★ひとこと 「市ノ瀬からチブリ尾根で別山を経て三ノ峰へ」
三ノ峰避難小屋前から夜明けの別山を望む
★行った日 2013年6月30日(日) 晴後曇 単独
★コース
高槻3:17(名神、北陸道)=福井北IC(R416、R157、県道33、林道)=7:05大長谷出合(自転車デポ)7:11(林道、県道33)=7:30市ノ瀬登山口7:43→猿壁8:08→9:11水場9:24→別当出合展望所10:09→11:41チブリ尾根避難小屋12:00→御舎利山13:57→14:15(2399.4m)別山14:28→御手洗池14:50→(2128m)三ノ峰15:46→三ノ峰避難小屋15:58
二週間前に行ったばかりのまたまた別山(べっさん)/三ノ峰(さんのみね)だ。今回は水なし避難小屋泊りの様子見の山行だ。15キロ担いで二千米峰が駄目なときはチブリ尾根避難小屋で退却も視野に入れ、チブリ尾根を登り、別山/三ノ峰から加越国境尾根を下って赤兎山(あかうさぎやま)経由越前禅定道(えちぜんぜんじょうどう)を下る計画だ。いつものルートで福井北ICから白峰(しらみね)を経て市ノ瀬(いちのせ)へ向かい、三ッ谷沿いの林道へ入る。通行止めの表示はなく、山菜採りと不法投棄禁止の警告だけなのでロープを脱着して林道を進む。中日本航空の大型ヘリを横目に地道林道を順調に進み、杉峠を左に分け、第2のロープゲートを通って小原(おはら)峠方向へ直進だ。ここから悪路となり最徐行で一度車底をこすって進み、大長谷(おおちょうたに)出合の第3ロープゲートで進行をあきらめて自転車をデポだ。悪路を引き返す途中でまた車底をこすってしまったがなんとか県道まで戻り、晴れの日曜日だが1割も埋まっていない市ノ瀬の駐車場に到着だ。室堂の宿泊施設もあすから食事提供開始、別当出合(べっとうであい)までの交通規制も13日(土)からなので大部分は別当出合まで直行のようだ。
(三ッ谷沿いの林道へ入る) (林道横の中日本航空大型ヘリ) (杉峠分岐を小原峠方向へ)
(大長谷出合のゲートでストップ)
(晴の日曜日の市ノ瀬駐車場)
(駐車場のチブリ尾根登山口)
チブリ尾根を上るのは始めてなので期待満々、駐車場奥のチブリ尾根登山口に入る。すぐに県道に合流、別当出合方面を左に分け、一般車通行止めの林道を直進だ。別当出合へ向かう鉄橋を左下に眺めつつ車道を直進、鉄板橋の先で歩道に入り、しばらく雑木林を進むと猿壁(さるかべ)登山口から山道だ。トチノキやミズナラなどの落葉広葉樹の見事な大木が林立するトラバース道をなだらかに登って行く。お馴染みの大木の下を通り、幾つかの小沢を通り過ぎると出発して1時間半で最後の水場だ。倒れかかった道標があるのですぐわかる。今回のコースでは明日の小原峠を下るまで水場は望めないので2日分5リットルを汲み、15Kgを担いでどこまで行けるか歩行訓練だ。なお、三ノ峰避難小屋下の雪渓を2週間前に確認済みだが、これは水保険だ。水場から尾根芯めざして稜線北面を上り、ブナの大木が現れた稜線を少し東進すると、北側眼下に駐車場が見える別当出合展望所だ。北側のほぼ同じ高度で指尾(さしお)山から山頂へ伸びる越前禅定道の稜線が雲間に見え隠れしている。見事な大木ブナが並ぶ急な稜線をゆっくり一歩一歩踏み締めながら、市ノ瀬・別山中間点(4.7キロ道標)を通ってしばらく登ると少しなだらかになってオオシラビソの低木帯だ。間もなく展望の良い笹原尾根となり、正面に別山を眺めながら、足元にニッコウキスゲやコバイケイソウの咲く笹原を南側から巻くように尾根上に登る。南には、あすたどる予定の加越国境稜線が雲をかぶって赤兎山へ伸びている。ガスり始めた御舎利山(おしゃりやま)を正面に見て笹原尾根を直進、所々で残雪を踏みながらオオシラビソやダケカンバの小木帯を通り過ぎると、突然、眼前にチブリ尾根避難小屋が現れる。内部は清潔な小屋だが水場はないので要注意だ。
