★ひとこと 「田戸から谷山を経てヤブのでた稜線で大展望の山頂へ」
左千方から三国岳へ続く稜線
★行った日 2016年3月12日(土) 晴後時々曇 単独
★コース
高槻4:04(名神、北陸道)=木之本IC(R365、県道284、県道285)=6:02田戸6:24→安蔵山登山口6:52→奥川並7:28→7:56Ca4708:02→8:52P706
9:02→(938.79m)谷山10:07→10:44P922 10:51→P959
11:20→12:34(1196.8m)左千方12:52→(1209m)三国岳13:23→13:52左千方13:59→14:30P959(SS着)14:39→15:38谷山(SS脱)15:46→16:19P706
16:25→16:57奥川並17:03→安蔵山登山口17:41→18:06田戸18:14(県道285、県道284、R365)=木之本IC(北陸道、名神)=高槻20:24
数日前から今シーズン終盤の寒波が来ているが来週には1ヶ月先の気温が予想されているので、今年最後の雪の春山、余呉(よご)の左千方(させんぼう)だ。左千方と三国岳を結ぶ稜線からの大展望が忘れられず今年で4回目、田戸(たど)から奥川並経由谷山を経て左千方と三国岳だ。4日前に横山岳を訪れた際に確認済みの県道で、薄暗い田戸に到着だ。すでに2人ずれ釣り師の車が1台先着、その話によれば朝4時頃単独行が徒歩で先行しているそうだ。岐阜から来たというその釣り師の方と連れ立って、日の出と同時刻にSS(スノーシュー)とアイゼンを持って出発だ。
手柄話をする釣り師とも途中で別れ、1年前に数ヶ所崩落していた道も補修されてゲートがなければ車でも通れそうな残雪皆無の林道を1時間ほど歩くと奥川並だ。まぶしい朝日を浴びながら林道から杉林の踏み跡をちょっとたどると八幡神社跡を経て石灯篭のある本殿跡?の平地だ。ヤブツバキの咲く急な杉林の道を抜けると、明るい自然林の落葉の堆積した急なV溝道だ。滑り易すそうな下りを危惧しながら一歩づつ、毎回この辺りに咲くまだ蕾のイワカガミの葉っぱを眺めながらしばらく登り続ける。Ca600付近で急なブナ林斜面をジグザグに登り、左斜面の美しいブナ林を眺めながら進み、残雪が点在するP706の稜線上に上がる。ヤドリギの多い稜線だ。ここから島状に残雪が点在するなだらかな稜線が約1キロ続き、奇怪な形のブナの大木もある疎林帯尾根を歩き易い残雪を選んで歩く。Ca800付近から急勾配になってきた笹原林床のブナ尾根を、右上正面に展望稜線、その彼方に左千方山頂部を眺めながら登る。両サイドの小木を手掛かりにしてしばらく急坂を登ると谷山だ。山頂には何の表示もなく、落葉樹の大木が林立する雪原だ。ここから先行者のつぼ足トレースが現れ、ブナの影が雪面に作る縞模様を眺めながら美しい幅広尾根を東へ進む。所々でプチヤブが顔を出しているが、沈み込みのない雪面を選んでつぼ足でしばらく歩くと展望稜線だ。4日前に登った真正面の横山岳の展望台だ。
(日の出と同時に田戸を出発) (林道の安蔵山登り口を通過)
(朝日を浴びて奥川並へ)
(八幡神社跡の杉林を登る)
(落葉の急なV溝道を登る) (急なブナ林を登る)
(残雪まばらのP706の尾根へ)(Ca750の残雪の平地を行く)
(青空に映えるヤドリギ)
(Ca850急なブナ尾根を登る)(右上に見える展望尾根と山頂) (やっと谷山の山頂雪原)
(ヤブの現れたブナ尾根を行く) (展望尾根を行く)
(展望尾根から横山岳を望む)
