(8月22日)
雲が切れ青空ののぞく天気なのでもう一泊して黒部五郎岳ピストンを決定、木道をなだらかに上り始めた。太郎山への道を右に分け直進、やがて木道がきれて表土が流されたような裸地の道を上り、背の低い樹林帯を抜けると池塘が点在する草原だ。振り返ると両翼を広げた薬師岳が北にそびえている。少し上ると緑の草原の稜線にでて、もう少し早ければ残雪の斜面が続くが、今は殆ど残雪のないなだらか斜面を持つ稜線がカーブし、その向うに北ノ俣岳がなだらかに盛り上がっている。稜線の草原はチングルマの巻き毛が風になびいているだけだが、残雪の消えたばかりの所ではハクサンイチゲが一斉に咲き揃っていた。神岡新道分岐から少し進むと北ノ俣岳山頂広場だ。空はどんよりと曇り遠景の展望はきかないが、黒部五郎まで続く幅の広いなだらかな草原のような稜線が美しい。山頂からなだらかに下り、赤木岳の東側の山裾のゴーロ帯を下ると中俣乗越だ。乗越からP2578を左から巻くようにハイマツ帯を上り、一旦下ってから広い草原の斜面を上るとP2555の岩稜があり、見晴しもよく休憩の適所だ。ここから黒部五郎の肩まで急坂をあえぎながら登る。疲れがたまっているので数十メートル毎に休憩し、徐々に見晴しのよくなる周りの景色を楽しみながら、登りつめるとカールへ下る道と頂上への道の分岐点の肩だ。少し岩稜帯を上ると積み重なった岩石の上に標識の立つ黒部五郎岳だ。文字通り北アルプスの全方位の展望台だ。西には笠ヶ岳から始まって乗鞍岳、白山、薬師岳、東には薬師岳から始まって後立山、裏銀座、槍穂の山々、が望めた。
(薬師岳を背に太郎平を進む)(花期の終わった太郎平を南下)(河原状の道をなだらかに上る)
(見晴しのよい草原尾根を進む) (神岡新道分岐を更に南下)
(北ノ俣岳三角点)
(黒部五郎へ広大な稜線を下る) (だんだん近づく黒部五郎)
(赤木岳のゴーロ帯を行く)
(中俣乗越付近) (ハイマツ帯を行く)
(P2555の岩稜で一休み)
(黒部五郎上り斜面から薬師岳と歩いて来た稜線を望む)
(山頂直下のガレ場を上る)
(カールへの下り道分岐) (黒部五郎岳山頂)
(黒部五郎岳から360度の景観、南〜西〜北)
(黒部五郎岳から360度の景観、北〜東〜南)
登りには曇っていた空模様も下山時には完全に晴れ渡り、展望を楽しみながら下ることができた。派手な草花はないが、トウヤクリンドウやタテヤマリンドウ、ウサギギクなどを急坂の山肌で撮りながら下り、中俣乗越付近で黒部五郎に向う薬師岳山頂で出会った彼女と逢い挨拶を交わす。北ノ俣岳付近からは槍ヶ岳がくっきり望めた。ここから薬師岳をいつも正面に見てなだらかに下り、なかなか近づかない太郎平小屋を目標に歩を進め、10時間半もかかってガスり始めた小屋へやっと帰り着いた。
きょうは好天に恵まれ草原の天空散歩を楽しむことができた。特に、北ノ俣岳から黒部五郎岳に至る展望の尾根道は、常に薬師岳と黒部五郎岳を南北に見ながら進む絶景街道だ。
(黒部五郎肩から薬師岳(左)とカール(右))
(山頂直下のトウヤクリンドウ)
(山頂直下のタテヤマリンドウ) (黒部五郎登山路を振り返る)
(中俣乗越付近からの広大な風景、薬師岳(左)黒部五郎岳(右))
(赤木岳付近を北ノ俣岳へ) (薬師岳) (槍ヶ岳)
(先のケルンが北ノ俣岳山頂)
(北ノ俣岳山頂)
(神岡新道分岐を直進)
(稜線漫歩、正面は薬師) (稜線漫歩、正面は赤牛)
(やっと太郎平小屋が見える)
(なかなか小屋に近づかない)
(太郎平から見える黒部五郎)
(やっとガスった小屋到着)
(8月23日)
一日目に風呂に入ったとはいえ山に入って5日目ともなると身体が臭ってくるようだ。折立9時のバスに乗れるよう出発だ。初めは木道だが見晴しのよい石ころがごつごつした道もある石畳の遊歩道を下る。正面に有峰湖、右には大日岳から剱の山並みを見ながら下り、小灌木帯に入ると三角点だ。ここから樹林帯に入り根の絡まった歩き難い道をどこまでも下ると折立登山口だ。定刻通りのバスで有峰口へ、すぐに来た電車で立山駅へ戻った。駅のレストランで久しぶりの立派な食事をして元気を回復し、まだ時間が早いので、バスの窓からしか遠望したことのなかった称名滝見物に向った。所定の駐車場にとめて称名峡谷を終点まで歩くと称名滝だ。近くで見ると落差350メートルの立派な滝だ。温泉に入るのも邪魔くさくなってそのまま往路通りに渋滞もなく順調に帰阪した。
今回は1日だけ雨にたたられたが、その他は天候に恵まれて室堂から黒部五郎岳まで歩くことができた。五色ヶ原や北ノ俣岳など女性的な曲線美の世界や、スゴ乗越付近や薬師岳の男性的な稜線もあって、いずれも北アルプスの峰々を背景とした景観が素晴らしかった。特に、ライチョウに見守られたスゴノ頭での昼寝が最高だった。どうでもよいことだが、これで剱岳の馬場島から槍穂を経て上高地までつながったことになる。
(見晴しのよい石畳の道を下る) (有峰湖へ向って直進) (歩き難い小木帯に入る)
(P1870三角点ベンチ)
(大木樹林を下る) (折立登山口)
(称名峡谷終端部)
(探勝路途中の大日岳登山口) (落差350メートルの称名滝)
★道で出会った花(8月19日の浄土山に一括掲載)
★ルート断面図
(1)太郎平小屋〜黒部五郎岳
(2)太郎平小屋〜折立
★地 図
(1)太郎平小屋〜黒部五郎岳
(2)太郎平小屋〜折立
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 剱・立山
・2万5千分の1地形図 薬師岳、三俣蓮華岳、有峰湖
Homeへ