白山から西南に伸びる稜線の終端に位置する経ヶ岳はおよそ100万年前の火山でできた男性的な山だ。日本三百名山に数えられ県境を除く福井県で最も高い山だ。白山を望む展望尾根歩きを期待して、当初、法恩寺山から尾根伝いに経ヶ岳へピストンの計画だったが、残念ながら天候が思わしくなく雲の中だ。仕方なく法恩寺林道から、経ヶ岳と法恩寺山へ別々に向うことにした。福井ICからR158で大野を経て六呂師高原へ、高原の手前からガスにつつまれた法恩寺林道へ入り、唐谷コースを右に分けさらに進むと法恩寺林道完成記念碑の建つ林道登山口駐車場だ。霧雨の悪天候だが数十台の車がとまっていた。沿線に登山口の他にスキー場などがあり、完全舗装の立派な林道だ。
林道を少し下ると六呂師から続く登山道と交差し、経ヶ岳登山口の標柱があるのでここから登山開始だ。針葉樹林が過ぎるとブナなどの広葉樹の急坂を上る。霧のブナ林は幻想的な風景だが、急坂などで小木を掴むと雫のお返しがくるので閉口する。約1時間登ると三角点のある保月山広場だ。小灌木帯の稜線を東進し、見晴しの良さそうな岩稜を通過して、岩場を巻き急坂を登ると釈氏ヶ岳(杓子ヶ岳)だ。ここからなだらかな湿地帯もある笹原が続き、中岳を過ぎて季節外れのタムシバを眺めながらなだらかに下ると唐谷コース合流点鞍部の切窓だ。鞍部から山頂まで旧火口壁の急な尾根道が続く。展望の良さそうなところだが真っ白で何も見えないので黙々と登るだけだ。人気の山らしく悪天候にもかかわらず山頂では十数人の登山者が憩っていた。山頂から東北の尾根伝いに北岳に向う尾根道が伸びているが、藪の程度は不明だがそんなにひどくなさそうだ。ガスはとれそうにないので往路通りに下山し、林道で法恩寺山登山口へ向った。
(林道登山口) (針葉樹林を上る) (ブナなど広葉樹の森を上る)
(小広場の保月山三角点) (小灌木の尾根を行く) (岩稜尾根を行く)
(岩場のロープ場もある) (平らな釈氏ヶ岳(杓子ヶ岳)) (笹原草原の道を行く)
(平らな中岳) (湿地帯に残るタムシバ) (鞍部の切窓)
(旧火口縁を上る)
(悪天候でも大繁盛の経ヶ岳) (山頂から往路を下る)
経ヶ岳登山口から法恩寺山登山口へ至る林道は意外にアップダウンが大きく、最低点の御堂の滝分岐まで240m下って中の平避難小屋まで300m上るので、チャリンコ縦走は難しい。中の平避難小屋近くに車を置き、法恩寺山へ出発だ。薄暗い針葉樹林を進むと丸太階段が現われ、ブナ林に変わるが階段は延々と続く。スキー場の横を過ぎると法音寺跡だ。市ノ瀬へ抜ける白山越前禅定道がここを通り、宿泊休憩所を兼ねていたそうだ。このすぐ先が法恩寺山三角点広場で方位板もあり、大長山や赤兎山の彼方に白山が望めるそうだが残念ながら真っ白だ。いつの日か晴天時に経ヶ岳まで展望尾根を歩きたいものだ。往路通りに下り、宿泊地の佐野温泉へ向った。
白山展望尾根歩きをめざしたが残念ながら悪天候のため断念、両山とも林道からのピストンだ。経ヶ岳の保月山コースはブナ林あり、岩稜あり、草原あり、急登ありの変化に富んだ花の道だ。中ノ平から法恩寺山へは階段ばかりだが2時間かからずに往復できるお手軽展望コースだ。
(中の平避難小屋) (薄暗い針葉樹林を進む) (延々と続く丸太階段を上る)
(ブナ林を上る)
(スキー場の横を上る)
(白山越前禅定道の法音寺跡)
(小灌木帯を行く)
(法恩寺山三角点山頂広場)
(山頂の北隣りはスキー場)
(大長山から経ヶ岳-法恩寺山界隈を望む(2007年6月13日撮影))
★道で出会った花
ホウチャクソウ(林道登山口) フタリシズカ(林道登山口) ヤマボウシ(林道登山口)
アカモノ(保月山) ベニサラサドウダン?(保月山) イワカガミ(釈氏ヶ岳)
ナナカマド(釈氏ヶ岳) ムシカリ(釈氏ヶ岳) エンレイソウ(釈氏ヶ岳)
ユキザサ(釈氏ヶ岳) チゴユリ(釈氏ヶ岳) カンスゲ(釈氏ヶ岳)
ミツバオウレン(釈氏ヶ岳) ニッコウキスゲ蕾(釈氏ヶ岳) ナガバモミジイチゴ(釈氏ヶ岳)
タムシバ(中岳) ツバメオモト(中岳) ミツバツチグリ(中岳)
ツクバネソウ(中岳) マイヅルソウ(中岳) ツボスミレ(中岳)
★ルート断面図
(1)経ヶ岳
(2)法恩寺山
★地 図
(1)経ヶ岳
(2)法恩寺山
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・2万5千分の1地形図 越前勝山
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