三ノ峰(2128m)赤兎山(1628.7m)

 

★ひとこと   「三ノ峰から加越国境尾根で赤兎山を経て越前禅定道へ」

加越国境尾根から朝日に輝く願教寺山を望む


★行った日   2013年7月1日(月) 晴 単独

★コース

三ノ峰避難小屋5:26→5:34(2128m)三ノ峰5:43→三ノ峰避難小屋5:52→展望ベンチ6:22→剣ヶ岩6:51→六本檜7:34→7:50休憩8:04→杉峠8:50→9:45休憩9:54→10:57休憩11:06→赤兎避難小屋12:01→(1628.7m)赤兎山12:21→12:46休憩13:00→小原峠13:07→川上御前13:43→林道始点14:00→大長谷出合14:24(林道、県道33)=自転車(3.5km)=15:10市ノ瀬登山口15:15(県道33、天望の湯、R157、R416、R8、R161、湖西道路)=京都東IC(名神)=高槻20:43

 昨夜は早く寝たので朝4時に目が覚め、薄暗い外を眺めると相変わらず白く濁った気流が強風とともに流れていて、がっかりして軽めの朝食の準備だ。カップラーメンと熱いコーヒーで済まして外を見るとガスが切れつつあり、勇躍、三ノ峰へ空身で偵察だ。ガスのため朝焼けの景色は無理だが、流れる雲に見え隠れする別山(べつさん)の太平壁は壮観だ。あらためて小屋周辺を見回すとシナノキンバイ、グンナイフウロ、イブキトラノオなど花園の風情だ。避難小屋へ戻り、ざっと掃き清め、ぐっと軽くなったザックを背に一宿の目礼をして小屋を後にした。
 小屋から経ヶ岳(きょうがだけ)の山並みに向かってなだらかに笹原を西へ下ってから西南へ方向を変え、美しい朝の斜光に際立つ銚子ヶ峰(ちょうしがみね)へ続く稜線を見ながらトラバース気味に下る。杉峠へ向かう稜線に達すると西に方向を変え急坂を下る。なお、急坂手前から銚子ヶ峰の稜線の方向へトラバースの踏み後があり、2稜線間の巻道らしい。未確認だが、美濃禅定道(みのぜんじょうどう)を登るときに三ノ峰手前の急な雪渓で難渋する時はこのトラバースを利用する選択肢もありそうだ。ハクサンイチゲやグンナイフウロの咲く笹原の急な稜線を、左に願教寺山(がんきょうじやま)の山並みを見ながら下ると少しなだらかになる、丁度朝日に当たりだした展望ベンチだ。銚子ヶ峰から願教寺山、赤兎山(あかうさぎやま)や大長山(おおちょうざん)へ続く山並みが朝日を背にして素晴らしい眺めだ。正面下方に上小池から続く打波川の谷筋をながめつつ花の笹原稜線をしばらく下ると剣ヶ岩だ。振り返ると三ノ峰下の打波の頭が逆光に影絵のような姿を見せ、前方はるか彼方の赤兎山や大長山、その向こうの経ヶ峰が招いているようだ。大岩の北側を巻く急坂を下る。その北側に広がる、このコース唯一のダケカンバの森が美しい。P1481のブナ林を過ぎ、足元にちらほら姿を見せるササユリを、左には願教寺山の山塊を見ながら笹原を進み、数本の芦生杉が現れると六本檜(ろっぽんひのき)はすぐだ。


   (夜明けの三ノ峰頂上)   (小屋横から夜明けの別山)  (三ノ峰から避難小屋へ下る)

(小屋から加越稜線を下り始める)  (銚子ヶ峰へ続く稜線)      (これから下る稜線)

                (展望ベンチから赤兎山方面を望む)

  (尾根突端の展望ベンチ)    (剣ヶ岩付近を下る)       (剣ヶ岩横のダケカンバ)

   (稜線に咲くササユリ)        (P1481のブナ林)    (笹原稜線を越えると六本檜)

               (六本檜付近から願教寺山の稜線を望む)

 六本檜で上小池からの道と合流、きょう初めての登山者と歓談、まだはるか彼方にそびえている赤兎山めざして頑張る。刈り払いの笹が伸びたプラ階段を上るが全体としてP1296付近までは下り主体の道だ。少し薮っぽいが、所々でレンゲツツジの咲く笹原を西進、振り返ると三ノ峰から下ってきた稜線が遠くなってしまった。大杉やブナ林もある稜線を1時間ばかり歩くと杉峠だ。右へ下ると三ッ谷、左にも踏み跡があり、後でネットで調べると檜谷の沢屋さんのコースらしい。赤兎山は直進だが早速プチ薮コギの始まりだ。路面は十分に空間があるが小木の小枝が倒れこんでいるのでザックが引っかかり歩き難い限りだ。ブナの森を度々通るが、今まで経験した歩き易いブナ林ではなく、林床に小木が繁茂した林だ。P1296の歩き難いブナ林を過ぎ、裏赤兎山手前の湿地帯に入ると薮模様だ。タムシバの咲く半乾きの湿地を踏み跡を探しながら小木を掻き分けて進む。やがてプラ階段が見つかり、これを上がると裏赤兎山へ向かう展望稜線だ。

               (六本檜から打波川の谷筋、荒島岳方面を望む)

(大杉が現れると六本檜はすぐ)  (上小池分岐の六本檜)   (刈込が伸びたプラ階段を行く)

