きょうは昨日に引き続いて室堂から中宮道でお花松原に立ち寄り、大汝峰登り口へ戻って釈迦新道で市ノ瀬へ下山の計画だ。
お握り朝食をお腹に押し込んで御前峰付近にちらちらするヘッドランプの明かりを眺めながら薄暗い室堂センターを出発だ。雲の隙間から朝焼けの御嶽山を見つつ、山腹を巻く近道をしばらく登ると分厚い雪に閉ざされた千蛇ヶ池だ。すぐ先の大汝峰登り口にザックをデポ、サブザックで中宮道を進む。きょうは南方洋上にある台風5号の影響か風が滅法強く、大汝峰と剣ヶ峰間のコルをいく中宮道は風の通り道らしく飛ばされそうだ。本日最高点の石川・岐阜県境のコル(Ca2606m)を過ぎて砂地のだらだら坂を下る。お花松原の先の鋭角のP2349、その先の北弥陀ヶ原や間名子(まなこ)の頭が正面に見えている。台地の突端から小尾根の急坂下りだ。岩角の急坂を下り、沢筋の大石ゴロゴロの伝え歩きでやっとヒルバオ雪渓到着だ。ただいま融雪中らしく、ハクサンコザクラやチングルマが咲き、辺り一面の斜面はアオノツガザクラの大群落で萌黄色に染め上げられている。途中で出会った福井から日帰りで年に数回白山へ登るという人の言によれば、点々と岩を配した草原の北弥陀ヶ原やP2349から眺めるカール状地形のナナカマドの紅葉が涸沢に匹敵するほど素晴らしいそうだ。しばらく沢筋を進むと、倒れたお花松原の標柱があり、2週間早ければ満開のクロユリが見られたはずの群落があり、テガタチドリやヨツバシオガマ、ハクサンフウロやクルマユリなどの咲く花園が一面に広がっている。きょうは長い下りが待っているので名残惜しいがお花松原を切り上げ、Uターンだ。戻るときに眺めると、左に剣ヶ峰がそそり立ち、右に大汝峰が重量感をもってそびえ、中央の谷筋にヒルバオ雪渓があり、そのカール状地形が素晴らしい景観だ。紅葉の季節がしのばれる。しんどい小尾根を休み休みゆっくり登り、大汝峰登り口へやっと帰着、2時間半のお花松原見物だった。
(朝焼けの御嶽山を見ながら出発) (室堂を振り返る)
(万年雪の千蛇ヶ池)
(大汝峰裾の中宮道を行く)
(お花松原へ山裾を下る) (谷筋へ急坂を下る)
(まだ残るヒルバオ雪渓)
(融雪地のハクサンコザクラ)
(山肌を染めるアオノツガザクラ)
(1、2週間遅すぎたクロユリ原) (テガタチドリなど咲くの花園) (お花松原のお花畑)
(カール状地形を戻る)
(草花の咲くヒルバオ雪渓を戻る)
(ガスった強風の大汝峰登り口)
ますますガスは濃くなり、雨は降らないが風の強い巻道を進み、大汝峰を越えてきた道と合流してしばらくハイマツ林を下ると御手水鉢だ。ガスってよく見えないが水をたたえた窪みのある長方形の大岩だ。御手水鉢から七倉山の南面を巻くように花の多い南斜面をなだらかに登ると、北竜ヶ馬場の平地、岩間道、加賀禅定道、釈迦新道の四ッ辻、七倉ノ辻だ。辺りは真っ白なので釈迦新道のなだらかな道をただひたすら下る。一ヶ所崩落部を迂回するが難なく通過、P2402の先までハイマツの道が続く。P2350付近からダケカンバが道端に現れ、P2300から南へ下る花の多い急坂を九十九折に下る。尾根の方向を南から西に変え、P2190へなだらかな花に彩られた稜線を下る。P2109の南下から急坂を南へジグザグに少し下り、白山釈迦岳と今は廃道の青柳新道の通るP2080シゲジとの間のうねうねした尾根道を眺めながら、方向を西南に変えてアップダウンしつつ稜線を下る。この辺りまで来るとガスも晴れ間を見せ、雲のかかった御前峰を振り返ると深く切れ込んだ湯の谷の峡谷が壮観だ。かつて湯の谷乗越から湯の谷を渡って室堂までワンゲル道があったそうだが険しさがしのばれる。しばらく稜線を下ると水場表示のある湯の谷乗越だ。すぐ先に火口2キロの標柱が新設されている。コルから曲がりくねった稜線をうねうね登る。振り返ると七倉山から下ってきた稜線が緑に映えて美しい。
(大汝峰巻道を戻る) (大汝道と合流後ハイマツ林を下る) (よく見えない御手水鉢)
(花の道を七倉山へ)
(何も見えない七倉ノ辻) (ひたすらだらだらと尾根を下る)
(Ca2300から南へ急坂の下り)
(花の斜面を九十九折に下る)
(P2109へなだらかな稜線下り)
(P2109下からジグザグ急坂下り)(Ca2000からシゲジを正面に下る)(湯の谷峡谷を振り返る)
(湯の谷乗越の火口2K表示)
(乗越から七倉山を振り返る) (白山釈迦岳へうねうね登る)
