竜王山(604.7m)鶏冠山(490.9m)

 

★ひとこと   「上桐生から鶏冠山、天狗岩、竜王山、磨崖佛を周回」

落ヶ滝


★行った日   2023年6月5日(月) 晴時々曇 単独

★コース

高槻5:41(名神)=瀬田西IC(県道16、県道108)=6:50上桐生駐車場7:03→7:38落ヶ滝7:42→稜線出合8:36→9:02(490.9m)鶏冠山9:14→稜線出合9:33→10:23天狗岩10:47→11:00耳岩展望台11:12→白石峰11:24→11:41(604.7m)竜王山(昼食)12:04→白石峰12:20→12:48狛坂磨崖佛12:59→出合13:13→水晶谷出合13:31→13:43逆さ観音13:51→14:04上桐生駐車場14:14(県道108、R422、県道3)=笠取IC(京滋BP)=高槻15:44

 梅雨の晴れ間に、久しぶりに展望抜群の奇岩帯を歩きたくなって、手軽に行ける金勝(こんぜ)アルプスだ。上桐生を起点に落ヶ滝経由鶏冠山を経て、天狗岩から竜王山を経て磨崖佛へ周回の計画だ。高速利用で高槻から桐生の一丈野駐車場までほぼ1時間、平日とあってがら空きの駐車場到着(700円)だ。
 案内所でハイキングマップをいただき、鎖ゲートから北谷林道に入り、鶏冠山分岐を落ヶ滝めざして右折だ。ため池の畔から沢沿いの爽やかな雑木林の道を進む。堂山などの湖南アルプスを含めてこの地方の山々は、奈良平安時代の都造営のため皆伐されたが、明治以降緑の再生が続けられている。そのためこの山域には深山幽谷はなく主たる植生は明るい雑木林だ。羊歯の茂る沢沿いの道を渡渉を繰り返しつつ進み、見た目は険しそうだが、グリップのよくきく一枚岩を登ったりして頑張ると、落ヶ滝寄道分岐だ。沢に沿って少し行くと見上げるような滑らかな岸壁で行き止まり、中央の岩盤に沿って水が滑り落ちている。高さは20m程で水量も少ないが不思議な迫力があり、一見の価値のある滝だ。分岐まで戻り、滝を左から高巻くように迂回し、沢筋に戻るが、この辺りはガンピの多い所だ。ガンピ(雁皮)はコウゾ(楮)、ミツマタ(三椏)とともに和紙の原料で、他の二者は栽培可能だが、これは成長が遅いため栽培が難しく自然産だ。ガンピはきめ細かな光沢ある紙質が特徴、大津市桐生でも「なるこ和紙」として生産されている。沢筋を岩盤をよじ登ったり、渡渉したりしてしばらく進むと草むらにキンコウカの群生する谷間の美しい平地だ。しばらく、なだらかな岩盤の露出した沢筋を渡渉しながらつめ、徐々に谷筋が狭く険しくなり、美しいが険しい岩頭を乗り越えて進むと北峰縦走線の稜線出合だ。雑木林の稜線をなだらかに北上後ジグザグに標高差100mの急坂を息を切らして登る。

 (案内所のトレッキングマップ)  (がら空きの駐車場を出発)   (北谷林道の鎖ゲートを通る)

    (鶏冠山分岐を右へ)     (沢沿いの雑木林を行く)   (渡渉を繰り返しつつ進む)

  (沢の露岩一枚岩を登る)   (落ヶ滝寄道分岐を右へ)        (落ヶ滝)

  (分岐へ戻って沢筋を直進)    (沢筋の一枚岩を登る)      (沢筋の美しい平地)

    (沢に咲くキンコウカ)      (美しい谷筋をたどる)     (よく現れる岩盤を登る)

    (羊歯の道を行く)          (稜線出合)        (ジグザグに急坂を登る)

