剱岳(2999m)

 

★ひとこと   「室堂から剱岳登頂後裏剱を経て黒部ダムへ(2)」


剱沢小屋から剱岳を望む


★行った日   2012年7月26日(木) 快晴 単独

★コース

剣山荘5:34→一服剱6:02→7:03前剱7:10→8:04避難小屋跡8:08→8:52(2999m)剱岳9:23→避難小屋跡9:44→10:29前剱10:38→一服剱11:19→11:38剣山荘12:15→剱沢小屋12:39→真砂沢ロッジ14:29

 裏剱2日目は剣岳へ寄り道だ。計画にはなかったがあまりの快晴のため山頂からの展望を期待して別山尾根から登ることにした。
 剣山荘(けんざんそう)前から東に見える五竜と鹿島槍の朝焼けが美しい日の出だ。しっかり朝食を食べて緑輝く剱御前を振り返りながら一服剱(いっぷくつるぎ)への斜面を登り始める。やはりサブザックは楽だ。登るにしたがって広がる別山乗越から剱沢にかけて伸びる雪渓の縞模様が面白い。ちょっとした鎖場を過ぎると一服剱だ。別山乗越(べつさんのっこし)より150メートルほど低いが剱御前(つるぎごぜん)から別山にかけて山肌に残雪が輝き、朝の斜光に照らされた剱岳の岩肌が招いているようだ。一旦下って、武蔵(たけぞう)谷上部の残雪がすでに消え、シナノキンバイなどが咲く草地の武蔵のコルを過ぎると本格的な岩稜の上りだ。崩れやすいガレ場もある岩稜帯を登り、大岩の裾を抜けて、しばらく登り続けると前剱(ぜんけん)のピークだ。別山とほぼ同じ標高なので展望は広がり、逆光の後立山(うしろたてやま)はシルエットだが、天狗平の左に薬師岳、右に大日岳、さらに遠方に白山が浮かんでいた。

  (出発直後剣山荘を振り返る)     (一服剱へ登る)       (直ぐに鎖場も現れる)

    (一服剱のピーク)     (武蔵のコルの先から振り返る)    (岩稜を登り続ける)

(大岩の裾を四つん這いで登る)   (前剱めざして登る)        (前剱の平地)

                  (前剱から後立山方向を望む)

 ピークから一旦下ってから岩稜の鎖場を上ったり下ったり、標高はあまり変わらずに上り下り一方通行もある岩場を進む。ひときわ大きな岩稜を鎖を頼りによじ登って平蔵(へいぞう)ノ頭を過ぎて岩壁を下ると平蔵のコルだ。コルから見下ろすと平蔵谷の雪渓が急角度で下っている。ベテランと言えどもこの雪面を登るのは大変だと思う。コルから岩肌を少し登るとミヤマオダマキが揺れている建物跡の小さな平地があり、カニのタテバイ(上り)とヨコバイ(下り)の分岐だ。タテバイ方向の夏道が残雪に埋もれていたので間違ってヨコバイ方向へ進んだが、下ってきた人に云われて雪渓上部の踏み跡をたどってタテバイ方向へ進んだ。タテバイの岩壁は垂直に近いが、しっかりした鎖とボルトに導かれてよじ登る。途中で振り返ると高度感はすごく、登ってきた恐竜の背びれのような稜線が素晴らしい。岩壁の上からはなだらかになり、早月(はやつき)尾根コースと合流して岩稜を飛び石伝いにしばらく登ると小祠の祀られた剱岳山頂だ。晴れわたった360度、さえぎるもののない、富士山も望める北アルプスの展望台だ。

  (一旦下ってから稜線を登る)    (鎖場が続々現れる)       (下ったり上ったり)

  (しっかりした鎖場が続く)        (平蔵のコル)      (建物跡の手前で上下分岐)

 (雪渓上部からカニのタテバイへ)  (手前の岩ひだを登る)   (ボルトや鎖を頼りに登る)

    (岩稜の稜線を進む)    (早月尾根ルートと合流)     (剱岳三角点広場の祠)

                 (剱岳から後立山方面をを望む)

