★ひとこと 「穂高、槍縦走第4、5日:双六小屋から笠、クリヤ谷を経て槍見温泉へ」
抜戸岩周辺から笠ヶ岳を望む
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★行った日 2004年8月11日(水)後半 晴
単独
★コース
(第4日)8月11日後半
9:12双六小屋9:30→くろゆりベンチ10:07→花見平10:24→鏡平分岐10:35→2588.4m)弓折岳10:46→11:03大ノマ乗越11:08→11:55(2662m)大ノマ岳11:59→12:29秩父平12:42→カール上13:10→笠新道分岐14:09→笠ヶ岳山荘15:30
(第5日)8月12日
笠ヶ岳山荘5:27→5:41(2897.5m)笠ヶ岳5:49→6:43休憩6:50→7:29雷鳥岩7:34→8:29水場8:36→穴滝上流渡渉10:42→槍見温泉前11:12→11:20中尾温泉口バス停11:23=12:00平湯温泉アカンダナ駐車場12:12=平湯温泉バスターミナル12:50=飛騨清見IC(東海北陸道、名神)=高槻17:45
(第4日後半)双六小屋〜笠ヶ岳山荘
双六キャンプ場をあとにして、特徴のある笠ヶ岳の山頂をめざして緩い斜面の道を進む。振り返ると鷲羽岳を背景にして双六小屋のある谷間が綺麗だ。弓折岳に続く尾根道には、一昨年にはなかった「くろゆりベンチ」や「花見平」などの休憩所が新設されているが、人工物の設置はあまり賛成できない。鏡平への分岐を左に分けしばらく進むと弓折岳山頂だ。山頂と言っても平らな丘のようだ。急坂を下って大ノマ乗越を過ぎると、大ノマ岳の急坂を登る。この草むらで雷鳥が1羽新芽をついばんでいた。大ノマ岳山頂からは少し霞んでいるが、今回の縦走で越えてきた穂高・槍連峰が屏風のように連なっているのが見え、感慨無量だった。大ノマ岳から下りの左側の絶壁に、今回の山行でここだけタカネマツムシソウが群生していた。緩い下りの稜線を行くと秩父平に入る。例年、残雪がある時分はさながら日本庭園の趣がある場所だが今回は雪渓もなく水が涸れていた。それでもここには高山植物が茂り、白や黄色の花を一面につけていた。この一角で昼食後、カールの上縁まで急坂をジグザグに登る。これはしんどい登りだった。
(弓折岳中腹から双六、鷲羽) (弓折岳から笠ヶ岳) (尾根道から鏡平方面分岐)
(分岐から鏡平) (大ノマ乗越手前から大ノマ岳) (大ノマ岳の孤独な雷鳥)
大ノマ岳から越えてきた穂高・槍稜線を望む
(槍) (大喰)(中岳) (南岳) (北穂)(涸沢)(奥穂) (大ノマ岳へ歩いてきた稜線)
(抜戸岳から笠に続く稜線) (秩父平) (秩父平のカール地形)
恐竜の背ビレのような秩父岩は近づくと巨大だ。カール上縁からハイマツのなかを稜線伝いに抜戸岳めざして登っていく。抜戸岳の山頂を巻いた所で笠新道が分岐している。地形図の分岐点よりだいぶ手前に移動している。分岐点から少し下った所に抜戸岩があり近づくと二つに割れた巨大な岩だ。笠ヶ岳山荘はすぐ近くに見えているが簡単には着かない。体力が消耗しているのであえぎつつ休み休みやっと山荘に到着した。テント場近くの雪渓は完全になくなり水はヘリで運んでいる。今年の山小屋は水対策が大仕事のようだ。
(秩父岩) (カール上縁の道標) (抜戸岳中腹から双六谷:左)
(抜戸岩) (笠ヶ岳山荘へ続く道) (山荘から抜戸岳)
(第5日)笠ヶ岳山荘〜槍見温泉前
昨日は、白山を遠景に雲海に沈む夕日が素晴らしかったが、今朝も快晴に恵まれ東南の雲海に南アルプスが浮かんでいる。甲斐駒か鳳凰3山に半分隠れた富士山が見えている。早朝の笠ヶ岳山頂は超絶景だ。西には影笠ヶ岳が雲上にその影を落し遥か彼方に白山が見え、南には乗鞍岳、御嶽山が雲海上に頭だけ出している。逆光の槍・穂高連峰はそのシルエットを浮かび上がらせている。