 (遠くなった三ノ峰を振り返る)    (大杉の稜線を行く)         (ブナ林を行く)

        (杉峠)        (杉峠を過ぎると急にプチ薮コギ)(薮をコギながらブナ林を行く)

 (P1296の大木ブナ林を行く)  (裏赤兎手前の湿地帯を行く)   (湿地帯に咲くタムシバ)

 裏赤兎山肩の展望稜線から振り返ると、白山から野伏ヶ岳(のぶせがだけ)までの山並み、三ノ峰から下ってきた加越国境稜線などが鮮やかに望めた。裏赤兎山頂上から西に、赤兎平から北東へ伸びる稜線の突端へ、これから登る一筋の踏み跡が見える。笹を掴みながら鞍部まで急坂を下り、道端の草を掴んで急坂をよじ登ると、沢山の登山者が休息中の高台だ。だらだら坂を下ると赤兎山避難小屋だ。三ノ峰とほぼ同じ造りの清潔そうな小屋だ。赤兎山は人気の山らしく、週日にもかかわらず人であふれかえっているので、休憩もせず赤兎平を小高い赤兎山へ向かった。赤池ではモリアオガエルの泡卵が終わったらしく一個のみ水面上の小木にぶら下がっていた。イワイチョウ咲く水面を眺めながら山頂へ向かった。

             (裏赤兎山直前の稜線から三ノ峰方面を振り返る)


(薮っぽい裏赤兎の展望稜線) (裏赤兎から避難小屋を望む)(鞍部へ笹を掴んで急坂を下る)


   (稜線へ急坂をよじ登る)      (赤兎平で小屋を振り返る)  (避難小屋の清潔な内部)

   (イワイチョウ咲く赤池)      (赤兎平を木道で赤兎山へ)     (赤兎山三角点)

 赤兎山三角点広場は狭く、山頂で鳩ヶ湯を左に分け、すぐに下り始めた。次に難路の表示のある大船山を左に分けるが、2年前に法恩寺山から猛烈な薮コギで経ヶ岳に行ったときに赤兎山分岐からスズタケの繁茂する尾根が赤兎山へ伸びていたが、大変な薮コギが予想されるルートだ。時々、大長山を樹間から眺めながらブナの稜線を下ると越前禅定道と合流する小原(おはら)峠だ。左は小原の登山口、直進は大長山だが、越前禅定道は右へ下る。分岐点のすぐ下に石の地蔵が祀られ、その前を下るとロープ場の急坂が続く。谷筋を何回か渡るので登る場合はこの辺りが最後の水場だ。梢越しに白山を眺めつつ谷筋を下ると川上御前の祠が広場に鎮座している。古道を改良したような道をどこまでも下ると右前方に大規模な崩落崖が現れるとその下が工事現場の林道始点だ。越前禅定道の真新しい標柱の所で西俣谷を飛び石伝いに渡って右岸に上がると林道だ。治山用林道を淡々としばらく下ると大長谷出合だ。チャリンコをゲット、がたがた道を自転車で下るのはあまり楽ではない、そのうえ県道に出てからは上り坂を押してあがったので歩くのとあまり変わらなかった。市ノ瀬から車を走らせてからトラブルだ。昨日の悪路林道での車底の打ち所が悪かったらしく、加速すると異音発生だ。翌日修理に出して判ったことは、排気管の防護カバーが衝撃で変形して排気管に接触、エンジンを吹かすと接触部から異音が発生していたようだ。当時、穴ぼこに注意して徐行していたが、ホイールベースと同じ距離の穴ぼこに同時にはまって車輪間の中央部が接触して変形したらしい。帰りは高速でエンコは危険なので、福井から一般道で帰ることにした。武生までR8は4車線ながら信号が多く最近通ったことがないので風景を楽しみながらぼちぼち進み、武生から2車線になるがこの時間帯の交通量が少なく、敦賀付近のバイパス完成ともあいまって快調に進み、走ることが問題なさそうなので京都東から名神で帰宅した。展望の湯で白山を眺めながら汗を流し、勝山で夕飯を食べたが殆んど高速を使わずに5時間半で帰れた。
 三ノ峰から加越国境尾根にかけて高山植物の開花時期を迎え、百花繚乱になるまえのさきがけを楽しむことができた。別山や別山平からの展望はままならなかったが、三ノ峰から赤兎山へかけて加越国境からの様々な展望も素晴らしかった。また、今回の山行の目的のひとつだった避難小屋泊まりに関しても15キロ担いで1、2泊程度の通常の登山道であれば何とかなりそうだ。また、車の異音発生に関しても貴重な授業料だ。

                 (赤兎山から経ヶ岳方面を望む)

 (薮コギ必須の経ヶ岳分岐)   (大長山を見ながら下る)      (ブナ林を下る)

(小原峠から越前禅定道を下る)(峠に祀られた3体の石の地蔵)  (正面に白山を見つつ下る)

     (川上御前の祠)       (真新しい禅定道の案内道標)   (飛び石で西俣谷川を渡る)

     (林道を淡々と下る)    (唯一目を楽しませるササユリ)  (やっと大長谷出合到着)

★道で出会った花(三ノ峰に記載)

★ルート断面図


★地  図
(1)三ノ峰〜杉峠

(2)杉峠〜越前禅定道

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       白山・荒島岳
・2万5千分の1地形図  白山、加賀市ノ瀬、二ノ瀬、願教寺山

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