上谷山(1196.7m)

 

★ひとこと   「広野から上谷山をめざすが雪庇崩落回避で稜線まで」

雪庇の発達したP1168へ続く稜線


★行った日   2017年3月4日(日) 晴時々曇    単独

★コース
高槻4:15(名神、北陸道)=今庄IC(R365、県道231)=6:45広野浄水場7:06→7:25杉林上端(SS着)7:36→8:58P726 9:07→10:42(1037.1m)手倉山10:51→11:21P1069 11:25→12:08大休止(昼食)12:36→12:48P1168(Uターン)12:53→13:26P1069 13:35→手倉山13:55→P726 14:40→15:34杉林上端(SS脱)15:39→15:54広野浄水場16:04(県道231)=広野ダム(県道231、R365)=今庄IC(北陸道、名神)=高槻19:00

 上谷山(かみたにやま)は栃ノ木峠と三国岳を結ぶ江越国境稜線上にあり、余呉の奥深い山だ。日帰りで滋賀県側からアクセスするのは難しいので福井県の広野からだ。日野川流域から残雪期に登るルートは、西から宇津尾集落から高圧線沿いに登る宇津尾尾根コース、橋立集落からP1082へ登る橋立尾根コース、広野浄水場から手倉山を経て登る広野尾根コースの三本だ。今回は広野尾根コースから宇津尾尾根コースへ周回の計画だ。結果的には雪庇崩落の危険回避と湿雪による体力消耗のため広野コースピストンに終わった。今庄ICから県境で冬季閉鎖中の北国街道を南下、途中から夜叉ヶ池へ向う広野ダムまで除雪された県道を進むと広野集落手前に広野浄水場があり、その除雪スペースにとめさせて頂く。気温は-1℃とそんなに低くないが硬くしまった雪質なのでアイゼンを着けSSを携えて出発だ。
 雪の林道を2、3度折り返して登ると貯水槽のような構造物で終点だ。石段を覆っている雪の急斜面を前爪を利かしてよじ登ると貯水槽?上の小広場だ。左隅から杉林に入り地肌と雪面が半々位の斜面を登ると杉林の上端、ここから雪原が続くが踏み抜いたりするのでSSを履く。春先のように幹周りが丸く解けた樹林の中、SSのトレースも残らないような硬い雪面を快調に登る。Ca450付近では樹間から左下に広野ダムを眺めながら朝の斜光に映える雪原を登り、倒木の多いヤブの煩い細尾根を右往左往して進む。P530付近ではダム湖の彼方に笹ヶ峰を眺めつつ、巨樹もある細尾根を過ぎて木蔭の縞模様が美しい幅広ブナ林を登るとP726、腰掛け用曲がりブナを見つけて小休止だ。東方の樹林の切れ目から見える笹ヶ峰から美濃俣丸(みのまたまる)に続く白銀の稜線が素晴らしい。しばらく美しいブナ林が続くが、P750では幹周りに比較的大きな穴のある樹林だがP850では穴径が小さくなり、P900では殆んど穴がなくなり、幹の片面に雪が付着し、雪面に湿った新雪が現れ始めた。標高900以上では湿った降雪によりバージンスノーの雪原となり、快適だが徐々にSS歩行が重くなってくる。P940には直径約20メートルのドリーネ状の不思議な大穴があるが成因は不明だ。なだらかなブナ尾根を進み、少し下って長距離のSS歩きに疲労した身体に鞭打って上り坂を何とかクリアするとP1037の手倉山だ。

 (広野浄水場前から林道へ)  (林道終点の貯水槽?上へ)   (貯水槽?上から杉林へ)

(雪がつながりだしてSSを履く)(SSで硬い雪面を快適に登る) (Ca450ダム湖を足下に登る)

 (倒木の多いヤブ尾根を登る)  (Ca530朝日を浴びて登る)   (Ca550ダム湖と笹ヶ峰)

  (Ca600の稜線上の巨樹)   (P726のブナ林を行く)   (P726から左笹ヶ峰右美濃俣丸)

  (Ca750の美しいブナ林)  (Ca850のブナ斜面を登る) (Ca900で幹に雪が着き出す)

 (Ca940のドリーネ状の大穴) (手倉山手前の急坂を登る)   (手倉山手前で振り返る)

