池ノ平山(2555m)

 

★ひとこと   「室堂から剱岳登頂後裏剱を経て黒部ダムへ(3)」

仙人池から八ッ峰を望む


★行った日   2012年7月27日(金) 晴時々曇 単独
          2012年7月28日(土) 曇一時晴 単独

★コース

(7月27日)
真砂沢ロッジ5:38→内蔵助平分岐6:00→二股吊橋6:37→7:19三の窓ベンチ7:24→8:04休憩8:08→仙人峠8:45→9:00仙人池ヒュッテ9:23→9:46仙人峠9:59→10:30池ノ平小屋10:41→11:14休憩11:21→12:41(2555m)池ノ平山12:53→14:00池ノ平小屋14:15→14:52仙人峠14:56→仙人池ヒュッテ15:11
(7月28日)
仙人池ヒュッテ4:08→仙人峠4:25→5:04三の窓ベンチ5:09→二股吊橋5:37→6:21内蔵助平分岐6:32→7:16岩塊原7:20→8:04ハシゴ沢乗越8:12→9:25最後の水場9:38→内蔵助平(真砂岳分岐)9:45→11:40下の廊下分岐11:51→橋12:50→トンネル入口13:33→13:40ケーブル乗場13:50(ケーブル、ロープウエー、バス)=室堂14:58(バス、ケーブル)=16:00立山駅16:10(県道6)=立山IC(北陸道、名神)=高槻20:47

(7月27日)
 裏剱(うらつるぎ)3日目は真砂沢(まさごさわ)ロッジから二股(ふたまた)を経て仙人池(せんにんいけ)ヒュッテに行き、サブザックで池ノ平山(いけのたいらやま)ピストンの計画だ。ご主人の佐伯さんは朝の支度で大忙しだったのでプラティパス水筒のお礼も心の中で云っただけでロッジを出発した。
 朱に染まりかけた剱沢を眺めながら沢沿いに草深い道を下る。残雪を横切って20分ほど下ると内蔵助平(くらのすけたいら)分岐の板橋だ。地形図には少し手前に点線があるが確認できなかった。板橋を横目に見て直進、所々で淵を高巻く所やちょっとした桟道や鎖場もあるが、無雪期の今は気楽に石ころの河原を流れに沿って下る。先方の河床に大きな近藤岩が見え出すと二股の吊橋はすぐだ。三ノ窓の谷筋を吊橋で渡り、少し三ノ窓方向へさかのぼってから、標識に従って仙人峠(せんにんとうげ)へ向かう稜線に取り付く。夏草の生い茂った丸太階段で尾根道を登り、東に剱大滝へ向かう剱沢を眺めながら進み、しんどくなった頃に三ノ窓ベンチの休憩広場だ。三ノ窓雪渓や池ノ平山の観賞ポイントだ。樹間から時折姿を見せる剱岳北峰稜線の岩稜やずんぐりした池ノ平山を眺めたりしながら、ひたすら稜線を登り続け、東に後立山(うしろたてやま)の山並みが見えるようになると仙人峠は近い。仙人峠からチングルマなどが咲き揃ったお花畑を木道で少し下ると仙人池ヒュッテだ。

      (真砂沢ロッジ)       (朱に染まりかけた剱沢)   (山陰の真砂沢ロッジを出発)

(雪渓を横切って沢沿いに下る)(ダム分岐の板橋を横目に直進)   (南股の河原を下る)

   (河床に出たり入ったり)     (可愛い桟道もある)        (二股吊橋を渡る)

  (三ノ窓沢筋をちょっと登る)  (仙人峠への稜線に取り付く) (小灌木帯の丸太階段を上る)

  (剱大滝へ向かう剱沢)     (三ノ窓ベンチから三ノ窓)   (三ノ窓ベンチから池ノ平山)

  (小灌木帯の稜線を進む)    (仙人峠へ向かう稜線)     (稜線から小窓雪渓を望む)

(後立山を背景に仙人池ヒュッテ)     (仙人峠)           (お花畑を木道で下る)

