悪沢岳(東岳)(3141m)

 

★ひとこと   「雨の荒川三山から赤石岳を経て百間洞へ」

赤石岳山頂から悪沢岳を望む(中央右)

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★行った日   2005年8月21日(日)  晴後雨   単独
          2005年8月22日(月)  雨一時曇
          2005年8月23日(火)  雨一時曇
          
★コース

(第1日)
高槻5:00(名神、東名)=静岡IC8:40(R362)=千頭(県道)=11:15畑薙第1ダムバス停11:30(バス)=椹島ロッジ12:30
(第2日)
椹島ロッジ5:30→滝見橋千枚岳登山口5:44→林道出合7:27→清水平(水場)8:15→8:57蕨段9:02→蕨段三角点9:08→10:45駒鳥池10:55→千枚小屋11:50
(第3日)
千枚小屋5:24→二軒小屋分岐5:56→6:19(2879.8m)千枚岳6:24→(3032m)丸山7:20→8:04(3141m)悪沢岳(東岳)8:12→8:42稜線コル8:47→9:30中岳避難小屋9:50→(3083.2m)中岳9:54→三伏峠分岐10:02→10:50荒川小屋11:10→大聖寺平11:50→(3081m)小赤石岳13:12→椹島分岐13:28→13:52(3120.1m)赤石岳14:02→百間平15:27→大沢岳分岐16:00→百間洞山の家16:06

○大阪〜椹島
 いつもの通り5時出発だ。一頃より随分日の出が遅くなり、西の空に16夜の月がかかるのを見ながら天気の良さに一安心して車を走らせた。名神からは山頂に雲をかぶった湖東の山々が見えていたが、伊吹山は全く見えず関ヶ原を過ぎると雨さえ降り出した。濃尾平野に入ると雨もやみ渋滞もなく順調に進み8時40分に静岡ICを出た。コンビニで明日の昼食を買い、あとはナビの指示通りに車を走らせた。これが間違いのもと、わざわざ遠回りしてR362で本川根町を経て井川へ入った。雨の降り出した大井川に沿って県道を進み静岡から約3時間かかって畑薙第1ダム堰堤に着いた。東海フォレスト送迎バス停は約1キロ下流の駐車場にあるので引き返し、数人しか登山客の乗っていない小型バスで約1時間地道のガタガタ道を揺られ、雨の椹島へ無事到着した。椹島から次の山小屋まではどのコースをとっても1日コースだ。そのため朝に大阪を出発するとここで泊る必要があり、静岡コースは他の北アや南ア北部と異なり1日余分にかかるのがつらい所だ。きょうは雨のせいか宿泊客は少なく6畳一間を独占し、明日からの山小屋に備えて十分に睡眠できたのは幸いだった。

○椹島〜千枚小屋
 小雨の降り続くなか雨具を着けず傘をさして林道を二軒小屋方向へ歩き出した。間もなく滝見橋があり、千枚岳登山口は橋の手前を左へ入る。すぐ先の吊橋を渡ってから崩れた登山道の迂回路のガレ場が数箇所ある。注意すべき所はここだけで、あとは千枚小屋まで殆ど緩やかな登山道が延々と続いている。出発して約2時間後、林道に出会う。林道を右へ数十メートル行くと鉄梯子があるのでこれを登る。オオシラビソ林のなかを登り続けると小さな渓流があり、小広場があるので晴れていれば休憩の適地の清水平だ。出発して3時間半でオオシラビソに囲まれた小空き地の蕨段だ。すぐ先に三角点もある。この辺りからガスが濃くなると共に雨も本降りになりだしたので雨具を着ける。少し勾配の増した坂道を息を切らして登ると駒鳥池が登山道の右下にある。緑の水草に覆われた小さな沼のようだ。1960年代にはこの辺まで木材伐採が行われていたそうだが、まわりには結構太いオオシラビソがあり、寒冷地にもかかわらずこの種の木の成長の速さに驚く。この辺りから高山植物が増えだし、トリカブトやイブキトラノオが茂る中を登りつめると突然千枚小屋が現れる。小屋の周囲の草原には色々な草花が咲き乱れていた。着いたのは昼前だったが雨が威勢良く降り続けていたので千枚小屋で泊ることにした。


