蛇谷ヶ峰(901.7m)

 

★ひとこと   「朽木大野から西南稜の植谷峠経由反射板を経て西尾根へ」

西南稜のP792から西尾根の反射板を望む


★行った日   2017年1月28日(土) 晴    単独

★コース
高槻5:57(名神)=京都東IC(湖西道路、県道311、R367)=7:31朽木大野トイレP7:54→高乗寺8:06→墓地の上SS(スノーシュー)着8:18→9:33P437 9:40→P535 10:29→11:35休憩11:45→P792 12:20→植谷峠12:35→P816 13:22→反射板14:16→14:30大休止(昼食)14:54→朽木市場展望所15:14→中継局15:41→猪ノ馬場15:49→林道出合16:06→蛇谷ヶ峰登山口16:44→(SS脱)16:49→16:53朽木大野トイレP17:02(R367、県道311、湖西道路)=京都東IC(名神)=高槻19:33

 今冬初のSS(スノーシュー)漫歩は比良山系北端の蛇谷ヶ峰(じゃたにがみね)だ。今週は山陰地方のドカ雪で交通に支障が出るような寒波襲来、雪不足は解消だが豪雪による障害を心配しつつ、朽木(くつき)大野を起点に蛇谷ヶ峰西南稜の植谷峠経由山頂を経て西尾根で周回の計画だ。朝の気温は意外に高く、R367の途中峠付近は除雪された雪の壁が道路両側に積み上がっているが路面は非凍結、順調に朽木大野へ。5〜6台分除雪されたトイレ駐車場に一番乗りだ。氷点下に大きく下がっていない気温を危惧しながらSS(2Kg)を担いで昔の重い冬靴(1足2.8Kg)で出発だ。
 車道をちょっと南下して植谷を渡り、P437の尾根を目標に里道に入り、高乗寺(こうじょうじ)と思しき民家を正面に見て除雪された車道を進み、建物前で除雪壁を越えて雪原に入る。膝までもぐるつぼ足で墓地横(雪原から突き出した墓石の頭から後で墓地と気付く)から山裾に上がり、SSを履く。杉林の急坂を北へ斜めに登ると、古道のような窪みに合流するが、急坂なのでこれを無視して九十九折に登り続ける。15〜20センチほど湿雪に沈み込むため、急速になけなしの体力が奪われつつ、やっと変形ブナのある尾根端のP437だ。ここから勾配が緩くなり、朝日に照らされた樹林の縞模様の中、ゆっくり歩を進めるが、重いラッセルのしんどさは増すばかりで山頂はおろか植谷峠ピストンも頭をかすめだした。P535を過ぎてブナ林が多くなり、樹間から遥か左上方に反射板が見え、一片の雪のかけらもない梢越しに青空から陽光を浴びるとちょっと元気回復だ。P792の西南稜に向って急勾配のブナ尾根を登りつめると、西南稜の尾根端から釣瓶岳の向こうに武奈ヶ岳が望める。尾根の方向を90度近く東北に変えて雪原尾根を登るとブナ疎林帯の丸い丘がP792だ。ここから反射板まで上り一辺倒ではなくアップダウンを繰り返しながら緩やかに上っていく。

  (朽木大野トイレPを出発)(西南稜取り付きめざして植谷を渡る) (正面の高乗寺へ向う)

(墓地の上から高乗寺を見下ろす) (P437へ急坂を登る)    (湿雪に体力が奪われる)

  (P437から勾配が緩む)    (朝日に伸びる影が美しい)   (ラッセルに挫折感漂う)

(ブナ林の急坂をヘロヘロで登る)(P792へ稜線をノロノロ登る) (P792から嬉しい下り尾根)