 おばちゃんに暖かく迎えられてザックを預け、紅葉時に素晴らしい仙人池に映る八ッ峰(やつみね)を撮ってからサブザックで池ノ平山へ向かった。仙人峠まで戻り、八ッ峰から池ノ平山へ続く岩峰群を眺めながら仙人山の山腹をトラバース気味に下ると鞍部の池ノ平小屋だ。小屋下南面の池塘に映る八ッ峰が美しい平の池はまだ雪の下だ。小屋前には鉱石が並べられており、この付近で採れたモリブデン鉱石を白萩川沿いに馬場島(ばんばじま)方面へ運んだそうだ。小屋横の登山口から登り始め、小灌木帯を抜けると、消えつつある残雪横の草地を登る。振り返ると東に後立山の山並みが連なり、南には針ノ木岳の手前にあす越える予定のハシゴ谷(はしごだん)乗越も望めた。残雪の消えた後のシナノキンバイやチングルマが美しい斜面を過ぎると、小灌木帯の稜線を少し進むと尖った岩稜が池ノ平山のピークだ。直ぐお隣の北峰は切れ落ちた尾根でつながっており、南側の小窓へはハイマツの稜線が急角度で続いている。エリアマップには点線の道があるが薮コギ含みの相当な難路だ。剱岳北峰稜線からの縦走は小窓の雪渓から池ノ平山を経ずに池ノ平小屋へ下るようだ。帰りもゆっくり下山し、往路通りに仙人池ヒュッテに帰りついた。紅葉シーズンには混雑するヒュッテも泊り客は3人だけの今頃が狙い目だ。風呂も入ることができさっぱりした後で、夕食は7月27日丑の日のウナギだ。ご馳走と風呂で元気を回復し、あすの早出のため早くから爆睡だ。

     (仙人池ヒュッテ)       (秋の定番、仙人池の風景)   (お花畑を仙人峠へ戻る)

                  (仙人峠付近から八ッ峰を望む)

    (仙人峠付近の木道)      (池ノ平小屋と池ノ平山)   (残雪に覆われている平ノ池)

(池ノ平山稜線からコルを振り返る)(残雪の消えた斜面を登る)  (斜面から仙人山を振り返る)

            (池ノ平山の斜面から仙人山越しに後立山連峰を望む)

 (急斜面を滑らない様に登る)(草つきの稜線の向こうが山頂)    (岩峰が池ノ平山)

    (池ノ平山頂上)      (北峰は切れ落ちた尾根続き)(小窓方向は急なハイマツの薮)

 (残雪の消えたお花畑を下る)    (池ノ平小屋前の広場)      (木道で仙人池ヒュッテへ戻る)

(7月28日)
 裏剱4日目は仙人池ヒュッテから真砂沢ロッジ手前まで往路を戻り、内蔵助平を経て黒部ダムへ抜ける予定だ。阿曾原(あぞはら)から宇奈月経由で立山駅へ戻るには1日余分にかかり、真砂沢ロッジから剱沢を登って室堂へ抜ける案もあったが、未踏のルートを通りたかったのでこの案にした。内蔵助谷(くらのすけたに)が難路と聞かされていたので、黒部ダム〜立山駅の最終便に間に合うべく早朝出発だ。おばちゃんの「お気をつけて」の声に見送られてヘッデンをつけてスタート。
 明るくなった仙人峠でヘッデンをしまい、尾根道を下り、三ノ窓ベンチで朝焼けの八ッ峰を眺め、二股吊橋を過ぎて、計画時刻通りに真砂沢ロッジ手前の内蔵助平分岐の板橋へ戻ってきた。板橋を怖々渡り、岩塊ごろごろの枯れ沢を登り始める。途中で真砂沢へ向かう地形図の点線の道を右に分け、延々と歩き難い岩塊道を登り続け、岩塊原を横切るとやっとなだらかなトラバース道だ。最後に急な溝状のロープ場をよじ登ると稜線だ。樹間から剱沢の真砂沢ロッジも眼下に望めるハシゴ場もある尾根筋をしばらくたどるとハシゴ谷乗越だ。乗越のすぐ下から岩塊ごろごろ枯れ沢の下りが内蔵助平近くまで続く。流れが突然現れた最後の水場(逆行の場合)で水を補給、山道に入ると程なく真砂岳(まさごだけ)分岐の内蔵助平だ。内蔵助谷の鉄板橋を怖々渡ってしばらく谷沿いに下ると山抜けだ。踏み跡も迷っているので当てにならず、何とか乗り切って、本来の道へ戻る。ロープもない下が水面の崩落面を横切ったりしながら、内蔵助谷から下の廊下分岐まで2時間近くかかってやっとたどり着いた。翌週の8月4日に後立山の鳴沢岳からこの付近を眺めると地形がよく分かり、ハシゴ谷乗越から内蔵助平までなだらかに下り、下の廊下出合までの内蔵助谷は黒部川へ向かって急角度で落ち込んでいるのがよく分かる(下の内蔵助谷の画像参照)。黒部ダムから下の廊下出合までは整備されており、その先が関電の事情もあって未整備だ。下の廊下への橋も取り外されている。下の廊下出合から、渓谷美を堪能しながら進み、堰堤手前で橋を渡り、ええ加減へばっている所へ堰堤まで標高差約200メートルの最後のつらい上りだ。トンネルに入ると堰堤上の観光客と合流だ。地下ケーブル、ロープウエー、トロリーバスと乗り継いで室堂に着き、バス、ケーブルで立山駅へ、黒部ダムから2時間半で常願寺川畔駐車場だ。4時間半かかって往路通りに帰阪した。
 裏剱のシーズンは紅葉の時期だが、雪渓の歩き易いこの時期、剱沢から仙人池や内蔵助平など静かな山歩きができる。剱岳は整備されているので安全だが、内蔵助谷は災害から未整備なのが留意点だ。この地域の山小屋の一番の特徴は温水シャワーや風呂があり、水も比較的潤沢に使えることだ。

