水晶岳(2977.7m)赤牛岳(2864.2m)
★ひとこと 「裏銀・読新第5、6日:水晶小屋から読売新道で黒部湖へ」
三ッ岳から赤牛岳を望む
★行った日 2010年7月23日(金) 曇後晴
単独
2010年7月24日(土) 晴一時曇
単独
★コース
(第5日)
水晶小屋5:23→6:06(2977.7m)水晶岳6:12→7:07温泉沢の頭7:14→8:41雪渓休憩8:46→9:27(2864.2m)赤牛岳9:45→11:02P2578
11:17→5/8 11:37→3/8 12:34→ロープ場13:19→奥黒部ヒュッテ14:32
(第6日)
奥黒部ヒュッテ7:02→9:10平ノ渡場10:20=渡し舟(10分)=中ノ谷10:57→12:09休憩12:21→御山谷13:07→タンボ沢13:40→13:47ロッジくろよん13:59→14:31黒部ダム駅14:35(バス)=14:50扇沢15:02(県道45、R147)=豊科IC(長野道、中央道、名神)=高槻20:50
(第5日)
水晶小屋から水晶岳、赤牛岳を経て奥黒部ヒュッテに至る読売新道を下る計画だ。きょう水晶小屋から読売新道を下るのは埼玉の3人組の男性と計4人だけだ。昨晩は風の音がひどかったが、今回初めてガスに包まれた夜明けだ。長丁場の初めてのコースに少し緊張気味で出発だ。
小屋の裏から表示通りに稜線をなだらかに登り、岩稜にさしかかる頃に少しガスが薄くなり周囲が見えてくる。ハシゴ場もある岩場にチョウノスケソウやタカネシオガマが彩りを添えていた。水晶岳は岩稜帯に山名杭が建っているだけだ。岩稜帯を下り始めると、西方にはガスの晴れ間に雲ノ平の草原が見え、左下には赤い屋根の高天原山荘が望めた。水晶岳から残雪のある岩稜を約1時間下ると高天原へ下る分岐点の温泉沢ノ頭だ。ガスが晴れ始めた主稜線を下る。三ッ岳から眺めるとなだらかな稜線だが、実際は岩稜の積み重なった岩場もあるごつごつした尾根道だ。稜線の先に赤牛岳が連なり、西には黒部五郎岳が雲ノ平の先にそびえ、後の稜線には水晶岳が盛り上がっていた。水晶小屋から4時間かかってやっと赤牛岳だ。東側のガスは晴れなかったが、西側の薬師岳から黒部五郎に続く稜線が鮮やかに望めた。
(ガスった水晶小屋を出発) (稜線を進む)
(岩稜尾根を行く)
(水晶岳頂上) (岩稜帯をなだらかに下る) (左に雲ノ平が見えてくる)
(左下に高天原山荘も見えてくる)
(温泉沢ノ頭) (稜線をなだらかに下る)
(稜線の先に赤牛岳も見えてくる)
(途中の岩稜帯を越える) (左に見える黒部五郎岳)
(振り返ると水晶岳)
(赤牛岳頂上) (険しい稜線を下る)
(赤牛岳から西の薬師岳から黒部五郎岳へ続く稜線を望む)
山頂から尾根が二手に別れているが、右の険しい稜線を下る。しばらく左の口元ノタル沢側も右の東沢谷側も切れ落ちた鋭い稜線を注意深く下る。やがて岩稜を越えるとなだらかなハイマツ帯の稜線となり、前方に黒部湖、その左に立山や剱岳、その右に針ノ木や蓮華岳が連なる景観が続く。道中には8分割した表示があるが、5/8付近から低潅木帯に入り、点在する草原に木道が敷かれている。P2578を過ぎた辺りでは東の烏帽子岳の岩峰がすぐ近くに見え、道の近くにはロボット雨量計?が設置されていた。4/8辺りから森林帯に入り、所によっては大木が林立する滑りやすい木の根の絡まった歩き難い道が延々と続く。ハシゴ場を過ぎると道も良くなる。ここでミズナラの枯木に生えたピンク色の幅30センチ位のゴムの様な柔らかいキノコ発見、帰宅後、ネットで調べるとマスタケと云う名称で柔らかいうちは油炒めなどで美味しいそうだ。ハシゴ場から1時間余樹林帯を歩くと奥黒部ヒュッテだ。ここは風呂もあり久しぶりに疲れを癒して生き返った心地だ。前後して下ってきた3人組と同室で、山談義に花を咲かせながら早々に寝てしまった。
下り道で出会ったのは水晶まで登る若い男性登山者1人と赤牛岳ピストンの小屋の従業員2人だけだ。読売新道は、殆ど人に出会うこともなく静かな山歩きができ、また、前半の好展望の尾根歩きが素晴らしい。
(東沢側が切れ落ちた稜線が続く)(黒部湖を望む絶景が続く)
(岩稜もある稜線を下る)
(P2578の6/8ポイント付近から黒部湖を中心とした風景)
(ハイマツ帯を下る)
(8分割の表示例) (草原が現れる)