     (椹島ロッジ)            (千枚岳登山口)           (林道出合)

(オオシラビソ中のゆるい坂道)      (蕨段三角点)       (延々と続くオオシラビソ林)

    (駒鳥池表示)         (駒鳥池)               (昔の木馬道説明)

 (道が険しくなると千枚小屋)     (千枚小屋の花園)        (立派な千枚小屋)


○千枚小屋〜荒川小屋
 朝から雨だ。完全武装して小屋裏のお花畑の急坂を登り幹の捻じ曲がったダケカンバの茂る尾根道を進むと二軒小屋に通じる分岐点だ。広いハイマツの茂る岩尾根を登りつめると千枚岳だ。赤石岳や富士山の眺めがいいらしいがガスで真っ白だ。千枚岳からガスの中を足元だけを見つめて岩稜帯を約1時間登ると丸山だ。この辺りから悪沢岳へ続く尾根道にはお花畑が広がり、タカネマツムシソウやタカネナデシコが群生していた。岩稜の尾根を進むと今山行の最高峰3141メートルの悪沢岳だ。日本標高順6位(赤石岳は7位)だ。展望が全く得られないのが残念だ。
 風が出てきたので早々に頂上をあとにして中岳との間のコルに近づくと雨が止みガスの切れ間が出だした。稜線を眺めるとなかなか雄大だ、やっと南アルプスへ来たと言う実感が湧いてきた。コルを過ぎ、中岳へ登り返すと山頂手前に中岳避難小屋(シーズン中は有人)があり熱いコーヒーで元気を取り戻した。小屋裏の中岳山頂から稜線を下るとすぐに三伏峠から塩見岳へ続く道との分岐点だ。すぐ前方には前岳があったが、展望がいまいちなので立ち寄らずに荒川小屋方向へトラバース道を下った。下り道途中からガスが消え始め、初めて立派な赤石岳の全容を見ることができた。雨もあがりルンルン気分で大勢の登山者が憩っている荒川小屋へ到着、ラーメンとビールで小屋から見えた富士山に乾杯した。当初、計画ではここで泊る予定だったが、台風が近づき始めているとの情報に接し、まだ11時過ぎなので1日短縮するため百間洞山の家まで足をのばすことにした。
     (二軒小屋分岐)       (ハイマツ帯の尾根に出る)         (千枚岳)

 (丸山周辺の花の尾根道)    (タカネマツムシソウ群落)     (タカネナデシコ群落)

 
   (悪沢岳へ続く岩稜帯)       (悪沢岳へ続く岩稜帯)       (悪沢岳(東岳))

(ガスが薄れた東岳・中岳稜線)  (東岳・中岳稜線のコル)       (東岳を振り返る)

 
(中岳から中岳避難小屋と東岳)        (中岳)          (前岳と三伏峠へ続く稜線)

 (三伏峠分岐、正面は赤石岳) (荒川小屋へ続くトラバース道)      (荒川小屋)

 
 (寝そべった牛のような赤石岳)      (荒川小屋)        (荒川小屋から富士山を望む)

