朝から雨だ。完全武装して小屋裏のお花畑の急坂を登り幹の捻じ曲がったダケカンバの茂る尾根道を進むと二軒小屋に通じる分岐点だ。広いハイマツの茂る岩尾根を登りつめると千枚岳だ。赤石岳や富士山の眺めがいいらしいがガスで真っ白だ。千枚岳からガスの中を足元だけを見つめて岩稜帯を約1時間登ると丸山だ。この辺りから悪沢岳へ続く尾根道にはお花畑が広がり、タカネマツムシソウやタカネナデシコが群生していた。岩稜の尾根を進むと今山行の最高峰3141メートルの悪沢岳だ。日本標高順6位(赤石岳は7位)だ。展望が全く得られないのが残念だ。
風が出てきたので早々に頂上をあとにして中岳との間のコルに近づくと雨が止みガスの切れ間が出だした。稜線を眺めるとなかなか雄大だ、やっと南アルプスへ来たと言う実感が湧いてきた。コルを過ぎ、中岳へ登り返すと山頂手前に中岳避難小屋(シーズン中は有人)があり熱いコーヒーで元気を取り戻した。小屋裏の中岳山頂から稜線を下るとすぐに三伏峠から塩見岳へ続く道との分岐点だ。すぐ前方には前岳があったが、展望がいまいちなので立ち寄らずに荒川小屋方向へトラバース道を下った。下り道途中からガスが消え始め、初めて立派な赤石岳の全容を見ることができた。雨もあがりルンルン気分で大勢の登山者が憩っている荒川小屋へ到着、ラーメンとビールで小屋から見えた富士山に乾杯した。当初、計画ではここで泊る予定だったが、台風が近づき始めているとの情報に接し、まだ11時過ぎなので1日短縮するため百間洞山の家まで足をのばすことにした。
(二軒小屋分岐)
(ハイマツ帯の尾根に出る)
(千枚岳)
(丸山周辺の花の尾根道)
(タカネマツムシソウ群落) (タカネナデシコ群落)
(悪沢岳へ続く岩稜帯)
(悪沢岳へ続く岩稜帯)
(悪沢岳(東岳))
(ガスが薄れた東岳・中岳稜線)
(東岳・中岳稜線のコル)
(東岳を振り返る)
(中岳から中岳避難小屋と東岳)
(中岳) (前岳と三伏峠へ続く稜線)
(三伏峠分岐、正面は赤石岳)
(荒川小屋へ続くトラバース道) (荒川小屋)
(寝そべった牛のような赤石岳)
(荒川小屋)
(荒川小屋から富士山を望む)
○荒川小屋〜百間洞山の家
小屋から大聖寺平へ通じるなだらかなトラバース道を南下する。道の両側にはタカネマツムシソウが群落を作っている。大聖寺平からは長野県側から登る小渋川ルートが右へ分岐している。沢渡渉が多く難路らしい。ガスがかかり始めた中を分岐点から左へ砂礫の急坂をジグザグに約1時間登ると岩稜に着く。30分も岩稜を進むと小赤石岳だ。殆ど視界がないのですぐ下る。間もなく椹島への分岐だ。長野県側がガスっている稜線を20分も登ると本邦7位の一等三角点のある赤石岳だ。山頂には見え難い方位盤もあり晴天であれば南アルプス有数の展望台だ。山頂のすぐ下には立派な赤石岳非難小屋(シーズン中は有人)がある。このルートは南ア南部としては珍しく頻繁に小屋や避難小屋がある安全コースだ。
赤石岳から百間洞への下りは二段構えだ。一段目は百間平の台地まで、二段目は百間平から下方だ。北アの祖父岳から雲ノ平の台地を経て薬師沢に至る地形のミニ版だ。赤石山頂の窪地を通り山稜を経て砂礫の急坂をジグザグに下る。次に岩角のゴロゴロしたガレ場をトラバースすると台地との接続点のコルだ。馬の背(稜線)を通り百間平に入るとシーズンを過ぎた高山植物帯が広がっていた。百間平は聖岳から兎岳、中盛丸山、大沢岳連山の展望台だ。特に、ここから見る聖岳は素晴らしいの一語だ。百間平の端部からハイマツ林の中の石ころガレ場の急坂が百間洞沢源頭部の大沢岳分岐まで続いている。沢沿いに少し下ると百間洞山の家だ。この小屋は立派なログハウス風で、夕食は豪華版の揚げたてトンカツだ。人数が多いときは8人交代制らしい。宿泊客は天候のせいか2人だけだった。同宿者は青年で、夜叉神から鳳凰三山、甲斐駒、仙丈をへて両俣から北岳、間ノ岳、熊ノ平、塩見、悪沢、赤石を経て9日目だそうだ。これから聖、光へ登るそうだ。元気な姿にエネルギーをもらった感じだ。
天気予報を見ていると、25日にも台風11号が静岡地方を直撃する可能性が高いとのことだった。聖岳へ行くと下山日が25日となり危ないので、再度、赤石岳まで戻って24日中に椹島まで下山することにし、聖岳は次回のお楽しみにすることに決心した。
(大聖寺平へ続くトラバース道) (大聖寺平) (小赤石岳)
(椹島分岐) (赤石岳を見上げる) (小赤石岳へ続く稜線)
(赤石岳) (赤石岳避難小屋) (赤石岳から聖岳を望む)
(赤石岳下山道から西南を望む)
(聖岳) (兎岳)
(百間平)
ヤマハハコ(千枚) ミヤマシシフド(千枚) イブキトラノオ(千枚)
ミヤマアキノキリンソウ(千枚) ヤナギラン(千枚) ナナカマド(千枚)
サラシナショウマ(千枚) ミヤマウイキョウ(千枚) タカネナデシコ(千枚)
イワベンケイ(千枚) ?(千枚) オオカサモチ(千枚)
イワインチン(荒川) ミヤマシオガマ(荒川) チシマギキョウ(荒川)
トウヤクリンドウ(荒川) ?(荒川)
タカネマツムシソウ(荒川)
オヤマソバ(荒川) オヤマソバ(荒川) クモマグサ(荒川)
タカネコウリンカ(荒川) トモエシオガマ(荒川)
ミヤマトリカブト(白)(赤石)