(樹林帯に入る) (木道の整備された道)
(大木の茂る道)
(木の根の絡まった道)
(ハシゴ場とロープ場がある) (樹林を坦々と下る)
(名称不明の食べられるキノコ)
(黒部川が近くなってきた) (やっと奥黒部ヒュッテ到着)
(第6日)
きょうは黒部川の東沢谷出合から平の渡しを経て黒四ダム堰堤に至る黒部ダム湖の岸辺をたどる道だ。出発点と終着点の標高差はあまりないが、谷や沢を迂回する桟道のアップダウンが結構あり、軽々しく侮れない道だ。
サワグルミの大木が玄関にある奥黒部ヒュッテを後にして雪解け水で増水している東沢谷の仮設橋を渡る。しばらく河川敷の平地をたどるが、すぐに右岸の断崖に沿った道となり、何度もアップダウンして沢を丸太橋で越え、最後に崩れ落ちた桟道をこわごわ渡ると樹林の穏やかな道になる。しばらく進むと渡し場の表示があり、丸太階段が湖面に下っている。本来の渡し場はもう少し針ノ木谷の方に進んだ所にあるが、崩落していまは使っていない。渡し場で1時間余待つと向こう岸から渡し舟が静かに現れ、約10分で平の小屋側の岸辺だ。船上から針ノ木谷の入口が見渡せ、崩落した渡場のコンクリート階段が残っていた。なお、料金は関電が負担して無料だ。木の間から黒部湖を行く遊覧船を見ながら、相変わらず沢毎にアップダウンを繰り返しながら進む。ブナ林に入り、対岸に赤沢岳の猫の耳が見え出すとロッジくろよんが近い。ロッジの自動販売機で2本ジュースを丸呑みして、いよいよホームストレッチだ。ロッジからは舗装遊歩道が続き、かんぱ谷の吊橋を渡り、遊覧船乗り場を右に見て進むとトンネルだ。トンネル内でロープウエー乗り場を左に見て右へ進むと巨大なダム堰堤だ。観光放水の虹を見ながら堰堤を渡り、再び右岸のトンネルに入ると扇沢行きのトロリーバス乗り場だ。丁度出発時刻のバス、15分でかんかん照りの扇沢だ。休日とあってバスやマイカーで満車状態だ。大町温泉郷では、昨日風呂に入ったので食事だけにして、往路通りに順調に帰阪した。
6日間とも雷雨もなく梅雨明けの安定した晴天に恵まれ、長い山行を楽しむことができた。しかし4日目位から疲れがたまり注意が散漫になりがちなので僕の限界は3泊4日だ。印象に残ったのは蓮華岳から不動岳に至るアップダウンの厳しい山域と、赤牛岳から下り尾根道の尾黒部湖が美しい景観だ。船窪小屋も印象深かった。70代後半に入って、幸い足腰は丈夫だが心肺機能が低下、ゆっくりゆっくりをモットーに自然を楽しみながら山歩きを続けるつもりだ。
(東沢谷の仮設橋を渡る) (緑の河川敷を進む)
(所々崩れた桟道を行く)
(工事中の仮設橋) (崩落した桟道をこわごわ渡る) (仮設渡し場)
(やってきた渡し舟)
(左正面が針ノ木谷) (何度もこのような沢筋を渡る)
(ブナの道を行く) (左は赤沢岳の猫の耳)
(ロッジくろよん)
(舗装遊歩道を行く)
(左のかんば谷橋を渡る) (右岸のトンネルを入るとバス停)
★道で出会った花
タカネシオガマ(水晶岳) イワベンケイ(水晶岳)
タカネヤハズハハコ(水晶岳)
イワオオギ(水晶岳) チョウノスケソウ(水晶岳)
タカネツメクサ(赤牛岳)
アオノツガザクラ(4/8) タカネバラ(4/8)
ゴゼンタチバナ(3/8)
?(3/8) ギンリョウソウ(1/8)
ヤグルマソウ(1/8)
オオバギボウシ(奥黒部ヒュッテ)ヨツバヒヨドリ(奥黒部ヒュッテ) ウド(奥黒部ヒュッテ)
ウバユリ(奥黒部ヒュッテ)
ヤマハハコ(奥黒部ヒュッテ)
ヤマブキショウマ(奥黒部ヒュッテ)
モリアザミ?(平ノ渡) オオカサモチ(平ノ渡)
ホタルブクロ(平ノ渡)
オミナエシ(平ノ渡)
?(平ノ渡) テンニンソウ?(平ノ渡)
フジアザミ(平ノ渡) カワラナデシコ(御山谷)
シモツケソウ(扇沢)
★ルート断面図
(1)水晶小屋〜奥黒部ヒュッテ
(2)奥黒部ヒュッテ〜黒部ダム駅
★地 図
(1A)水晶小屋〜赤牛岳 (1B)赤牛岳〜奥黒部ヒュッテ
(2A)奥黒部ヒュッテ〜中ノ谷 (2B)中ノ谷〜黒部ダム駅
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 鹿島槍・五竜岳
・2万5千分の1地形図 烏帽子岳、薬師岳、黒部湖
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