 手倉山では一気に展望が開け、南には樹林越しにP1178と上谷山、東には左千方(させんぼう)から笹ヶ峰に至る江越・越美国境の峰々が勢揃いだ。P1069から一旦下ってからP1168から北へ伸びる稜線のCa1100地点へ登る。この細い北尾根は西風をまともに受けるため成長した雪庇が連続する絶景ポイントだ。きょうはこの地方に雪崩注意報が発令中、手袋なしでも冷たくない位に気温が高いため雪庇崩落に要注意だ。ひさしに近寄らないように細尾根を三国岳分岐のP1168めざして登り、ピーク手前の木の根元の絶景ポイントで大休止だ。白銀の峰々を堪能しながら定番昼食後、このところ毎年訪れている懐かしい左千方や三国岳とそれにつながる尾根を眺めながらP1168まで上がり、上谷山を目前にして小休止だ。北方には美濃俣丸などの越美国境の白銀の峰々や日野川から来る3本の尾根ルートが望め、南方には左千方や横山岳など余呉の山々が望めた。進むべきか退くべきかハムレットの心境でしばし沈思黙考、長いSS歩きに体力を消耗している上に雪庇崩落が怖ろしいので軟弱にもUターンだ。

(沈み込みが徐々に大きくなる)     (手倉山を行く)     (手倉山からP1168と上谷山)

             (手倉山から江越・越美国境稜線を望む「復路」)

(P1069なだらかな雪原を行く)(P1168から続く稜線をめざす)   (雪原を振り返る)

 (稜線へ急坂を頑張って登る)(P1168から伸びる稜線に乗る) (P1168へ雪庇尾根を登る)

     (稜線を登る)        (雪庇に崩落部もある)       (稜線を振り返る)

(もうすぐ三国岳分岐のP1168)(左は三国岳、右は左千方)  (上谷山の目の前でUターン)

 いよいよ下山開始だ。三国岳へ向う尾根を見送り雪庇の稜線を下るが、笹ヶ峰を中心に美濃俣丸や金草岳の真っ白な山塊を正面に歩くのはすこぶる絶景だ。なだらかなブナ林の続く下山は多少の沈み込みがあっても快調だ。P726を過ぎると往路のトレースはなくなり、間違い尾根に入りかけることもしばしばだ。Ca450辺りの倒木の多い尾根からSSの踏み抜きも多くなり右往左往、何度か尻餅をつきながら下る。朝は雪面が凍結して快適だったが、下山時は気温も上がって雪が腐った状態になり、グサグサだ。朝にSSを履いた杉林上端でSSを脱ぎ、杉林を踏み抜きながら苦労して下り、貯水槽上まで来るがそれ以降は膝上まで沈んでどうにもならず、再度SSを履いて浄水場へ帰り着いた。帰りに広野ダムまで除雪状況を確認のため行ってみたがダム管理事務所までが除雪区間だ。
 晴天に恵まれ、距離は長いがさしたる急坂もないSS歩きに適した広野尾根ルートで余呉の白銀の山々を楽しむことができた。特に雪庇稜線からの余呉や越美国境の峰々の大展望、美しいブナ林などが素晴らしかった。大阪の最高気温が16℃にもなる陽気のため、SS歩きで体力を消耗するとともに雪庇崩落の危険性もあった。春山では低標高まで下山してくると朝とは雪質が一変するので未知のルートを下るときは余程の時間的余裕が必要だ。その点から宇津尾尾根ルートを下らずに良かった。

               (P1168から西南の琵琶湖方面を望む)

                 (P1168から東北の部子山方面を望む)

(P1168から三国岳へ続く稜線)   (崩落部のある雪庇)      (絶景の稜線を戻る)

   (絶景の稜線を戻る)      (P1069付近を下る)    (手倉山を過ぎてブナ林を下る)

(Ca450でヤブっぽい尾根下り) (Ca400で踏み抜き多発)    (杉林上端でSSを脱ぐ)

    (地肌の杉林を下る)    (貯水槽?上でSSを再度履く)    (広野浄水場へ)

(広野ダムふるさと公園まで開通) (ダム右岸道路は未除雪) (管理事務所前から美濃俣丸)

★道で出会った花(花はなし)

★ルート断面図

★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・2万5千分の1地形図  板取、広野

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