笈ヶ岳(1841.4m)冬瓜山(1627.9m)

 

★ひとこと   「ジライ谷から残雪の冬瓜山を経て笈ヶ岳ピストン」

冬瓜山から笈ヶ岳を望む


★行った日   2012年5月13日(日) 晴 単独

★コース

 一里野温泉4:12(R360)=4:23中宮展示場4:30→4:54野猿観察小屋5:01→大岩6:09→7:05P1271 7:13→冬瓜平分岐8:07→8:55(1627.9m)冬瓜山9:02→9:47(1699m)シリタカ山9:57→11:11冬瓜平合流10:14→県境尾根11:00→11:39(1841.4m)笈ヶ岳12:02→県境尾根12:25→13:05冬瓜平出合13:13→13:59冬瓜平14:07→冬瓜平分岐14:28→P1271 15:13→大岩15:51→野猿観察小屋16:51→17:21中宮展示場17:35(R360、R157、R416)=福井北IC(北陸道、名神)=高槻21:29

 笈ヶ岳(おいずるがだけ)は両白(りょうはく)山地北部にあって大門山(だいもんざん)、奈良岳(ならだけ)、大笠山(おおかさやま)などとともに石川・岐阜・富山県境の山だ。これらの山々は標高2000メートルに満たないが豪雪地帯にあり、通常は6月以降に開かれる林道から日帰り登山が可能だが、笈ヶ岳には夏道はなく白山スーパー林道ゲートまで除雪される4月末頃から薮の現れる5月中旬までの半月余りのみが日帰り登山適期だ。今年は連休当初を除き天候はよくなかったがきょうはそれ以降初の晴天の休日だ。3時過ぎ起床、昨日購入の助六を胃袋に押し込んで4時過ぎに一里野(いちりの)温泉出発、ほの明るくなってきた10数台とまっている中宮(ちゅうぐう)展示場駐車場着だ。清冷な空気のなか、殆んどの登山者が出払った車を眺めながら、長時間コースにいよいよ出発だ。
 蛇谷観察路入口から遊歩道に入り、蛇谷右岸沿いに進み、トンネルを通り抜けると一般のハイカーは通行止めだ。ちなみにトンネルはヘッデン不要だ。沢筋を埋める残雪を越えて小さな流れを渡渉し、明り採りのある防雪トンネルを通る。対岸の白山スーパー林道を見ながら、サワグルミやトチノキが所々茂り、草花が咲き始めた草原の斜面の道をしばらく進むとジライ谷横の野猿公園観察小屋だ。ここから急坂が続くので一枚脱いで出発だ。ジライ谷は雪解け水が意外に多く、下流へ少し下った所を何とか渡ってロープ場を登り始める。ザイルを張った急坂を木の根を掴みながらよじ登り、岩稜帯もある急坂をぜーぜー云いながら登るが、この辺りはピンクのコバノミツバツツジ?が満開なのが救いだ。標高1000メートルを過ぎて振り返ると朝日に照らされた白山が中宮道の山稜から頭を出している。数本のブナの大木が現れると大岩だ。大岩の左を巻いて少しなだらかになった大木混じりの稜線を登り続けるが、踏み跡はあるが小灌木が煩わしい薮っぽい道だ。大木の根の絡まったヤセ尾根もある稜線には所々絶景ポイントもあり、正面にはこれから向かう冬瓜山(かもうりやま)、振り返ると樹林越しに白山が青空に映えて素晴らしい景色だ。残雪が現れだすと稜線出合の冬瓜平(かもうりたいら)分岐が近い。薮っぽい道から雪面に飛び出すとさながらハイウエーだが、残雪端部は回り道でも渡り易い所を探すことが大切だ。冬瓜平分岐点は分からなかったのでそのまま稜線の急な雪面を登り始めた。

  (蛇谷自然観察路入口から) (ヘッデン不要のトンネルを行く) (一般通行止めを越えて行く)

   (残雪を越え沢を渡渉)      (窓のある防雪トンネルを行く)    (蛇谷右岸をを進む)

    (野猿公園観察小屋)         (ジライ谷を渡渉)     (ザイルを張った急坂を登る)

    (次々現れるロープ場)   (大岩に近づくと白山が頭を出す)  (ブナ尾根の急坂を行く)

