丸黒山(1956.3m)

 

★ひとこと   「交流の家から奥千町避難小屋を経て乗鞍岳ピストン(1)」

奥千町避難小屋前から夕暮れの乗鞍岳を望む


★行った日   2013年8月18日(日) 曇一時晴 単独

★コース

(1日目)
高槻3:24(名神、東海北陸道、中部縦貫道)=高山IC(R158、R361、県道462)=7:41乗鞍青少年交流の家7:53→日影峠8:16→新旧道分岐8:51→9:21(1694m)枯松平山9:33→枯松平休憩所9:43→長倉本谷分岐(白山見晴台)10:13→11:01休憩11:14→11:35(1956.3m)丸黒山11:38→12:07P1870(サブザック回収に戻る)12:49→13:34休憩13.39→14:39中間点道標14:50→14:58P2156 15:05→千町ヶ原15:26→15:55休憩16:06→奥千町避難小屋16:33

 酷暑の都会を脱走して北アルプス最南端の3000メートル級の独立峰、乗鞍岳だ。奥千町(おくせんちょう)避難小屋泊まりを前提に乗鞍青少年交流の家から山頂ピストンの予定だ。丸黒(まるくろ)尾根、千町(せんちょう)尾根を通る殆ど急坂のないしっかりした安全な登山道だが、途中に水場がないのが最大の問題だ。残雪の時期には小屋付近の雪渓から水がとれるそうだが、渇水の季節では湿地帯の水溜りも殆ど干上がり、浄化して使用も不可能だ。そこで2日分6.8リットル(お茶2.8精水4)を用意した。交流の家の前で中高生の朝礼の声を聞きながら重いザック(16キロ)を担いで出発だ。
 立派な建物の裏の丸黒山登山口の表示が入口だ。ここから丸黒山まで1/60毎に表示がある。カラマツ林の林道をなだらかにしばらく登ると、林道終点の日影平乗鞍岳歩道の起点、日影(ひかげ)峠だ。日影平から乗鞍岳まで1km毎に木柱がある。ブナ古木の点在するブナノキ平を過ぎ、鞍部の岩井谷(いわいだに)乗越からカラマツ尾根をなだらかに登り、新旧道分岐から新道を進むと視界のない枯松平(かれまつたいら)山だ。山頂からシラカバやダケカンバの森を少し下ると立派な枯松平休憩所だ。ここで先ほど別れた旧道と合流し、なだらかに下って鞍部の平金(ひらがね)乗越からガンバル坂の丸太階段をカラマツ林に沿って頑張ると長倉(ながくら)本谷分岐の小広場の白山展望台だ。切り開きから白山が見える筈だが霞んでいて駄目だ。ここから根性坂と名付けられた急坂を登り続けると、オオシラビソやコメツガが点在する岩尾根もある稜線だ。池見台と名付けられた岩頭もあるが、東の岩井谷(五色ヶ原)の湖沼はおろか、周囲の木々が生長して山並みすら望むのは至難の業だ。しばらくアップダウンを繰り返しつつなだらかに稜線を進むと丸黒山頂上広場だ。

   (薄曇の交流の家を出発) (建物裏の丸黒山登山口を進む) (カラマツ林の水平道を行く)

  (日影峠が登山道始点)    (ブナ古木の茂るブナノキ平)    (岩井谷乗越を行く)

    (ミズナラ平を行く)         (新旧道分岐)       (樹林内の枯松平山頂上)

 (枯松平休憩所で新旧道合流)   (カラマツ林の平金乗越)   (丸太階段の続くガンバル坂)

 (長倉本谷分岐(白山展望所))   (丸太階段の根性坂)     (何も見えない池見台)