コルから約1キロの曲がりくねった稜線をなだらかに登り、山頂の西側を巻くように池の畔を進むと白山釈迦岳分岐だ。「三角点まで5分道あり」の手書きがあったので小沢を登ってみたが笹のトンネルの先が丈余の笹薮、山頂をあきらめて戻る。少し下って上り返すと大展望のはずの釈迦岳南峰だ。今回期待したのは、千蛇ヶ池を水源とする千才谷の千仞滝の姿だったが生憎真っ白だ。草花はここまで、南峰からは笹原から樹林帯の下り坂が延々と続く。しばらく笹原斜面の九十九折の道を下り、Ca1800付近からダケカンバが現れ、1650付近からトドマツとなり、1500位から立派なブナ林となる。Ca1460の水場の冷たい水で生き返り、ブナ林を疲れた足を引きずってまだかまだか思いながら下り続け、段々大きくなるエアーハンマーの鳴り響く音を聞きながら下るとやっと林道出合の釈迦岳登山口だ。林道を少し下ると湯の谷を渡る橋があり、左岸の指尾(さしお)山西北面崩落現場の工事で通行止だ。係りの人の指示に従って現場を急いで通過、惰性で林道を歩き続け、越前禅定道登山口から山道を下る。広葉樹の森の急坂を下って杉林を抜けると県道に合流、10分ほど下るとまばらに車の姿のある市ノ瀬駐車場だ。帰途、白山の見える天望の湯で二日分の汗を流し、順調に帰阪した。
少し遅すぎたがお花松原は期待通りの素晴らしい花園だ。紅葉の時期にもう一泊して北弥陀ヶ原まで足を延ばしたいものだ。釈迦新道では草花を楽しみながら白山釈迦岳まで下り、それ以降は標高に応じて樹相の変化が実感できる。なお、身体能力の弱体化は如何ともし難く無事登れるか心配したが、時間をかけて一歩一歩登ると何とかなることを実感した。
(白山釈迦岳分岐)
(本当は大展望の釈迦岳南峰) (笹原斜面を九十九折下り)
(Ca1800ダケカンバが続く) (Ca1650シラビソ林を下る) (Ca1500立派なブナ林を下る)
(Ca1460水場) (ブナ林が続く) (林道釈迦岳登山口)
(指尾山西北面崖崩落現場) (越前禅定道登山口) (市ノ瀬登山口へ帰着)
★道で出会った花
キツリフネ(別当坂) ヤブテマリ(別当坂) モリアザミ?(別当坂)
ヒメシャジン?(稜線) ハクサンシャジン(稜線) モリアザミ?(稜線)
ヨツバヒヨドリ(稜線) ヤマゼリ?(稜線) ゴゼンタチバナ(稜線)
キオン?(稜線) シモツケソウ?(稜線) ホソバノヤマハハコ(稜線)
タカネマツムシソウ(稜線)
カニコウモリ(稜線)
ヒトツバヨモギ?(殿ヶ池)
イブキトラノオ(殿ヶ池) ヨツバヒヨドリ(殿ヶ池) ミヤマキンポウゲ(殿ヶ池)
カライトソウ(殿ヶ池)
ハクサンフウロ(殿ヶ池) エンレイソウ(殿ヶ池)
オオヨモギ?(殿ヶ池) ゴマナ(殿ヶ池)
シシウド(殿ヶ池)
エゾシオガマ(殿ヶ池) イワオウギ(蛇塚) タカネニガナ(蛇塚)
シナノオトギリ(蛇塚) ハクサンフウロ(蛇塚) オンタデ?(蛇塚)
シモツケソウ(黒ボッチ) モリアザミ?(黒ボッチ) オヤマリンドウ(黒ボッチ)
イワギキョウ(室堂平) ニッコウキスゲの実(室堂平) イワツメグサ(御前峰)
ミヤマリンドウ(千蛇ヶ池) ヨツバシオガマ(百姓池) イタドリ(百姓池)
アキノキリンソウ?(百姓池) ナナカマド(百姓池) ウサギギク(室堂平)
ミヤマタンポポ?(室堂平) ミヤマダイコンソウ(お花松原) クロユリ(お花松原)
クルマユリ(お花松原) テガタチドリ(お花松原) チングルマ(お花松原)
チングルマ(お花松原) キヌガサソウ(お花松原)
ミヤマナルコユリ(お花松原)
?(お花松原) フウリンウメモドキ?(お花松原)ハクサンコザクラ(お花松原)
アオノツガザクラ(お花松原) イブキボウフウ?(お花松原) クロトウヒレン(お花松原)
コケモモ(お花松原) イワカガミ(巻道) カンチコウゾリナ(巻道)
ヤマハハコ(御手水鉢) ミヤマダイコンソウ(御手水鉢) ダイモンジソウ(七倉ノ辻)
カワラナデシコ(Ca2300) ミネウスユキソウ(Ca2300) モリアザミ?(Ca2300)
マルバダケブキ(Ca2300) クガイソウ(Ca2300) オニシモツケ?(Ca2300)
サラシナショウマ(Ca2100) タカネヨモギ(Ca2100) ミヤマホツツジ(Ca2100)
タテヤマウツボグサ(Ca2100) ?(Ca2100) オオレイジンソウ(Ca2100)
ハクサントリカブト(Ca2100) ?(Ca2100) ゴマナ(Ca2100)
シモツケソウ(湯の谷乗越) ミヤマコゴメグサ(湯の谷乗越)オオバギボウシ(湯の谷乗越)
ウメバチソウ(湯の谷乗越) コケモモ(釈迦岳) ツマトリソウ?(釈迦岳)
?(釈迦岳) ヤマブキショウマ?(釈迦岳) カラマツソウ(釈迦岳)
ムシカリ(南峰) ギョウジャニンニク(Ca1800) ヤブテマリ?(Ca1650)
ツルリンドウ(水場) キオン(釈迦登山口) ツリフネソウ(林道)
ヘクソカズラ(林道) ウド(林道) キンミズヒキ(林道)
★ルート断面図
★地 図
(1)室堂→お花松原→白山釈迦岳
(2)白山釈迦岳→市ノ瀬
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 白山・荒島岳
・2万5千分の1地形図 加賀市ノ瀬、白山、中宮温泉、白峰
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