     (大岩を左から巻く)      (薮っぽい急坂を登る)      (前方に見える冬瓜山)

   (P1271付近からの白山)    (大木尾根を登り続ける)     (もうすぐ冬瓜平分岐)

  適度に柔らかい雪面は沈み込みも殆んどなく、アイゼンなしで歩くことが可能だ。ブナやミズナラの大木の間から白山を眺めながら、稜線を登り続ける。冬瓜山に近づくと急傾斜になるとともに島模様の残雪地帯となり、度々、小灌木の枝渡りをしながら薮と格闘だ。山頂がいよいよ近づくと残雪もなくなり、木の根っこを頼りによじ登ったりしながら進むと冬瓜山頂上だ。山頂からはまさに雪山の展覧会だ。南には白山を中心とする両白山地の石川県側の峰々、北には笈ヶ岳の彼方に日本海まで望めた。山頂は小さな平地が2つあり、手前の小さな稜線欠損部をまたいで渡ると、凍結すると怖ろしげな長さ10メートルほどのナイフリッジと称する岩稜があり、無雪状態では難なく渡ると傾いた三角点のあるもう一つの小さな平地だ。山頂は4、5人のグループで満員なので、早速下り始めた。

(目印はないが冬瓜平分岐付近)  (冬瓜山へ稜線を登る)      (白山を振り返る)

    (順調に稜線を登る)      (薮っぽくなってきた稜線) (ついに残雪が途切れ薮と格闘)

 (冬瓜山山頂付近は残雪なし)   (木の根を掴んでよじ登る)   (歩き易いナイフリッジ)

                 (冬瓜山から白山方面、東〜南〜西を望む)

                 (冬瓜山から大笠山方面、西〜北〜東を望む)

 (ナウフリッジ手前の欠損部)   (傾いている冬瓜山三角点)  (山頂から怖ろしい急坂下り)

  少し下の岩塔の間の雪棚からの急な雪壁の下りがきょうの最も怖ろしい場面だった。雪棚から20メートルほど急な雪面を下り、岩塔下部と木のまわりが丸く解けたスノーブリッジの上をこわごわ渡ると広い雪面だ。稜線を鞍部まで下って上り返すとシリタカ山だ。振り返ると冬瓜山が徐々に小さくなるとともに笈ヶ岳が大きくなってくる姿を見ていると、しんどいけれど元気が湧いてくるようだ。シリタカ山から北へ冬瓜平合流点目指して稜線を下る。初めは順調だが、合流点手前できょう最悪の薮との格闘だ。タオルで頬被りして薮を抜け出すと、丁度、冬瓜平から登ってきた4、5人のパーティーとでくわし、熊が出たのかと冗談を云われてしまった。事実、雪面には熊の足跡が点々と残っていた。合流点からちょっと上ってから県境尾根へ向かって稜線を下る。左に間近に笈ヶ岳を眺めながら稜線鞍部から上り返し、P1626から左へ斜面をトラバースする。雪面を頑張り通してちょっとした薮を越えると県境尾根だ。ここまで来ると山頂まで一頑張りだ。仙人窟(せんにんくつ)からきている県境尾根から東を眺めると、人形山(にんぎょうざん)の彼方に剱、立山、薬師、槍穂高、乗鞍、御嶽の白い峰々が鮮やかに浮かんでいた。稜線をなだらかに登り、急坂を越え小笈を過ぎて、登り返すと残雪のない笈ヶ岳三角点だ。昨年の奈良岳、一昨年の大笠山から笈ヶ岳を眺めていつかは頂上に立ちたいと思っていたが、見晴し抜群の山頂西端の岩頭にたち、大笠山や大門山初め周りの山々を眺めていると感激ひとしおだ。まさに両白山地の峰々の展望台だ。

(岩稜左下スノーブリッジが怖い) (笈ヶ岳めざして稜線を下る) (シリタカ山めざして稜線を行く)

    (冬瓜山を振り返る)      (しんどいシリタカ山登り)     (好展望の稜線を行く)

   (もうすぐシリタカ山)      (シリタカ山から冬瓜山を望む) (シリタカ山から笈ヶ岳を望む)

 (シリタカ山から稜線を下る) (前方の薮回避を試みるが駄目) (本日最も濃密な薮コギ開始)

  (冬瓜平合流点に飛び出す) (県境尾根へ向かって稜線を下る) (県境手前からトラバース)

