三重岳(974.1m)

 

★ひとこと   「能登又谷から近江坂を経て霧の三重岳へ」

三十三間山から三重岳を望む(2005/5/26撮影)

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★行った日   2005年6月13日(月)  曇   単独
          
★コース

高槻5:00(名神、湖西道路)=真野IC(R367、R303、R27)=美浜町(県道、林道)=7:29能登又林道終点7:39→稜線(大御影山分岐)8:45→9:25大日・三重岳分岐9:32→P887 10:07→武奈ヶ嶽分岐10:48→10:51(974.1m)三重岳11:03→11:06武奈ヶ嶽分岐11:33→P887 12:00→12:30大日・三重岳分岐12:37→稜線(大御影山分岐)13:08→能登又林道終点13:42(林道、県道)=三浜町(R27、R8、R365)=余呉湖賎ヶ岳登山口14:58

 数日前に関西地方は梅雨入りしたが、きょうは晴との予報だったので若狭の藪山へ出かけた。しかし、湖西道路から見える比良の山並みはベールに包まれており天気の悪さを予感させていた。若狭へ抜けると県境の山々は完全に雲の中だ。美浜町から県道で新庄に向い、新庄渓流の里で栗柄谷林道(左)と能登又林道(右)に分岐しているので三叉路を右へ入る。3.4キロ能登又谷沿いに進むと能登又谷林道終点だ。舗装は中間の1.7キロ地点で途切れるが残りの地道もそんなに悪い道ではない。少し広くなった林道終点には大御影山登山口の標示がある。
 左の栗柄林道は三重岳の東側を経て箱館山へ通じており、三重岳へ登る最短コースらしいが、このところ林道通行止によく遭遇するのでこのコースを敬遠した。なお、滋賀県の赤坂山のちょっと南側にある栗柄越がこの林道の途中から別れており、栗柄は若狭と近江を結ぶ昔からの道らしい。

一昔前の栗柄について水上勉は「湖の琴」で次のように描写している・・・
ここは、滋賀の山々に近く、若狭でもたいそう南の山奥へ深く入り込んだ渓谷である。若狭は日本海に面しているけれど、栗柄のあたりへくると、もう、海よりも、むしろ、南の山をわけ入った奥の琵琶湖のほうが近かった。わずかに三十戸しかない部落だったが、「栗柄」の名は山に栗が多くて、どの家も、副業として栗を拾い、干し栗にして町へ売り出したことから連想してみても、栗山が多かったためかとも思われる。深い谷底へ、両側から山が落ち込む斜面に、まるで、貝殻でもひっかけたみたいに、粗末な藁葺き屋根や杉皮ぶきの屋根の家が並んでいたが、耕地というものが少なくて、どの家も炭焼きをなりわいとした。山で炭を焼くかたわら栗を拾ったのである。

 大御影山登山口から杉林に入り込むと、間もなく沢を渡渉して灌木帯の急登が始まる。両側が谷ではさまれ、ギンリョウソウが沢山生えている急な支尾根をジグザグに登るにつれてガスが濃くなり、広葉樹林帯を1時間あまり汗をしたたらせながら登りつめると大御影山(左)と大日(右)へ通じている近江坂の稜線だ。この稜線の登山道は灌木の枝も刈り込まれてよく整備されており、タニウツギなどの花や奇怪な幹の捻れたブナなどが彩りを添えている。一度下ってからなだらかに登り返すと大日と三重岳(さんじょうだけ)の分岐点だ。ここで近江坂と別れて左の尾根伝いに三重岳へ進む。


    (能登又林道終点)         (能登又谷渡渉)         (支尾根灌木帯急登)
 

   (支尾根ブナ林急登)      (尾根近くの捻れブナ)      (稜線、大御影山分岐)

  (近江坂稜線の登山道)   (タニウツギ満開の近江坂稜線)  (木を刈り込んだ近江坂)

  (近江坂稜線のブナ林)     (近江坂稜線のブナ林)    (近江坂と三重岳方向分岐)

 
 ここからの稜線の道はさほど整備されていないのでテープを注意深く拾っていく必要がある。杉やブナの古木混交林を過ぎるとブナ主体の樹林帯だ。この辺りのブナは捻れた幹を持つものが多く変化があって興味深い。白山のチブリ尾根のブナは雪が深くても真っ直ぐな幹だが、何故ここは曲りくねっているのか甚だ不思議だ。P887近くには湿地帯が散在し、今の季節は水溜りにオタマジャクシが真っ黒になっていた。 灌木帯を抜けると笹原にでて、少し下ってからなだらかに登り返すと再び灌木帯に入り、ここから4〜5キロ南にある武奈ヶ嶽への分岐を経て三重岳山頂だ。山頂には櫓も組んであるので上からの展望は絶好だと思われるが、きょうはガスで全然駄目だった。
 下山時に、笹原にはテープがないため薄い踏み跡を見定めながら笹原を戻っていたつもりだったが、数十センチの笹の株が足に当たって痛いので徐々に踏み跡から外れてしまった。この辺りは地形図で見ると幾つも支尾根が交差した丘になっており、ガスで周りが見えないので別方向の灌木帯に入り込んでしまってから回り道をして無事踏み跡に戻った。が、不注意にも再び山頂方向に行ってしまい武奈ヶ嶽分岐の表示をみて愕然とした次第です。約30分ガスの中を徘徊したが、ガスや雪原で方向を見失う怖さを実感しました。現在地がわからないと磁石があってもあまり役に立たないこともわかりました。
 こんな失敗を重ねながら無事登り口へ戻った。こんな悪天候でも近江坂では新庄から大日を経て大御影山へ向かう6人の年配の団体登山に逢いました。まだ早かったので賎ヶ岳へ寄るべくR27で敦賀へでて、R8から旧北陸線のトンネル経由R365で余呉湖へ向かった。

 (尾根道の曲りくねったブナ)     (稜線の杉古木)         (P887の灌木帯)

   (稜線湿地の水溜り)     (水溜りのオタマジャクシ)     (曲がったブナが続く)

    (笹原の稜線)        (迷い易い頂上手前の笹原)    (小潅木帯の迷い道)

  (三重岳と武奈ヶ嶽分岐)       (三重岳山頂)            (三重岳山頂)

 
★道端の花
    (ギンリョウソウ)           (タニウツギ)           (サワワタギ)
 
     (ナナカマド)              (?)              (コアジサイ)

★ルート断面図

★地  図

(参考地図)
・2万5千分の1地形図  三方、熊川

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