籾糠山(1744.3m)

 

★ひとこと   「天生峠から高層湿原と原生林を経て展望の籾糠山へ」

籾糠山


★行った日   2020年8月21日(金) 晴一時曇 孫娘と2人

★コース

 高槻5:05(名神、東海北陸道)=白川郷IC8:52(R360)=9:22天生峠駐車場9:32→天生湿原入口10:04→10:34カラ谷分岐10:38→11:23水平分岐11:29→11:52籾糠分岐(昼食)12:16→12:46(1744.3m)籾糠山13:00→13:17籾糠分岐13:24→13:59カラ谷分岐14:06→天生湿原入口14:22→14:42天生峠駐車場14:56(R360)=15:25白川郷の湯16:00=白川郷IC16:09(東海北陸道)=福光IC16:38(R304、県道20)=福野(R471、R8)=金津IC21:19(北陸道、名神)=高槻0:15

 毎年、8月もお盆を過ぎると暑さも次第に衰え、朝夕はいくぶん過ごしやすくなるものだが、20日を過ぎようとしているのに最高気温が35度以上の猛暑日が続き、寝苦しい夜の連続だ。これは小笠原高気圧とチベット高気圧の二つの気団が日本本土上空で二段重ねで居座っているせいだそうだ。今年は梅雨の長雨に引き続く猛暑日にくわえてコロナ禍のため巣ごもりの日々が続き、憂うつなきょうこの頃だ。体力が弱ってくると精神的に何事にも消極的になりがちだが、思い切って酷暑に負けないように出かけることにする。飛騨高地の中央部に位置する籾糠(もみぬか)山は白山山系の山々と庄川を隔てて対峙し、山域に湿原やカツラ、ブナなどの原生林があり、天生(あもう)県立自然公園として整備され、6月には開通する天生峠登山口から往復8キロ弱の歩きやすい山だ。きょうは盆休みの孫娘と運転を交代しながら、端境期の空いた歩き易い山へ登り、やぼ用の城端(じょうはな)に立ち寄り、北陸回りで日帰りの計画だ。ひと頃より日の出が遅くなって薄暗い早朝に出発、市内のコンビニで食料を調達して高速に入る。コロナのせいか意外に交通量の少ない名神を東進、朝もやで霞んだ伊吹山を眺めながら進むが、いつもながら朝の名神の上りは朝日のまぶしい道だ。車の少ない東海北陸道を北上、右手の山間の郡上八幡城をちらっと眺め、正面の山肌にゲレンデがへばりつく大日ヶ岳を見ながら進み、白川郷手前の長大トンネルではカーナビ表示の籾糠山の真下を通過して高速を出る。R360は西の庄川と東の神通川(宮川)を天生峠を介して結ぶ、今年は5月末に冬季閉鎖が開通した険しい峠越えの道だ。天生峠は東山魁夷の「唐招提寺の障壁画」や泉鏡花の「高野聖」の舞台となった鬱蒼とした峠道だったそうだが、戦後皆伐されていまはその面影は薄く明るい道だ。途中の展望所から紺碧の空を切り裂いたような白山主峰の稜線を眺めたりしながら約30分の山岳ドライブで大きな天生峠駐車場だ。水場やトイレ(山中は携帯トイレ)もある先行車1台の静かな登山口だ。登山口で検温を受け、整備協力金500円/人を払って出発だ。
 丸太階段のなだらかな遊歩道を進み、標高1350の東北の切り開きから北アが望めるはずだが霞の彼方だ。ブナなどの広葉樹の森をしばらく行って柵を通ると湿原入口だ。一方通行の周回路を左へ、大部分の湿生植物の花は終わったがシラヒゲソウやエゾリンドウを愛でながら進むと湿地に突き出た匠屋敷の祠だ。ベンチで小休止後、花はなく青々とした草原のような湿地帯のワレモコウの揺れる周回路を進み、天生谷川源流部へ下る柵を出る。沢を渡った先がカラ谷分岐だ。水平探勝路を左に分けカラ谷を直進、道端の未熟なトチの実を蹴飛ばしたり、林床のマルバダケブキやトリカブトの咲く谷筋を渡渉を繰り返しながらなだらかに登ると根元に人が入れるくらいな空洞付き巨木のあるカツラ門だ。数本のカツラの大木が並び、つる草のまつわりついた巨木の間をぬって谷筋を進む。

 (R360から白山連峰を望む)    (天生湿原マップ)      (がらすきの天生峠駐車場)

 (検温し協力金を納めて出発)  (樹間から北アが見えない)   (木漏れ日の探勝路を行く)