山頂から南へ急な稜線伝いに岩角だらけのガラ場を慎重に下る。高度を下げるに従い刻々と変わる景色を楽しみながら、錫杖に続いている稜線を下る。山荘から約2時間で雷鳥岩だ。雷鳥岩の少し手前に食べ頃のキイチゴ群生地があり、プチッと噛む歯応えと甘酸っぱい味がこたえられなかった。快適な尾根歩きはこの辺りまでで、急坂のあと森林帯に入り笹薮中の道が続く。高度も下がり風もなく太陽が照りつけるので蒸し暑い下山道だ。雷岩から約1時間でクリヤ谷源流部の水場だ。冷たい水でリフレッシュする。
水場からは樹林帯のブラインドの歩きだ。錫杖岳の近くで岩峰群を眺められるのが救いだ。水場から約2時間も歩いてやっとクリヤ谷の穴滝上流の渡渉地点だ。今は水が少ないので容易に渡れるが出水時はとても渡れそうにない。この辺りで錫杖岳へロッククライミングに行く数人のパーティーに出会う。ここから道が良くなり約30分で槍見温泉前に飛び出す。川沿いを下流方向へ少し下ると橋があり、渡った所が中尾温泉口バス停だ。古ぼけた案内標識が槍見温泉前にあるだけなのでクリア谷から登るときは注意する必要がある。笠ヶ岳山荘から6時間もかかってやっと下山したが、登りの登山者とあうことはなかった。このコースの前半の下りが快適だったが、クリア谷から登るのは長時間を要しちょっとした覚悟が必要だ。昔の宗教登山はこの道らしいが当時の苦労がしのばれる(新田次郎著「槍ヶ岳開山」)。
(南アに半分隠れた富士) (山頂付近から笠ヶ岳山荘) (笠ヶ岳山頂の祠)
(影笠ヶ岳と白山) (下り稜線と乗鞍岳、御嶽山) (穂高連峰の朝靄シルエット)
(下り稜線から見た笠ヶ岳) (下り稜線) (雷鳥岩から笠ヶ岳)
(雷鳥岩) (錫杖岳に続く岩稜) (この辺りで森林帯に入る)
(笹薮の下山道) (錫杖の岩峰群) (槍見温泉前の古ぼけた標識)
中尾温泉口から定期バスで平湯まで行き、無料シャトルバスでアカンダナ駐車場へ帰りついた。帰途、平湯バスターミナルの3階の日帰り温泉施設で5日間の疲れを流した。ここの湯船からは真正面に笠ヶ岳が見え感慨深かった。往路と同じルートで、高山を経て飛騨清見ICから東海北陸道、名神を通り、お盆の帰省ラッシュにもあうことなく夕刻無事帰阪した。
今回の山行の前半は朝のみ晴天ですぐガスってしまったが、後半は夕刻まで晴天に恵まれ、5泊6日の計画だったが4泊5日ですんでしまった。僕の場合、一回着替えたものの不潔指数や疲れ指数から4泊が限界のようだ。当初、今回のキレット越えを乗り切れるか心配だったが平常心で歩けた。後立山のキレットの方がもろい岩があって神経を使った。どちらのキレットとも矢印や丸印でルートが確実に示され、ハシゴや鎖、ボルトが完備しているので安心して登り下りできた。僕の場合、高見山山系の迷岳や池小屋山のほうが緊張した。池小屋山の高滝を高巻く所のフィックスロープの途切れた滝壺上部の絶壁を伝う道、迷岳の飯盛山やせ尾根コースでルートを探しながら岩角や木の根をつかんでよじ登る道、などが怖ろしい道として印象に残っています。
★道端の花
アキノキリンソウ(弓折岳) ハクサンイチゲ(弓折岳) ヨツバシオガマ(弓折岳)
シシウド(弓折岳) ヤクシソウ(弓折岳) クルマユリ(弓折岳)
ハクサンフウロ(大ノマ岳) コバイケイソウ(大ノマ岳) チングルマ(大ノマ岳)
タカネマツムシソウ(秩父平) ?(秩父平) ウサギギク(秩父平)
シナノキンバイ(秩父平) エゾシオガマ(抜戸岳) サワアザミ(雷鳥岩)
美味しそうなキイチゴ(雷鳥岩)
ツリガネニンジン?(雷鳥岩) シモツケソウ(雷鳥岩)
トリカブト(雷鳥岩) マルバタケブキ(雷鳥岩) タテヤマウツボグサ(雷鳥岩)
?(クリヤ谷) ソバナ(クリヤ谷) ルリトラノオ(クリヤ谷)
★ルート断面図
★地 図
(3)雷鳥岩〜槍見温泉 (2)秩父岩〜雷鳥岩 (1)双六小屋〜秩父岩
(参考地図)
・山と高原地図 上高地・槍・穂高
・2万5千分の1地形図 三俣蓮華岳、笠ヶ岳