 (三ノ窓ベンチから三ノ窓雪渓)     (二股吊橋)            (内蔵助平分岐)

    (岩塊枯れ沢を登る)      (岩塊原を横切る)       (尾根道から見下ろす剱沢)

    (ハシゴ場もある尾根道)      (ハシゴ谷乗越)       (延々と岩塊枯れ沢を下る)

   (最後の水場で山道へ)     (内蔵助平の真砂岳分岐)      (内蔵助谷を渡る)

  (急な内蔵助谷沿いに下る)     (山抜け地帯を越える)  (ロープもない崩壊面を横切る)

 (道なき道を谷沿いに下る)   (鳴沢岳から見た内蔵助谷)  (下の廊下への取り外された橋)

 (下の廊下分岐から整備済み)    (黒部ダムへ向かう)      (堰堤下流の橋を渡る)

     (下から見た堰堤)       (しんどい坂を登る)        (堰堤トンネル入口)

★道で出会った花

  オオバノミゾホウズキ(剱沢)     サンカヨウ(剱沢)        サワヒヨドリ?(剱沢)

    オタカラコウ(剱沢)        タニウツギ(南股)         ユキザサ(二股)

  ヤマブキショウマ(三ノ窓ベンチ)バイカウツギ?(三ノ窓ベンチ) マイヅルソウ(仙人峠)

  ゴゼンタチバナ(仙人峠)     ツマトリソウ(仙人峠)     ミツバツツジ?(仙人峠)

  オオサクラソウ(仙人峠)    オオバノキスミレ(仙人峠)    ニッコウキスゲ(池ノ平山)

  アオノツガザクラ(池ノ平山)  ショウジョウバカマ(池ノ平山)  ミヤマキンバイ(池ノ平山)

   イワカガミ(池ノ平山)     ハクサンフウロ(池ノ平山)     コケモモ(池ノ平山)

 ミヤマダイコンソウ(池ノ平山)     ?(池ノ平山)          タカネバラ(池ノ平山)

 ハクサンシャクナゲ(池ノ平山)  シナノキンバイ(池ノ平山)     ヒメイチゲ(池ノ平山)

   チングルマ(仙人峠)      キヌガサソウ(ハシゴ谷)     ヤグルマソウ(ハシゴ谷)

   カラマツソウ(ハシゴ谷)   ミヤマママコナ(ハシゴ谷乗越) カニコウモリ(ハシゴ谷乗越)

   ハナニガナ(内蔵助平)    オオバギボウシ(内蔵助平)   シロバナニガナ(内蔵助谷)

  ノリウツギ?(内蔵助谷)     クルマユリ(内蔵助谷)    タテヤマウツボグサ(黒部川)

  イワオトギリ(黒部川)      シモツケソウ(黒部川)        オミナエシ(黒部川)

   ツルリンドウ(黒部川)      シナノナデシコ(黒部川)     ヨツバヒヨドリ(黒部川)

  オオカサモチ?(黒部川)    バイカウツギ(黒部川)     イチヤクソウ(黒部川)

★ルート断面図
(1)真砂谷ロッジ〜池ノ平山〜千人池ヒュッテ

(2)千人池ヒュッテ〜ハシゴ谷乗越〜黒部ダム


★地  図
(1)真砂谷ロッジ〜池ノ平山〜ハシゴ谷乗越    (2)ハシゴ谷乗越〜黒部ダム

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       剱・立山・北アルプス
・2万5千分の1地形図  十字峡、黒部湖

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