★ひとこと 「白川郷から帰雲山を経て猿ヶ馬場山をピストン」
展望ピークから帰雲山越しに白山を望む
★行った日 2014年4月25日(金) 晴 単独
★コース
高槻2:57(名神、東海北陸道)=白川郷IC(R156)=6:51せせらぎ公園駐車場7:05→林道ゲート7:18→宮谷林道出合8:45→夏道取り付き8:56→9:25休憩9:38→10:56中継施設11:03→(1622m)帰雲山11:30→見晴しピーク11:44→三角点峰12:45→13:07(1875m)猿ヶ馬場山(SS着)13:45→展望ピーク14:32→帰雲山14:46→15:03中継施設15:07→15:43尾根端(SS脱)15:50→夏道取り付き15:57→宮谷林道出合16:02→林道ゲート16:53→17:05せせらぎ公園駐車場17:15(R156)=しらみずの湯(R156)=荘川IC(東海北陸道、名神)=高槻
猿ヶ馬場山(さるがばんばやま)は荘川(しょうかわ)を隔てて白山山系と対峙し、籾糠山(もみぬかやま)の南に位置する残雪期に登られる山だ。僕の体力では10〜12時間を予想して大阪を早朝(深夜?)出発だ。早朝の白川郷は人を殆んど見かけない静かな美しい合掌造りの屋並だ。林道近くの駐車場を探して集落内をうろうろ、明善寺(みょうぜんじ)から奥は道路工事中で車は駄目、集落内の空き地もすべて最寄の民宿専用だ。道標に従って観光客用のせせらぎ公園駐車場の利用だ。
朝日がさし始めた人影のない駐車場広場をSS(スノーシュー)と10本刃を担いで出発だ。日英中韓4ヶ国語の道標の立つ歩道橋のであい橋で荘川を渡り、直進して合掌集落へ入る。であい橋から振り返ると朝日に輝く野谷荘司山(のたにしょうじやま)が真っ白だ。人っ子ひとりいない桜満開の集落を通り、明善寺の横から側溝工事中の車道に入る。集落を抜け樹林帯に入り、道なりに進むと林道ゲートだ。林道から西に野谷荘司山(左)や三方岩山(右)を眺めながら、右下に大きな砂防堰堤を見下ろしつつ進む。沢筋を過ぎる所が水場だ。しばらく道なりに進むと三角屋根の小さな小屋の所で三差路を左折し、後は一本道の長い林道歩きだ。地道林道はその殆んどが雑木林の稜線を九十九折に登り、やがて尾根筋から沢筋に変わってジグザグに登りつめる。標高800メートルを過ぎると残雪が現れ、1000メートルに近づくと雪原に変わる、積雪時はショートカットして沢筋を登るが、今回は標高1000メートル辺りから沢筋を登り、最後に林道に上がってから宮谷林道に合流だ。フキノトウが点々と頭を並べている宮谷林道を少し進み、右側のリボンの目印のある沢筋が冬道の取り付きだ。夏道はこのまま林道を直進するようだ。ヤブっぽい沢筋をちょっと登り、左側の雪の壁の尾根端に取り付く。適度な雪の硬さのため、靴を蹴り込むとしっかりしたステップが作れ、しんどい登坂だがスリップすることもなく安全に登れる。積雪がなければ、藪に足をとられて上るのも下るのも難しそうだ。標高差で100メートルほど登ると勾配が緩くなり、登るに従ってブナ根元の円形融雪孔がだんだん小さくなり、地肌露出部がなくなって歩き易くなる。P1336辺りは美しいブナ純林の幅広尾根だ。P1472ピークの左裾を南から東南へ方向を変えて尾根筋を進む。広い雪原状態なので迷い易いが、リボンを探せば迷うことはない。なだらかに尾根を登り、P1528を過ぎた所にパラボラアンテナ付き構造物の中継施設が雪の穴の中に納まっている。この辺りの雪面は降雨時の融雪水?のため複雑な凸凹模様だ。
(早朝のせせらぎ公園駐車場)(であい橋(歩道橋)から振り返る)
(合掌造り村落を通り抜ける)
(明善寺横から林道へ) (林道ゲートを通り過ぎる)
(林道から野谷荘司山(左))