                  (剱岳か富山湾方面を望む)

 恐竜の背びれのような八ッ峰(やつみね)を背にして山頂を後にし、落石に注意しながらカニのヨコバイからハシゴを下り、建物跡下で上り道と合流、眼前に広がる景観を楽しみながら下山した。剣山荘でデポしたザックをゲット、剱沢小屋めざしてハイマツの小道を進む。途中の剱沢を下る分岐点を見落とし剱沢小屋まで行ってしまった。剱沢小屋前から眺める剱岳の姿も捨てたものではない。小屋横から真砂沢(まさごさわ)ロッジの道標に従って夏道を下る。しばらく夏道を下ると剱沢雪渓が現れ、アイゼンをつけて下り始めると直ぐに滝が現れ、右岸へ逃げて、また雪渓に戻る。折からの日光で雪面の踏み跡は消え、安全な所を探しながら下る。雪渓の端部は崩れ易く、中央部は雪渓下に川が流れているので落ちると大事、中央よりやや端寄りを雪面をよく観察しながら下る。急な下り勾配もあり、なるべく軽い6本歯しか持ってこなかったが前爪付きの方が断然歩き易そうだ。これからは雪渓下りは10本歯だ。剱沢を振り返ると前剱が小さく見え、北西に平蔵谷の雪渓が伸びている。平蔵のコルから見ると怖ろしげな急勾配だったが、下から見るとそれほどでもないが、錯覚にだまされないことだ。ここで水を飲もうとしたが一大事、剣山荘に水を汲んだ水筒を置き忘れてしまったのだ。とりに戻る気力もなく真砂沢ロッジでお茶をがぶ飲みしたが、親切にもご主人からプラティパス水筒を頂き、以降計画通りに行けたのも佐伯さんのお陰です、有難うございました。山で最重要な水筒を置き忘れるとはアルツ発症か?。ロッジが近付くと雪渓に給水ホースが現れ、以降それを伝って下ると、やっと西部劇に出てくる石垣に囲まれた砦のような真砂沢ロッジに到着だ。小さな小屋だがご主人の佐伯さんの人格がにじみ出た登山者のための宿だ。同宿者は以前から利用しているベテランが多く、僕にとっては縁遠いが、長次郎谷から北峰稜線踏破など本格派の山宿だ。小屋には温水シャワーもあるのでさっぱりできる。特筆ものは、今年の土用の丑の日、7月27日に因んで夕食はウナギだ。これで元気を回復して頑張れそうだ。
 剱岳の展望もそれなりによかったが、7月中の雪渓がしっかりしているうちに通りたかった剱沢がよかった。雪渓に覆われた長次郎谷や別山谷などの支谷を眺めながら雪面を歩く気分は爽快だ。景色が大きいので歩いている人はすごく小さな存在でしかない。

    (稜線を静かに下る)     (これから下る岩稜の稜線)    (カニのヨコバイを通過)

  (ハシゴを下ると上りと合流)       (平蔵ノ頭)           (前剱を越えて下る)

    (もう直ぐ剣山荘に戻る)   (分岐点を過ぎて剱沢小屋へ) (剱沢小屋から剱沢を下る)

   (剱沢雪渓上部に滝が出現)   (左は武蔵谷、右は平蔵谷)       (平蔵谷の雪渓)

  (急な所もある剱沢雪渓)     (崩壊が進む別山谷)     (剱沢から前剱を振り返る)

(近付く砦のような真砂沢ロッジ)(下流域の崩壊部を迂回する)   (やっと真砂沢ロッジ到着)

★道で出会った花

 チシマギキョウ、トウヤクリンドウ(一服剱)シナノキンバイ(一服剱)  タカネバラ(一服剱)

  ハクサンフウロ(一服剱)     ミヤマオダマキ(前剱)       イワベンケイ(前剱)

   クロヒトウレン?(前剱)     クルマユリ(一服剱)     タテヤマウツボグサ(一服剱)

★ルート断面図


★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       剱・立山・北アルプス
・2万5千分の1地形図  剱岳、十字峡

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