 木々が繁茂して展望のない山頂稜線をしばらく北上すると林間の鶏冠山三角点広場だ。冬場は樹間から栗東トレーニングセンターなどが垣間見えていたが夏場は全く視界不良だ。眼前の樹間から東方にチラチラと阿星山を眺めながら頂上稜線を南下、往路の稜線出合へ戻る。最低鞍部の出合からアップダウンを繰り返しながら標高差200mの白石峰までなだらかに高度を上げていく。北峰縦走路は、和紙のガンビ、8月に甘酸っぱい黒い実のなるナツハゼや白い小花が下向きに並んで咲く「悲しみの涙」とも称されるネジキなど花崗岩好みの落葉低木のオンパレードだ。しばらく木の花や展望を楽しみながら進むと標高420m辺りから奇岩が目立ち始める。大岩の展示場のような稜線を南下、小鞍部を経て登り返すと天狗岩登り口だ。鎖の助けを借りて巨岩に取り付き、赤ペンキの目印通りによじ登ると天狗岩の岩頭だ。岩頭からは低山ながら360℃の展望だ、少し霞んでいるがびわ湖南部の山々が見渡せる。高度感たっぷりの丸い巨岩の上に立つと、高度や規模は異なるが風化した花崗岩からなる宮崎の大崩山の坊主尾根が思い出される。こわごわ見晴らしの良い巨岩を伝え歩いた7年前を思い出しながら、岩の上でしばし沈思黙考だ。岩頭で馬頭観音Pから登ってきた父娘の親子連れと歓談、今夏富士山に登るトレーニングだという娘さんを激励、まぶしい若さに元気をもらった。

  (雑木林の山頂稜線を行く)    (林間の鶏冠山三角点)     (稜線の樹間から阿星山)

(往路出合から続く緑の尾根道) (あちこちに目にするガンピ)     (ナツハゼも多い)

   (ずり落ちそうな巨岩)     (この巨岩何に見える?)    (ネジキもよく見かける)

   (展望奇岩尾根を行く)     (天狗岩めざして進む)       (天狗岩取り付き)

  (もうすぐ天狗岩の岩頭)    (天狗岩から湖南を望む)    (天狗岩から湖東を望む)

             (天狗岩上から360度の展望、南―西―北―東―南)

 天狗岩から稜線を南下、耳岩下の展望台から湖南を眺望、巨岩の下から少し進むと白石峰の分岐だ。復路の磨崖佛を右に見て左の竜王山へ向かう。ほぼ水平の尾根道を茶沸観音を経て東へ向かい、最後に急坂を登ると八大竜王の広場、すぐ上が竜王山三角点の小広場だ。三上山方面に狭い切り開きがあるが展望はいまいちだ。下の八大竜王の広場で助六の昼食後すぐ下山だ。白石峰を直進、長い急な石段を下り、重ね岩を経て巨岩の道を下る所でよそ見をして石車で滑って見事に転倒、愛用のストックを折ってしまった。疲労と老化によるバランス感覚の減退に要注意だ。ちょっと擦りむいただけでたいしたことはなく、沢筋を過ぎると狛坂廃寺跡の平地だ。倒木の多い平地の片隅の斜面に立てかけたような花崗岩に彫られた仏が狛坂摩崖仏だ。作風から奈良時代の渡来系工人によるものとされている。参道と思われる広いが荒れた沢筋を下り、やがて羊歯の茂る谷を辿ると南谷出合だ。このすぐ先が分水地点、左は桐生辻、右はこれから下る3`先の上桐生だ。淡々とした林道歩きで新名神をくぐった先が逆さ観音だ。掲示によれば、三尊石仏の彫られた花崗岩が、近くの石材をオランダ堰堤に使ったためバランスを失って逆さに落下したのだそうだ。ノイバラが沿道を飾る林道でオランダ堰堤を経て桐生若人の広場を過ぎるとほぼ5割かた埋まった一丈野駐車場だ。帰りは、笹間ヶ岳などの湖南アルプスの山裾を切り裂く第2名神の工事現場を左に見ながら南下、鹿跳橋から大増水の濁流うず巻く瀬田川沿いに走り、笠取ICから帰阪した。
 金勝アルプスの岩尾根は、体力がそんなになくても誰でも味わえる展望豊かな巨岩地帯だ。また、落ヶ滝も不思議な魅力のある滝だ。今の時期、草花の最盛期は過ぎ去ったが、木本の花が興味深かった。それに加えて、磨崖佛など歴史的遺産もあり、興味深い山域だ。

   (耳岩へ稜線を西進)   (耳岩展望台から湖南を望む)       (耳岩の巨岩)

   (白石峰から竜王山へ)         (茶沸観音)            (竜王山)

 (山頂直下の八大竜王の祠)   (白石峰から磨崖佛へ)      (長い石段を下る)

      (重ね岩)            (巨岩の道を下る)        (狛坂廃寺跡)

     (狛坂磨崖佛)        (羊歯の茂る道を下る)       (南谷林道出合)

   (沿道を飾るノイバラ)         (逆さ観音)          (オランダ堰堤)

★道で出会った花

      モチツツジ             キンコウカ             ソヨゴ

     サルトリイバラ             ガンビ              ネジキ

       ナツハゼ              ウツギ            ナワシロイチゴ

      コナスビ             コマツナギ             ノイバラ

★ルート断面図


★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・2万5千分の1地形図  瀬田、三雲

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