われてしまったので、引返して工事中の林道を行くことにした。100メートルほど先の工事現場で直進不可能、右の崖にロープが垂れていたのでこれを頼りによじ登り、前方の旧林道跡に降り立った。雑草の道をしばらく進むと崖を巻くロープ場が何箇所も現われる細い山道を進む。後で判断すると崩れた林道跡の迂回路らしい。次に、下へ降りるトラロープがあってテープも沢山ついていたので迂回路と判断して川まで下ったがそれ以降のテープはなく行き止まりだ。仕方なく上へ戻って山道をそのまま進んだが、当初の右岸沿いの踏み跡がこのトラロープに続いているように感じた(確証はない)。しばらく山肌を進むと右上へ滑り易い急坂を上るテープが現われ、小さな木を掴んで急坂をよじ登ると雑草の繁茂した林道跡へ飛び出した。これで林道崩壊地点が過ぎたらしい。背丈を越すようなススキや雑草の生い茂る林道跡の薮コギは薄い踏み跡があっても難行苦行だ。雑草で足元の凸凹は見えず、朝露で上のシャツまでボトボトで長袖を介して引っ掻き傷だらけだ。特にススキの葉はいやらしい限りだ。ネット情報では比較的よく登られているようだが、雑草の復元力が旺盛なのか人の通った跡はなかった。途中で単独男性の姿が見えなくなり引返されたようだ。やっと林道跡終点とおぼしき広場に到着、その先の細い山道をたどるが、谷間のためGPSは単なる箱となり地形図を眺めつつ進み途中で右岸に渡って登り口表示を探し回ったりした。正解はどこまでも左岸を進み、踏み跡がなくなると右岸に赤いテープと小さな表示が見えるので渡渉する。ネット情報では駐車場所から登り口まで1時間余だったが2時間半かかってしまった。
(林道工事現場の広場) (工事中のため右の崖を上る)
(崖上から林道を振り返る)
(林道跡の始り)
(多数のロープ場にある迂回路) (途中で川へ下るロープあり)
(崖を印に従って遮二無二上る) (ススキ密生の林道跡を行く) (背丈の雑草の林道跡を行く)
(どこまでも続く雑草林道跡)
(やっと林道跡終点到着) (渓流に沿って進む)
(対岸に登り口の印発見) (五蛇池山と蕎麦粒山の印)
(ロープを張った急坂を上る)
直進が蕎麦粒山、右が五蛇池山と記された岳友タンネの会の表示を後にしていよいよ急登だ。最初に岩盤むき出しの急坂だがロープもある上に適所に岩角や木の根があるため大丈夫だ。次々に現れる急坂も木の根が手掛かりになるのでしんどい急坂だが時間をかければクリアー可能だ。標高差で200メートルほど急登すると少し緩やかになり、樹間から湧谷山やその向うに金糞岳が望めた。所々で見晴しのよい尾根を木の根をまたぎながら急登すると稜線出合の白い岩だ。水準点?のような測量基準点も埋め込まれている。岩の上から北美濃の山々が綺麗だ。西にはすぐそばに蕎麦粒山がずんぐりした姿を見せている。一旦下って上り返すが、スズタケのような背丈ほどの笹薮の連続だ。踏み跡があるので救われるが踏み跡がなければ進むのは不可能だ。山頂が近づくと笹は少なくなるが急勾配となりシャクナゲが繁茂するいやらしい尾根だ。1時間余の薮との奮闘で、すり傷だらけでやっと山頂の小広場に到着だ。ここで同じコースで登られた三重県の単独行の男性と逢い、この山域で一人でないことに安心感を覚えた。歓談後先に下山されたが、僕は大展望を楽しみながら昼食だ。雲ひとつない快晴のもと、遠くの白山をはじめ奥美濃の山々を存分に楽しんでから林道跡迂回路のロープ場で暗くならないように早めに下山し始めた。一度通った道なので快調に下り、林道跡の雑草の露も乾燥し、踏み跡もあるので楽だ。上りに5時間半かかったが3時間半で下れたが、駐車場の2台の先行車はなくなっていた。1000円高速のひどい渋滞もなく往路通りに順調に帰阪した。
きょうは満月の沈むのを見ながら出発し、真ん丸の月が昇るのを眺めつつ帰宅した。前評判の薮コギと急坂を心配した山行だったが、登り口までの林道跡をたどるルートの朝露を含んだ雑草コギや道迷いに対する心遣いのほうが大変だった。山頂近くの笹薮コギでは長袖必須で顔を覆う対策があればベターだ。苦労した甲斐があって静かな山頂からの展望は何物にも代え難い景観だった。
(木の根の急坂を上る) (少しなだらかになった尾根) (金糞山と湧谷山を望む)
(登ってきた尾根を振り返る) (稜線出合の白い大岩) (稜線出合の三角点?)
(稜線出合から東南の北美濃の山々を望む)
(背丈以上の笹原をくぐる) (笹原の薮コギが続く) (シャクナゲの根っこ尾根を上る)
(蕎麦粒山頂上から大展望)
(蕎麦粒山三角点)
(山頂から広瀬の集落) (やっと登り口まで下る)
(延々と雑草林道を行く) (工事中の林道壁を下る) (もうすぐ車に到着)
★道で出会った花
マツヨイグサ(林道跡) アキノキリンソウ(林道跡) ママコノシリヌグイ?(林道跡)
ママコナ?(林道跡) トリカブト(林道跡) ミズヒキ(林道跡)
シャクナゲの狂い咲き(蕎麦粒山) イヌトウバナ(林道跡) シラヤマギク?(林道跡)
ツリフネソウ(林道跡) オオアキギリ(林道跡) ヤマゼリ(林道跡)
★ルート断面図
★地 図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・2万5千分の1地形図 美濃広瀬
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