谷山からP959まで多少のアップダウンはあるがほぼ平坦な稜線だ。木の根元が丸く融けた融雪ホール、融雪ホールがつながったプチヤブ露出部、雪のないヤブ混在の笹原、などが混在する気楽な稜線歩きはP959までだ。ここから急坂が始まり、ヤブとの戦闘開始だ。ザックのSSがヤブの枝に引っかかるとともに、ストックのワッカがヤブに絡み取られ、ヤブの隙間を求めて右往左往、踏み抜きもあって急坂上りが遅々として進まない。斜面のヤブは下向きなので、上りでは抵抗勢力が一層プラスされ、いつかは着くだろうと一歩一歩づつゆっくり体力に合わせて登り、大幅に計画時刻より遅れて左千方山頂到着だ。雲は多いが空気は澄み渡り、期待通りの360度の大展望だ。南には横山岳を中心に東に蕎麦粒山(そむぎやま)など奥美濃の山々、西に三重岳など湖北の山々、北にはこれから向う三国岳や三周ヶ岳など白銀の峰々のオンパレードだ。遠方に目をやれば、敦賀湾や琵琶湖、東の雲との境目には御嶽山までも望めた。山頂で忙しい昼食の後、三国岳に向う。途中で神岳(かみがだけ)ダム上流の林道から登ってきたという単独行の方と歓談、先行者のつぼ足トレースの話になって、どうも神又峰(かんまたみね)の方へ行かれたらしく、すごい健脚の持ち主だ。きょうの入山者は計3人のようだ。午後になって気温も上がり、稜線でも所々で踏み抜きながら進む。例年には大きな雪庇ができるがきょうはなだらかな稜線をつぼ足で30分もたどると何の表示もない三国岳だ。ここも360度の展望だが、見える角度が違うだけで左千方とほぼ同じ山々の展望台だ。
(ヤブ点在のP922付近を行く) (P959から左千方へ)
(ヤブと格闘の始まり)
(ヤブを踏み抜いたり迂回したり)
(下向きの穂先が煩わしい)
(露出している左千方三角点)
(左千方から南方の横山岳方面を望む)
(左千方から北方の三国岳方面を望む)
(展望稜線を三国岳へ)
(稜線に残る霧氷の名残) (何もない三国岳山頂)
(三国岳から360度の景観)
稜線を左千方へ戻り、タツノオトシゴに挨拶して急坂を下る。雪面が緩んでザラメ状になりアイゼンの有無はあまり関係なさそうなので、そのままずるずる滑りながら下る。上りにはあれだけ障害になったヤブも下りでは殆んど無抵抗で通過、標高1000メートルをきると踏み抜きを多発、P959でSSのお役立ちだ。斜光の影が伸びたブナ林をゆっくり楽しみつつ稜線を進むと谷山だ。ここでSSを脱ぎ、急坂下りだ。往路では残雪部を選んで歩いたが、反対に下山では踏み抜きのため地肌を選びながら下る。落葉の急なV溝道では積雪がないので滑り易く、数回尻餅をつきながら下って無事奥川並に降り立った。自然の贈りもの、フキノトウを頂きながら約1時間の林道歩きで日没と同時刻に田戸にたどり着いた。
絶好の好天に恵まれ、今シーズン最後の春山を存分に楽しむことができた。谷山から左千方に向う稜線の雪原に映えるブナ林、左千方から三国岳に向う展望稜線、左千方や三国岳山頂からの360度の大展望など、期待を裏切らない春山だった。
(三国岳から左千方へ向う稜線)
(左千方山頂のタツノオトシゴ)
(左千方から御嶽山を望む)
(左千方から急な尾根を下る) (下りのヤブは撃破し易い) (P959、踏み抜きでSSを履く)
(美しいブナ林を戻る)
(笹原の稜線を戻る)
(谷山でSSを脱ぐ)
(急なブナ尾根を下る)
(左千方にお別れ)
(横山岳を正面に尾根を下る)
(踏み抜きつつ残雪帯を行く) (P706西面のブナ美林)
(急なブナ林を下る)
(尻餅をつきながら急なV溝下り) (奥川並へ降り立つ)
(日没と同時に田戸へ帰着)
★道で出会った花
ヤブツバキ(Ca500稜線) イワカガミ(Ca500稜線) マンサク(左千方)
フキノトウ(林道) ミヤマキケマン(林道) ?(林道)
★ルート断面図
★地 図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・2万5千分の1地形図 中河内、美濃川上
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