○荒川小屋〜百間洞山の家
 小屋から大聖寺平へ通じるなだらかなトラバース道を南下する。道の両側にはタカネマツムシソウが群落を作っている。大聖寺平からは長野県側から登る小渋川ルートが右へ分岐している。沢渡渉が多く難路らしい。ガスがかかり始めた中を分岐点から左へ砂礫の急坂をジグザグに約1時間登ると岩稜に着く。30分も岩稜を進むと小赤石岳だ。殆ど視界がないのですぐ下る。間もなく椹島への分岐だ。長野県側がガスっている稜線を20分も登ると本邦7位の一等三角点のある赤石岳だ。山頂には見え難い方位盤もあり晴天であれば南アルプス有数の展望台だ。山頂のすぐ下には立派な赤石岳非難小屋(シーズン中は有人)がある。このルートは南ア南部としては珍しく頻繁に小屋や避難小屋がある安全コースだ。
 赤石岳から百間洞への下りは二段構えだ。一段目は百間平の台地まで、二段目は百間平から下方だ。北アの祖父岳から雲ノ平の台地を経て薬師沢に至る地形のミニ版だ。赤石山頂の窪地を通り山稜を経て砂礫の急坂をジグザグに下る。次に岩角のゴロゴロしたガレ場をトラバースすると台地との接続点のコルだ。馬の背(稜線)を通り百間平に入るとシーズンを過ぎた高山植物帯が広がっていた。百間平は聖岳から兎岳、中盛丸山、大沢岳連山の展望台だ。特に、ここから見る聖岳は素晴らしいの一語だ。百間平の端部からハイマツ林の中の石ころガレ場の急坂が百間洞沢源頭部の大沢岳分岐まで続いている。沢沿いに少し下ると百間洞山の家だ。この小屋は立派なログハウス風で、夕食は豪華版の揚げたてトンカツだ。人数が多いときは8人交代制らしい。宿泊客は天候のせいか2人だけだった。同宿者は青年で、夜叉神から鳳凰三山、甲斐駒、仙丈をへて両俣から北岳、間ノ岳、熊ノ平、塩見、悪沢、赤石を経て9日目だそうだ。これから聖、光へ登るそうだ。元気な姿にエネルギーをもらった感じだ。
 天気予報を見ていると、25日にも台風11号が静岡地方を直撃する可能性が高いとのことだった。聖岳へ行くと下山日が25日となり危ないので、再度、赤石岳まで戻って24日中に椹島まで下山することにし、聖岳は次回のお楽しみにすることに決心した。

 (大聖寺平へ続くトラバース道)      (大聖寺平)            (小赤石岳)

     (椹島分岐)          (赤石岳を見上げる)      (小赤石岳へ続く稜線)

      (赤石岳)          (赤石岳避難小屋)       (赤石岳から聖岳を望む)

(赤石岳下山道から西南を望む)
             (聖岳)        (兎岳)             (百間平)

 (百間平から赤石岳を望む)       (百間平)           (百間洞山の家)

 
★道端の花
 
  マルバダケブキ(千枚)      クロサワアザミ(千枚)       ミヤマトリカブト(千枚)
 
   ヤマハハコ(千枚)        ミヤマシシフド(千枚)       イブキトラノオ(千枚) 
 
 ミヤマアキノキリンソウ(千枚)    ヤナギラン(千枚)         ナナカマド(千枚)
 
   サラシナショウマ(千枚)    ミヤマウイキョウ(千枚)      タカネナデシコ(千枚)
 
   イワベンケイ(千枚)          ?(千枚)           オオカサモチ(千枚)
 
   イワインチン(荒川)       ミヤマシオガマ(荒川)      チシマギキョウ(荒川)
 
   トウヤクリンドウ(荒川)         ?(荒川)         タカネマツムシソウ(荒川)
 
    オヤマソバ(荒川)        オヤマソバ(荒川)        クモマグサ(荒川)
 
   タカネコウリンカ(荒川)     トモエシオガマ(荒川)     ミヤマトリカブト(白)(赤石)
 
  ヨツバシオガマ(赤石)       エゾリンドウ(赤石)       タカネヒゴタイ(赤石)
 
  タカネヤハズハハコ(赤石)       ?(赤石)          ミネウスユキソウ(赤石)
 
    ミネズオウ(千枚)       ミヤマコウゾリナ(赤石)        ?(赤石)
 
 タカネグンナイフウロ(赤石)     ウサギギク(赤石)       ミヤマキンポウゲ(赤石)
 
      ?(赤石)          ハナチダケサシ(赤石)     セリバシオガマ(赤石)
 
     ?(赤石)           カニコウモリ(椹島)       フシグロセンノウ(椹島)

★ルート断面図

○椹島ロッジ〜千枚小屋

○千枚小屋〜百間洞山の家

★地  図

○椹島ロッジ〜千枚小屋
(1)椹島ロッジ〜清水平(水場)        (2)清水平(水場)〜千枚小屋

○千枚小屋〜百間洞山の家
(1)千枚小屋〜大聖寺平        


(2)大聖寺平〜百間洞山の家

(参考地図)
・山と高原地図       塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図  赤石岳

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