(ゲートを越えて林道を進む) (別当出合へ向かう鉄橋)
(猿壁登山口から山道へ)
(大木落葉広葉樹林を行く) (登山道横のおなじみの大木)
(2、3の小沢(水場)を過ぎる)
(最後の水場の傾いた標識) (別当出合展望所)
(別当出合駐車場が見える)
(ブナ大木林の尾根を登る)
(明るい尾根道を行く)
(別山に向って花の笹原を行く)
(笹原稜線から御舎利山〜三ノ峰〜赤兎山のルートを望む)
僕にとってオーバーロードの15キロに何とか耐えられそうなので予定通り進むことにした。右下に見える池はまだ雪の下だ。オオシラビソやダケカンバの間に咲く鮮やかなミツバツツジの道を残雪を踏み締めながら進み、最後の急な雪渓を横切ってガスり始めた急坂を御舎利山へ向かって登り始める。ミネザクラやムシカリの咲く瓦礫の急な道を登り、小型のオオシラビソの山肌のジグザグにつけられたなだらかな道を登りきると御舎利山だ。山頂から時折、ガスの切れ目から白山が望めたが、殆ど真っ白だ。とどまっても仕方がないので、石積みの岩室の前を通り、ガスに閉ざされた笹原の稜線を足元だけを見ながらちょっと行くと別山だ。真っ白な別山山頂で一人の登山者と遭遇、僕が2日間で行こうとするルートの赤兎山からきょう来てこれからチブリ尾根で下るそうだ。すごい気力/体力に脱帽だ。2週間前に通った道を黙々と下るとハクサンコザクラやハクサンイチゲが咲き乱れる別山平だ。2週間前には残雪で殆ど閉ざされていた御手洗(みたらし)池は、折からのガスを含んだ強風で波立ち、今回もハクサンイチゲと逆さ別山のツーショットは期待はずれだった。別山平から稜線を下り、最後の力をふり絞って三ノ峰へ登り、残念ながら別山も白山も霧の彼方なので、すぐ三ノ峰避難小屋へ下った。2週間前に確認した通り、小綺麗な小屋を今夜は独り占めだ。小屋東下の雪渓へ水汲みに降りるが、水の流れは急な雪面を下端まで下る必要があるので雪面からカキ氷状の雪を採取だ。これを溶かすと残存成分があり、持参したガーゼで濾過して使用だ。夕食はα米の炊き込みご飯とカップラーメンで済まして食器を汚さず後片付けを簡単にし、持参の焼酎をやりながら暗くなる前に寝てしまった。小屋独占は他人を気遣うことなくマイペースで行動できるのが最高だが、気が小さいのか、ちょっとした異音が気になって身体を硬くして様子を伺うこともあったが慣れの問題かも。寝る時は室温15℃、朝方は11℃、暑い日々に慣れた身体には夜中に寒くなり、小屋備品の毛布を拝借した。小屋の造りは頑丈で強風にきしむこともなく、夜明けまで安眠できた。なお、使用しなかったが建物内にトイレが2ヶ所あり、清潔だ。
いままで2回チブリ尾根を下ったことがあるが、何れも疲れた上にそそくさと下ってしまいあまり印象がなかった。今回はゆっくりと登ったせいで(ゆっくりしか登れない)、途中の景色や樹相をじっくり眺めながら歩けたのでこの尾根の良さが満喫できた。2週間前に山頂付近の景観を満喫しているが今回はガスった山頂だった。避難小屋独占は初めての経験だったが、少し心細い面もあるが気ままな優雅な一夜を過ごすことができた。ここまでの所、15キロを担いでも極端な急坂や薮コギがない限り1、2泊は何とかなりそうだ。
(残雪に閉ざされている池) (オオシラビソの小木帯を行く)
(残雪帯の急坂を登る)
(雪の溶けた御手洗池)
(御手洗池とハクサンイチゲ)
(別山平の花園)
バイカウツギ(市ノ瀬) トリアシショウマ(市ノ瀬) フタリシズカ(猿壁)
★ルート断面図
★地 図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 白山・荒島岳
・2万5千分の1地形図 白山、加賀市ノ瀬
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