静ヶ岳(1088.6m)竜ヶ岳(1099.6m)

 

★ひとこと   「宇賀渓から金山尾根で風雪の静ヶ岳と竜ヶ岳へ」

静ヶ岳山頂


★行った日   2016年2月17日(水) 曇後雪 強風  単独

★コース
高槻5:35(名神)=八日市IC(R421)=7:19宇賀渓駐車場7:35→林道終点8:00→8:46P587 8:54→遠足尾根出合10:16→縦走路分岐10:25→セキオノコバ11:10→11:34(1088.6m)静ヶ岳11:45→セキオノコバ11:56→12:26二重稜線大休止12:49→(1099.6m)竜ヶ岳13:17→縦走路分岐13:31→遠足尾根出合13:37→14:28P587 14:37→林道終点15:04→15:25宇賀渓駐車場15:34(R421)=八日市IC(名神)=高槻17:28

 シーズンには雪山トレッキングで賑わう鈴鹿中部の竜ヶ岳だ。当初、鳴野橋を起点に雨乞岳方面へ向うつもりで八日市ICから東進すると東の山並みが分厚い雲の中だ。そこで三重県側の晴れを期待してR421をそのまま直進、トンネルをでると曇り空ながら時折日のさす天気に気をよくして雪のない宇賀渓(うがけい)駐車場に一番のりで到着だ。やがてやってきた管理人に聞くと、竜ヶ岳はアイゼンだけで大丈夫、静ヶ岳は分からないとのことで、お荷物になるがSS(スノーシュー)とアイゼンを携えて風の強い曇り空の中、出発だ。
 駐車場から売店街を抜けて北河内橋を渡り、かつての遠足尾根登り口を右に見て北河内林道を直進、時々日のさすなかを谷左岸沿いに30分ほど行くと休憩舎の建つ林道終点だ。遠足尾根新道を右に分け、流出した白滝吊橋の代わりの丸太橋を渡り、すぐ先の青い魚止吊橋を渡ってヤブツバキの多い左岸の道をしばらく進む。鎖場の岩場を上り、直進の中道から道標に従って右の金山(かなやま)尾根道を登る。しばらく急な自然林の尾根をジグザグに登ると朝日に輝く竜ヶ岳を望む岩尾根P587ピークだ。赤松と岩稜が散在し竜ヶ岳山頂を山稜の向こうに目にすることのできる休憩の適所だ。岩尾根の先でロープで閉鎖されている蛇谷(ジャタニ)へ下るトラバース路を左に分け、自然林尾根を登ると、地肌に春のような日ざしの影が伸びる美しいなだらかなブナ林だ。暖かな陽光を浴びて明るい疎林帯の稜線をしばらく登り、岩塊の積み上がった急坂を上がるとCa900付近の尾根上に達し、雪のつながりだした幅広のなだらかな稜線歩きだ。左に竜ヶ岳、右は遠足尾根やいなべの田園地帯、振り返ると釈迦岳が望めたが、黒雲がその雲底を下げ、風も強くなり始め、天候悪化の兆しだ。金山尾根道取付きから約2時間で遠足尾根道出合だ。

 (宇賀渓駐車場から林道へ)  (林道終点で白滝丸太橋へ)      (魚止橋を渡る)

    (金山尾根道分岐)    (尾根端急坂をジグザグに登る)  (P587で竜ヶ岳初見参)

  (なだらかなCa700ブナ林)    (Ca850岩塊の急登)    (Ca900尾根で竜ヶ岳を望む)

 (なだらかな稜線を登り続ける)  (振り返って釈迦岳を望む)       (遠足尾根出合)

 雪が例年より少なく笹原は露出しているが、掘れ込んだ夏道は踏み抜いた凸凹の根雪の上に数センチの新雪がのっかっている。穴を避けて歩けば沈み込みもなくアイゼンなしでOKだ。少し先で竜ヶ岳山頂を左に分け、縦走路を治田(はった)峠に向う。積雪の少ない今年は大丈夫と思ったが、沢源頭部をへつる箇所の雪の急斜面でストップ、何とか尾根上に這い上がって稜線を下る。静ヶ岳を正面に見てブナ林の美しい二重稜線を下り、最低鞍部から登り返す。ちょっと先の鞍部にある真っ白な池を左下に眺めながら少し登ると縦走路分岐、セキオノコバだ。治田峠を右に分け、稜線を登りつめると小木帯に囲まれた静ヶ岳山頂だ。先ほどから急激に天候が悪化、辺りは真っ白、白濁した気流が吹き付け、早々に退却だ。

 (笹原稜線を竜ヶ岳方向へ)   (縦走路分岐を治田峠へ)   (静ヶ岳めざして稜線を下る)

  (二重尾根付近を下る)       (藤原岳は黒雲の中)      (鞍部の真っ白な池)

(治田峠を右に分け尾根を直進)     (稜線を登る)       (雪が降り始めた静ヶ岳山頂)

  (白濁気流の稜線を下る) (風雪を避け二重稜線東面で昼食)(夏道を避けて稜線を直進)

 白濁した風雪の強い稜線を往路通りに下り、セキオノコバから稜線を戻るが、往路のトレースは完全に掻き消えて幅の広い所では蛇行しながら最低鞍部から登り返す。腹がへっては戦はできぬと、二重鞍部の窪みで風を避けつつカップラーメンとコーヒーを流し込み、尾根を登って竜ヶ岳へ向う稜線に合流だ。山頂は見えないが、ものすごい強風にさからって下を向いて道なりに一歩ずつ進むだけだ。特に風の強い所は地肌が露出した所だ。風が強いときストックで身体を支えてかがんで待機し、弱まったときに強風帯を素早く渡る。雪片が吹き上げられて顔に当たる痛さは初めての経験だ。ただ温度がそんなに低くないのが唯一の救いだ。荒涼とした吹きさらしの山頂の姿はたおやかな竜ヶ岳のもう一つの顔だ。広い山頂は稜線に比べて風が弱く、気流が頂上で少し浮き上がっているのではないかと思われる。竜ヶ岳山頂から治田峠分岐を経て稜線を下り、遠足尾根を下り始めたが、風が強く展望も望めないので近道の金山尾根を下ることにした。トレースの消えた真っ白な稜線を下り、雪のかぶった急な岩塊帯からブナ林を経てP587で小休止だ。金山尾根取付きまで下ると雪も消え、計画より早く宇賀渓駐車場へ帰りついた。
 優雅な印象の竜ヶ岳だがきょうは意外な冬の顔の一面を見ることができた。1000メートル内外のなだらかな低山でも気象条件により厳しい山になることを実感。雪が少ないため所要時間が短かかったが、折角のSSもアイゼンもお荷物になってしまった。

  (強風の稜線を竜ヶ岳へ)   (吹きさらしの竜ヶ岳山頂)  (地肌の露出した強風帯を下る)

  (治田峠分岐を宇賀渓へ)  (風に押されて稜線を行く)  (遠足尾根をやめて金山尾根へ)

    (金山尾根を下る)     (薄雪のP850岩塊帯を下る)  (白いCa700ブナ林を行く)

    (薄雪のP587を下る)     (雪のない白滝丸太橋へ)    (遠足尾根登り口を行く)

★道で出会った花(なし)

★ルート断面図

★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       御在所・霊仙・伊吹
・2万5千分の1地形図  竜ヶ岳

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