 小祠もある山頂から、東に雲に覆われた乗鞍岳が望めるが、西に見える筈の白山は霞の中だ。ここまで来ると、僕の重量制限10キロを遥かにオーバーした過荷重がボデーブローのように効いて、上り坂になると足が上がらなくなってきた。日影峠からここまで整備された遊歩道だが丸黒山から薮っぽい登山道だ。山頂から刈り払いされた笹原の急坂を下り、針葉樹の本コース唯一の急坂を滑りながら下りきり、次のピークP1870で背中のサブザック紛失に気づく。食料を入れたサブザックを親ザックに取り付けていたもので、これが無くなればお手上げだ。ずり落ちた地点の見当はついているのであわてて空身で引き返し、急坂の途中で発見して、ことなきを得た。原因はサブザックの手抜きの締結だった。笹原林床の針広混交林の、刈り払いしてあるが笹の茂る薮っぽい道を黙々と登り続けるが、足の上げ下げがだるくなり次第に休憩回数が多くなる。遂に中間点付近で腹痛だ、辛抱できず付近で用を足したが、知人のお医者さんの話では疲労による自律神経失調が原因らしく、これも一種の安全弁だそうだ。それ以降、極端に足取りを遅くし、休み休み歩くと正常に戻った。丸黒山から標準で2時間半のところ4時間もかかって千町ヶ原(せんちょうがはら)へやっと到着だ。ここで九蔵(くぞう)ノ尾根を右に分け、歩き易い木道を進む。池塘が点在し、咲き残りのワタスゲやコバイケイソウが彩を添える緑の湿原が素晴らしい。地形図ではP2301駒ノ鞍のピークを点線は通っているが、登山道はその南側のオオシラビソ林が美しい巻道だ。ここを過ぎるとニッコウキスゲが咲き残る田ノ原湿原だ。私有地のため通行できない子ノ原(ねのはら)尾根道分岐点に建つのが奥千町避難小屋だ。草原が広がり、東に乗鞍岳がそびえる風光明媚な所だ。美しい小屋で、内部は清潔な板敷きだ。部屋の右片隅にはマットとシュラフがあり、はじめ入った時には先住者と勘違いしたが、小屋の備品らしい。今晩は小屋貸切だ。早速、僕の定番のα米炊き込みご飯とカップラーメンで腹ごしらえ、寝床の準備をしてから散歩だ。少しガスってきたが乗鞍岳を眺めながら木道に腰掛けて焼酎を傾けるひと時が最高だ。夜半に外へ出てみたが、ガスが少しあり、満月のせいもあって、まばらに星座が見える程度だった。静かな静かな夜、夕方から朝まで熟睡だ。
 カラマツから始まってオオシラビソやコメツガの針葉樹林、ブナをはじめカエデ、ダケカンバなどの広葉樹林、などの樹相の変化を楽しみなが歩け、標高2000メートルを超えると美しい湿原が現れる。奥千町避難小屋は最高の場所に建つ美しい小屋だ。ただ、登山口から遠く、水場が付近にないのが要注意点だ。僕にとってオーバーロードの16キロを担いで標準6時間半のところ8時間半かかってしまった。

      (丸黒山頂上)        (山頂から急坂を下る)    (笹原林床針葉樹林を行く)

(標高2千米に達した薮っぽい道)(ここが日影・乗鞍の中間点)    (薮っぽい道が続く)

(千町ヶ原で久蔵ノ尾根道と合流) (池塘点在の木道を行く)      (湿原を振り返る)

(美しいオオシラビソ樹林を行く) (別名田ノ原、奥千町の湿原)   (子ノ原尾根分岐)

 (小屋分岐から乗鞍岳を望む)     (奥千町避難小屋)     (住心地の良さそうな小屋内部)

★道で出会った花(2日目と一括記載)

       ウド(林道)           ノリウツギ(林道)     キバナノヤマオダマキ(林道)

     ヤマハハコ(林道)      キンミズヒキ(ブナノキ平)  キツネノボタン?(ミズナラ平)

    ヒヨドリバナ(枯松平)   ミヤマアキノキロンソウ(根性坂)  ゴゼンタチバナ(中間点)

   コバイケイソウ(田ノ原)     モリアザミ?(P2391)     ヨツバシオガマ(皿石原)

    イブキボウフウ?(皿石原)   チングルマ(皿石原)      ハクサンチドリ(皿石原)

ミヤマアキノキリンソウ(皿石原)    イタドリ(皿石原)      ミヤマシシウド?(皿石原)

   イワオトギリ(皿石原)       ウサギギク(皿石原)     アオノツガザクラ(皿石原)

    チングルマ(皿石原)    ミヤマダイコンソウ(皿石原)    イワツメグサ(剣ヶ峰)

    イワギキョウ(剣ヶ峰)       コマクサ(剣ヶ峰)       ウメバチソウ(皿石原)

   オヤマリンドウ(中洞権現)  ミヤマホツツジ(中洞権現)  ハイマツのアルビノ種?(中洞)

   エゾシオガマ(P2391)      カニコウモリ(田ノ原)      ミヤマカラマツ(田ノ原)

   ニッコウキスゲ(千町ヶ原)    ワタスゲ(千町ヶ原)      トリアシショウマ(林道)

★ルート断面図


★地  図
(1)乗鞍青少年交流の家〜千町ヶ原

(2)千町ヶ原〜乗鞍岳

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       乗鞍高原・北アルプス
・2万5千分の1地形図  飛騨青屋、乗鞍岳

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