(三角屋根の小屋の所を左折)
(ジグザグに急な林道を登る)
(標高約千米で残雪が現れる)
(雪原の谷筋をショートカット) (宮谷林道(右)に合流)
(右の冬道取り付きの谷筋へ)
(左の斜面をゆっくり登る) (雪の斜面を順調に登る) (P1336のブナ林を行く)
(P1472の東下を東南へ) (丸く融雪した中継施設)
(谷道出合の鞍部)
中継施設の先の鞍部(沢道合流点)から白川郷の村落が望める。鞍部から急坂を頑張ると展望のあまり良くない帰雲山(かえりくもやま)頂上だが、平地のどこがピークだか判然としない、片隅にはパラボラアンテナも建つ山頂だ。山頂から東へなだらかに下って登り返すと見晴しのよい展望ピークだ。鞍部から、笈ヶ岳(おいずるがだけ)、大笠山(おおかさやま)、大門山(だいもんさん)など両白山地北部や、人形山など飛騨山地の一部の峰々などが望める。展望ピークからは、これから向う猿ヶ馬場はじめ、両白山地南部の稜線が望める。標高1600メートルを超えると曲りくねったダケカンバが目立つようになり、オオシラビソ平に向ってオオシラビソ林の間にダケカンバの大木が屹立している雪原を登る。積雪に埋まったオオシラビソの間をぬうように登りつめると広い雪原の三角点峰だ。無論、何処に標柱が隠れているかは神のみぞ知るだ。幅広尾根のだらだら坂の雪原を進むと、これも何処がピークかわからない丸っこい見晴しのよい雪原が猿ヶ馬場山だ。
(急な斜面を頑張って登る)
(帰雲山頂上) (展望ピークから猿ヶ馬場)
(展望ピークから猿ヶ馬場山〜白山の山々を望む)
(オオシラビソ平のダケカンバ)(オオシラビソ平から三角点峰へ)(オオシラビソ樹林帯を行く)
(三角点峰は雪原)
(猿ヶ馬場へ雪原を行く)
(猿ヶ馬場山頂上)
猿ヶ馬場山は白山を主峰とする両白山地と、人形山などの飛騨高地の展望台だ。きょうは霞んでいたが視界がよければ北アルプスの山々が望める。また、指呼の籾糠山は尾根続きに端正な姿を見せている。残雪期には通れそうな稜線だが、ここから籾糠山へ縦走するには天生峠(あもうとうげ)が6月まで通れないのでテンパクが必要だ。山頂は無風で暖かく、雪山を眺めながら飲む熱いコーヒーの味は最高だ。つぼ足でも十分歩けるが、気温が上がってきたのでSSを履いて下山だ。沈み込みも殆んどなく、オオシラビソの緩斜面を快調に下り、白山を正面に見て雪原を歩くと間もなく帰雲山だ。中継施設を過ぎ、ブナ尾根をぶらぶら下ると急な斜面手前の尾根端だ。ここでSSを脱ぎ、ヒールでさくさく下るとすぐに宮谷林道の冬道取り付きだ。ここから約1時間の林道歩きで観光客で賑わっている合掌造りの集落だ。林道では雪の切れた辺りで英語しか話せないジョギング中の青年に遭遇、片言の会話で白川郷に滞在中の由、走って去っていかれた。集落に入ると日本語以外の言葉しか聞こえてこない団体さんばかり、白川郷の国際化にびっくりするとともに4ヶ国語の道標に納得、お陰で観光地として成り立っているようだ。きょうはこの山域を独占し、観光バスの多いせせらぎ公園駐車場に帰着、しらみずの湯でさっぱりして帰阪した。
今回は今シーズンの春山のフィナーレを飾るにふさわしい山だった。第1に山頂からの両白山地や飛騨高地の山々の雪景色の展望、第2にブナ主体の広葉樹に覆われたなだらかな幅広尾根、第3に朝日に輝く満開の桜に彩られた静かな合掌造り集落、など印象に残る素晴らしい山旅だった。
★地 図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・2万5千分の1地形図 平瀬、鳩谷(はとがや)
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