静岡市を流れる安倍川の最奥の水源が山伏(やんぶし)から八紘嶺(はっこうれい)に連なる山梨県境の稜線だ。田代から県道を畑薙(はたなぎ)ダムへ向い、トンネル手前を右折して井川雨畑林道に入る。大井川を渡って小河内の集落を抜け小河内川に沿って進む。途中で川から離れて高度を上げ、県民の森へ向かう道を右に分けて山腹の道を大無間山(だいむげんさん)の山塊を眺めながら進むと山梨県境の標高1830メートルの峠だ。山伏への最短ルートの登山口で駐車できるように道が広くなっており、南ア南部が遠望できる景観の峠だ。気温5℃の風の強い寒い峠には3台先行車があったが、撮影の車などで登山者ではなかった。
県境標識のたつ登山口から朝露に濡れた笹をかき分けながら展望のよい急坂の稜線を登る。大無間山などの深南部の山々や光(てかり)岳から笊(ざる)ヶ岳へ続く南ア南部の山々が少し雲をかぶって広がっているのは壮観だ。直ぐにはっきりした登山道となり、急坂を30分ほど劇登りすると山伏三角点だ。山頂手前で大きな三脚を担いだ人に出逢ったが、朝3時にきてベストショットを狙っていたがガスのためきょうはがっかりだと言って下って行った。山頂の南側には笹原が広がり初夏にヤナギランが咲き誇り、笹原をめぐる遊歩道があって展望台から富士山も望めるそうだが、きょうは両者とも駄目だ。綺麗に刈り込まれた笹原の道をなだらかに下り、爽やかな広葉樹の疎林帯を進む。丘のようなヨモギ沢の頭を過ぎて振り返ると紅葉したカエデの一種オオイタヤメイゲツ?越しに山伏が望めた。シラビソのピークを過ぎて、前方になだらかな七面山を遠くに眺めつつ色付いた木々の茂る稜線を下ると鞍部の新窪乗越だ。西日影沢からくる道との合流点だ。日影沢から大谷嶺へ向う単独行の人と歓談、ガスの晴れ間に大谷川の谷筋が俯瞰できた。
(井川雨畑林道県境登山口) (稜線を登る)
(急坂をジグザグに登る)
(稜線の見晴ポイントから南ア南部の山々を望む)
(山伏三角点)
(山頂の笹原を巡る遊歩道)
(整備された道をなだらかに下る)
(癒やしの尾根道を行く) (起伏の少ないヨモギ沢の頭) (山伏を振り返る)
(ピークを越える)
(東北に尖っていない七面山) (色付いた尾根を下る)
(新窪乗越) (新窪乗越から南の大谷川を俯瞰) (鞍部から急坂を上る)
小さなコブを越えて大谷崩れの上端のロープ場の急坂を登りきると大谷嶺三角点だ。山頂広場から北側の視界が開け、山名板によれば光岳から七面山まで見渡せる南ア南部の展望台だがきょうはガスって全く駄目だ。山頂からは低い笹原林床の疎林帯をなだらかに下り、少し登り返すと五色の頭だ。この先辺りからやせ尾根となり、アップダウンを繰り返しつつ高度を下げ、最後に急登する。鞍部付近から特徴ある三角錐の七面山がガスの合間に望めた。稜線を急登すると八紘嶺山頂だ。樹林の中の三角点なので視界はなく、山頂から南尾根の梅ヶ島へ、北尾根の七面山へ、西尾根の大谷嶺への三つの尾根が伸びている。梅ヶ島から来られた5、6人のパーティーが休憩中だったがすぐ下山され、僕も今日中に帰阪の予定なので間もなく山頂を後にした。
(草地の稜線を上る) (急坂の樹林帯を上る) (南アも望める大谷嶺)
(山頂から東へ稜線を進む) (カラマツ林を行く) (五色の頭)
(紅葉のやせ尾根を行く) (急坂を上る) (尾根を登りつめると八紘嶺)
(八紘嶺三角点)
(尾根道を元へ戻る) (紅葉の尾根道を下る)
(稜線から三角錐の七面山) (稜線から梅ヶ島温泉と十枚山) (五色の頭まで戻る)
下山も往路通りだが少しガスが晴れつつあり、稜線の紅葉を愛でながら登山口へ下り立った。当初は井川へ下る予定だったが井川雨畑林道から見える南アの山々が素晴らしかったので身延町へ下ることにした。初めは笊ヶ岳展望路のような林道を延々と下り、八紘嶺や七面山の麓を下って奈良田からきた県道37と合流、R52、R1を経て3時間弱かかって清水ICへ出た。いつの日か南アへ奈良田から入る時の道路状況がほぼつかめた感じだ。東名では大都市手前で休日渋滞に出会ったがほぼ順調に帰阪した。
ガスって遠望はいまいちだったが南ア南部の雄大な見晴しを楽しむことができた。安倍川の源流域の色付き始めた稜線の癒やしの森が素晴らしかった。更に、笊ヶ岳展望林道もプラスアルファーだ。
(山名板もある大谷嶺頂上) (急坂を下りやせ尾根を渡る)
(大谷崩れの上端を下る)
(新窪乗越手前のピークから十枚山方面を望む)
(新窪乗越) (紅葉稜線を山伏へ向う) (山伏への上り道)
(山伏から荒川三山(中央))
(山伏山頂から登山口へ下る) (すこし薮っぽい道もある)
(稜線の急坂を下る) (稜線から布引山と笊ヶ岳) (樹林帯をジグザグに下る)
(もうすぐ登山口)
(雨畑へ向う林道) (笊ヶ岳好展望の林道を進む)
★道で出会った花(大無間山に記載)
★ルート断面図
★地 図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図 梅ヶ島
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