  (トラバースで県境尾根へ)   (県境尾根を笈ヶ岳へ向かう) (稜線から北アルプスを望む)

   (前方のピークは小笈)     (小笈から笈ヶ岳へ向かう)     (残雪のない笈ヶ岳)

 小灌木と草地の三角点の横に小さな祠があり、僕と後先になって登ってこられた4、5人のバーティーが数珠玉などの祀られた小祠?の手入れをされていたのが印象的だった。福井か石川の山岳会のメンバーとお見受けしたが、ちょっと話を交わしただけなので間違っていたら御免なさい。山頂は10人位の登山者でいっぱいになってきたので、計画通り12時に下り始めた。展望抜群の県境尾根をぶらぶら下り、疲れてきた足を滑らないようにかばいながら冬瓜平分岐点まで往路通りに下った。冬瓜山の上りを敬遠して、冬瓜平へ向かって急坂を下り、径2メートル位の落下してくるデブリに注意しながら危険地帯は急いで下った。冬瓜山北側の鞍部を過ぎてしんどい上り坂を頑張ると冬瓜平だ。雪原のブナ林も清々しいが林越しに見える笈ヶ岳の姿も綺麗だ。しばらく稜線を北側から回り込むようにだらだら坂を上ると冬瓜平分岐の稜線だ。南下する尾根が分かり難く、印もなく少しうろうろしたが薄い踏み跡を雪面に見つけて下った。分岐点から2時間半かかって疲れた足を引きずって往路通りに中宮展示館駐車場へ帰り着いた。帰りは勝山を経て福井北から北陸道に入り順調に帰阪した。
 五月晴れに恵まれ、念願の笈ヶ岳の山頂を踏むことができた。冬瓜山手前および冬瓜平合流点手前に薮が露出していたが概して残雪の快適な山歩きができた。登山口から残雪のある冬瓜平分岐まではロープや踏み跡もあって分かりやすい尾根道だが、それ以降はGPSで稜線を確認しながら進んだ。薄暗い内にでたのでサングラスを車に忘れ、リップクリームも付け忘れたため、数日間、目痛と唇の割れに悩まされたが、ゆっくりゆっくりをモットーに安全第一に、上り7時間半下り5時間のしんどい山歩きだった。

              (笈ヶ岳から御嶽山方面、東北〜東〜南〜西南を望む)

              (笈ヶ岳から日本海方面、西南〜西〜北〜東北を望む)

  (小灌木帯の笈ヶ岳三角点)  (登ってきた仙人窟へ続く稜線)   (笈ヶ岳から大笠山)

   (美しい県境尾根を下る)   (県境尾根と別れて右へ下る)  (前方ピークが冬瓜平分岐)

  (薮を敬遠して冬瓜平へ下る)  (冬瓜平めざして急坂を下る)  (アップダウンしながら進む)

  (径2メートルのデブリ落下)  (冬瓜平から笈ヶ岳を振り返る)    (ブナ林の冬瓜平)

  (稜線出合から冬瓜山)    (下山の稜線から残雪若葉)    (やっと中宮展示場帰着)

★道で出会った花(花はなし)

 ヤマネコノメソウ(蛇谷周辺)    ニリンソウ(蛇谷周辺)    ミヤマキケマン(蛇谷周辺)

     ?(蛇谷周辺)         ワサビ(蛇谷周辺)       ツボスミレ(蛇谷周辺)

   ミツバツツジ(ジライ谷)     タチツボスミレ(ジライ谷)      タムシバ(P1271)

  ショウジョウバカマ(冬瓜山)     ムシカリ(P1271)       イワカガミ(P1271)

   カタクリ(P1271)         チゴユリ(大岩)        ミツバツチグリ(大岩)

   トキワイカリソウ(ジライ谷)   キクザキイチゲ(ジライ谷)    ヤマザクラ(ジライ谷)

  ヒツリシズカ(ジライ谷)       ヤマブキ(蛇谷周辺)       アギスミレ?(蛇谷周辺)

  ラショウモンカズラ(蛇谷周辺)    カンスゲ(蛇谷周辺) ジロボウエンゴサク?(蛇谷周辺)

★ルート断面図


★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       白山・荒島岳
・2万5千分の1地形図  中宮温泉

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