  (湿原入口を左へ(一方通行))   (湿原に咲くエゾリンドウ)       (匠屋敷の祠)

(湿地帯で満開のシラヒゲソウ)   (湿原を時計回りに周回)   (湿原からカラ谷の原生林へ)

 (カラ谷を飾るマルバダケブキ)   (山トリカブトの行列)    (カラ谷分岐のカツラの大木)

     (原生林の大木)        (大木をぬって歩く)       (カツラ門の大木群)

 トチやカツラの巨木の混じる原生林をしばらく進むと先程別れた水平探勝路と合流し、急な道を山頂へ向かう。孫娘は山経験がなくてもすいすい登っていくが、年の差60歳の僕はすぐに息切れして休み休み大汗を拭いながら、オオシラビソの急な樹林を登ると籾糠分岐だ。山頂は木陰もない小広場なので涼しい木漏れ日のベンチで昼食だ。ここから勾配は緩くなり、力強い姿のダケカンバに励まされながら樹林帯を登ると籾糠山三角点の小広場だ。時計回りに西北から南にかけて視界が開け、北アや乗鞍岳などは雲の彼方だが、人形山など眼前に広がる山々は素晴らしい眺めだ。西南の白山方面はブラインドだが、樹林越しにお隣の猿ヶ馬場山が望めた。6年前の残雪期に訪れた猿ヶ馬場山から望む籾糠山は意外に格好の良い円錐形の姿だ。山頂は暑く木陰にぶらさげた寒暖計で28℃、長居は無用で早々に下山だ。籾糠分岐からブナ林の美しい尾根道を下り、カラ谷分岐から湿地帯西岸を通り、往路通りに下った。きょうは一人の登山者にも会わない「3密」無縁の山歩きだ。開いたばかりの「白川郷の湯」で汗を流し、トンネルばかりの高速で城端へ向かう。ヤボ用を終了し、ここから高速で帰っても高槻着午後11時半なので深夜料金の0時を過ぎるようにしばらく一般道を走ることにする。この辺りのR8は久しぶりだ。医王山の北の倶梨伽羅トンネルを通過して金沢まできても早過ぎるので一路西進、各所でR8のバイパスができているので意外にスムースに走れ、福井手前の金津でようやく高速に入り、0時過ぎに順調に帰阪した。
 天生湿原の花の最盛期は終わっていたが、シラヒゲソウやエゾリンドウが咲き誇り、ミツガシワやウメバチソウが咲き残っていた。カラ谷のカツラやトチ、ブナの原生林は見事だ。晴れていれば北アまで望める山頂からの展望も素晴らしい。道標や遊歩道も整備されて誰でも安全に歩ける天生自然公園だ。

   (林立するカツラの大木)       (水平分岐から山頂へ)        (急な樹林の道を登る)

   (籾糠分岐を山頂へ)       (白く光るダケカンバ)        (籾糠山三角点)

(猿ヶ馬場から残雪期の籾糠山)(山頂から人形山と三ヶ辻山) (山頂から見えない北ア方面)

              (籾糠山から時計回りに西北〜南を望む)

(山頂から樹林越しに猿ヶ馬場)  (籾糠分岐から尾根道へ)     (ブナ尾根を下る)

   (カラ谷分岐付近を進む)    (湿原の西岸沿いに進む)     (天生峠駐車場帰着)

★道で出会った花

    ツルニンジン(登山口)    アキノキリンソウ(登山口)     エゾリンドウ(湿原)

     ムシカリ(湿原)         タカネオトギリ(湿原)       ウメバチソウ(湿原)

    ミツガシワ(湿原)         ヒヨドリバナ(湿原)       ヤマアジサイ(湿原)

     ミゾソバ(湿原)          ワレモコウ(湿原)      ミヤマシシウド(カラ谷)

    シラヒゲソウ(カラ谷)     マルバダケブキ(カラ谷)      トリカブト(カラ谷)

    モリアザミ蕾(カラ谷)       モリアザミ(カラ谷)        ヤマハッカ(カラ谷)

   イヌトウバナ(カラ谷)      サンカヨウ実(カラ谷)       カニコウモリ(カラ谷)

   サラシナショウマ(カラ谷)    ヤマアジサイ(カラ谷)     イブキボウフウ?(カラ谷)

   ツバメオモト実(カラ谷)     カニコウモリ(籾糠山)     マイヅルソウ(籾糠山)

  ゴゼンタチバナ実(籾糠山)    ミヤマアカバナ(湿地)         ?(湿地)

★ルート断面図


★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・2万5千分の1地形図  鳩谷、平瀬

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