和田山からR312を姫路方面へ向かうと、朝来山(あさごやま)、青倉山(あおくらやま)、行者岳(ぎょうじゃだけ)とどっしりした山塊が次々に現れる。但馬の1000メートル級の山々はまだ積雪のおそれがあるので、きょうは完全に雪の融けた行者岳だ。国道を朝来(あさご)IC入口を過ぎて南下し、鷲原寺(わしはらじ)岩屋観音の標識で左折する。しばらく走ると鷲原寺があり、そのすぐ先で岩屋観音へ向かう新しい車道を左に分け、少し進むと数台分の駐車スペースのある岩屋観音参道入口だ。
石段の門を通り過ぎると石畳の参道が沢に沿って続いている。道端には石仏が配され、ミツマタが特徴ある花を咲かせている参道を上りつめると、急な長い石段下の広場の新しい車道終点だ。石段上の岩屋観音の洞窟に藤原時代の石仏と磨崖仏が祀られているそうだ。観音堂の横から山道に入り、沢沿いに遊歩道を進み、やがて荒れた沢から離れて雑木林をジグザグに登るが、再び沢に合流する。この辺りから踏み跡やテープもなくなり、岩片を敷き詰めたような急坂の沢を登り、最後に滑りやすい急な斜面を小木を掴んで登りきると稜線出合いのピークだ。雑木林の美しい尾根を少し進むとピーク横の反射板が目印の行者岳山頂だ。反射板下からは、眼下に多々良木(たたらぎ)ダムと黒川ダム、その向こう側に朝来山と青倉山、その彼方には東床尾山など但馬の山々が見渡せる絶景だ。蛇足だが、多々良木発電所は黒川ダムを上部ダムとする日本最大出力の揚水発電所だ。
岩の散在する雑木のヤセ尾根を北へ下るとすぐに大岩があり、直進は立野方面だが大岩の手前を右折して、多々良木ダム方向へ東北へ伸びる尾根を下る。トラロープの張られた急斜面を滑りながら下った先の岩尾根が休憩適地の好展望の岩頭だ。さらに岩尾根を下ると岩の間にロープの垂れ下がった急坂が現れる。ここを敬遠して、岩の右を巻く道から鎖場を伝って岩尾根を下ると「危険」標識が現れる。行者堂跡の祠がないのでここから引き返したが、もっと先にあるのかもしれない。
(岩屋観音参道入口)
(石仏のある石畳の参道を行く)
(ミツマタが花盛り)