 P792から西尾根の反射板を正面に眺めながら少しルンルン気分で下ると見事な大木杉だ。この少し先の鞍部が古道の道形に似ているので植谷峠と推定したが確かではない。植谷峠で計画より2時間も遅延しているが、自分の体力は棚に上げて1人ラッセルと重い雪質のせいにするのはいつものことだ。下りに入って少しばかり元気回復、山頂は諦めるが反射板周りで西尾根で下山決定だ。P792から反射板までの西南稜歩きがこのコースのハイライトだ。P816手前で放置されたかつての造林公社の白紙看板を経て雪質の良くなった(軽くなった)稜線を登る。P816から右にリトル比良や琵琶湖を眺めながら真っ白な疎林帯尾根を下って最後の登り返しだ。この西北稜の所々で針葉樹林を抜けるが、その雪質は最悪だ。樹木からの落雪が融雪となって雪面に堆積し、凍結した所や踏み抜き箇所が散在して歩き難く、針葉樹林は鬼門だ。南に武奈ヶ岳の山並み、その手前に登ってきた西南稜を振り返りつつ、最後の力を振り絞って急坂を登ると本日の最高点の反射板だ。計画では昼頃に着く予定だったが午後2時過ぎだ。雪道は雪質によって計画が大きく変わることを実感、当然、山頂は省略して西尾根下山開始だ。この時点で西尾根にトレースはなく、西尾根下りに数箇所ある道迷い点に注意して下り始めた。

(P792の少し先の見事な大木杉)   (鞍部の植谷峠?)    (昔の造林公社の白紙看板)

  (P816手前は雪質良好)  (P816から反射板と蛇谷ヶ峰) (稜線からリトル比良と琵琶湖)

               (P816と反射板の中間点から西尾根を望む)

  (最悪雪質の杉林を登る)  (最後の力を絞って急坂を登る)  (やっと本日の最高点へ)

             (反射板から武奈ヶ岳と本日登ってきた西南稜を望む)

 稜線を100メートルほど下った所で西尾根を登ってこられたベテラン単独行と会い歓談、ストックの片方のワッカを途中で紛失したとのこと、下山途中で見つけられればトイレ駐車場に置くことにして、トレースのお礼も言い忘れ、お互いの健闘を称えあって下山を続けた。ここからは2回下ったことがあり、雪質も分かったので余裕ができ、Ca850の緩斜面で陽光を浴びつつ遅い定番昼食だ。湿雪といえども下りは格段に楽、ブナ尾根を順調に下り、朽木市場展望所から朽木の集落の彼方に三重(さんじょう)嶽の山塊を眺め、斜光に映える急坂を下る。下り道の間違い易い所もベテラン先行者のトレースのお陰で地図を見ることもなく、中継施設から猪の馬場を過ぎて、トレース通りにいつもの林道登り口より下方のキノコ研究所の少し上で林道合流だ。先行者を真似て林道をショートカット、急坂でストックを捻って破損するアクシデントがあったが、蛇谷ヶ峰登山口を経て、車道直前でSSを脱いで午後5時前に駐車場へ帰り着いた。余談だがワッカ紛失地点は大体分かったが実物は未発見だ。帰りは湖西道路が大渋滞、1時間余分にかかって帰阪した。
 気温が高いため雪面が柔らかく、しかも湿雪で重いため1人ラッセルで疲労困憊、おまけに片足にかかる重さはSS(1Kg)と冬靴(1.4Kg)、歩行訓練の足かせ並みだ。この苦しみに勝る喜びがあるからSS歩きは止められないのだ。西尾根やリトル比良を眺めながら歩く真っ白な西南稜のブナ疎林帯、反射板からの武奈ヶ岳や西南稜の大展望、などが素晴らしかった。最後に、草川啓三著「雪山を愉しむ」の蛇谷ヶ峰の項に触発されたことを付記します。

 (反射板から山頂へ向う稜線)   (反射板から武奈ヶ岳)   (山頂へ向わず西尾根を下る)

(反射板下から単独行の足跡を)(日を浴びつつ遅い定番昼食)    (美しいブナ林下り)

 (朽木市場展望所から三重嶽) (斜光を浴びつつ急坂下り)      (気象観測中継所?)

  (アカマツ林の猪の馬場)       (林道に合流)           (キノコ研究所)

   (雪深い林道を下る)    (九十九折林道をショートカット)    (蛇谷ヶ峰登山口)

★道で出会った花(花はなし)

★ルート断面図

★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       比良山系・武奈ヶ岳
・2万5千分の1地形図  北小松

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