大山(1709.4m)

 

★ひとこと   「集団登山で大賑わいの夏山登山道で山頂へ」

地蔵峠から大山東壁

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★行った日   2004年6月3日(木)  晴   単独
 
★コース

関金温泉8:30(大滝山地蔵院)=鏡ヶ成=10:20大山寺橋駐車場10:35→1合目10:50→2合目11:03→3合目11:13→4合目11:23→11:345合目11:39→行者道分岐11:41→6合目11:56→7合目12:10→8合目12:33→9合目12:42→12:54(1709.4m)弥山頂上13:18→8合目13:41→6合目14:03→行者道分岐14:12→大堰堤右岸14:37→大神山神社参道出合15:00→15:14大山寺橋駐車場15:20=船上山下=関金(R313)=真賀温泉18:00

 きょうも抜けるような青空だ。関金温泉の中の地蔵院に寄って重文の地蔵菩薩半跏像を拝む。この地蔵尊は他ではあまり見かけない独特のスタイルで、国の重要文化財に指定されている。不思議な生命力に満ちあふれた姿は、地元では「延命地蔵」と呼ばれ親しまれている。地蔵院をあとにして大山寺に向かうが、途中にコンビニがないので倉吉方向へ少し戻った所にあるコンビニで昼食を買う。鏡ヶ成手前の地蔵峠の展望台から西を眺めると、大山東壁-矢筈ヶ山-甲ヶ山-勝田ヶ山の山稜が青空に浮かんでいた。大山の南に位置する鍵掛峠からは迫力ある南壁を見上げることができ、いつも多くの人がカメラを構えている。数台しか駐車していない大山寺橋駐車場に車をとめ、勇躍、歩き出す。


(大滝山地蔵院地蔵菩薩半跏像) (大滝山地蔵院六地蔵)
駐車場のすぐ隣にある夏道登山口の石段を登ると阿弥陀堂の横にでる。2合目付近で針葉樹林帯からブナ天然林に変わる。5合目くらいまでは、道はよく整備され、強い日差しの下でもブナの木陰を快適に歩ける。

 

(地蔵峠から大山東壁と甲ヶ山)  (鍵掛峠から大山南壁)    (大山寺橋から大山北壁)

 
 
 
 
 
 
 
 
 

   (大山夏道登山口)       (1合目周辺の針葉樹林帯)
5合目には「山の神さん」と呼ばれる祠がある。掲示板によれば、ここに以前遥拝所があり東の尾根から昇る日の出を拝んで登山の安全を祈願した場所だそうだ。この少し上に行者コースの分岐点がある。急な階段が続くので下山時に通るのが良いらしい。
 
 (4合目周辺のブナ天然林)    (5合目の祠「山の神さん」)
灌木帯に変わる6合目には避難小屋と休憩ベンチがあり絶景だ。東に大山北壁稜線から深くえぐれた元谷、南には大山寺集落、寂静山872m-豪円山892m-鍔抜山705m-鈑戸山515m-鍋山608m-孝霊山751m、日本海、美保関、隠岐島などが眼下に広がっている。

      (6合目広場)         (北壁稜線と元谷)       (日本海から隠岐島)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  (7合目付近の急登)       (登山道から元谷を覗く)
ここから頂上台地の9号目までが、灌木帯のため直射日光を遮る物もなく、つらい急勾配の登りだ。頂上台地は植物保護の木道が整備され、散歩気分で散策できるが濡れている時は要注意と思われる。殆どの花期は過ぎておりイワカガミだけが咲き残っていた。

  (9合目から山頂を望む)   (山頂付近から9合目を望む)     (大山頂上小屋)

 

 

 



 (山頂から三角点、剣ヶ峰)    (山頂から象山、蒜山)       (大山頂上表示)

 
 
 
 
 
 
 
 
 

   (ダイセンキャラボク)        (イワカガミ)            (石室)

 
 
 
 
 
 
 
 
 

   (行者道の丸太階段)       (大堰堤から北壁)     
頂上小屋のある弥山山頂は団体登山の学童達であふれかえっていた。三角点や剣ヶ峰への縦走は崩落の危険のため禁止されている。山頂からは雄大な展望が得られたが、日本海など遠方は少し霞んでいた。東南には蒜山が見えている。山頂では携帯は圏外だった。

 (自然石の大神山神社参道)     (大神山神社)            (大山寺)

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 帰りは5合目から行者道を通って下山した。元谷堰堤からは眼前に立ちはだかる北壁が雄大で、沢筋上部から絶え間なく落石の音が響いていた。大堰堤から本当は沢沿いに下るのだが間違って林道を下った。途中、大山寺の表示に従って下ると大神山神社参道にでる。この参道は日本一長い自然石の参道だそうだ。さらに下ると大山寺山門の横にでる。駐車場はもうすぐだ。
 きょうの大山登山は山開き(6月6日)前にもかかわらず、小5から高1までの100〜200人位の少なくとも5組の団体登山に出会った。皆、健康そうな顔をして元気に挨拶をかわしたのが気持ち良かった。大山は遠くから眺めるときの優美な山容、近くで見る崩壊が止まらない岩壁の荒々しさ、頂上付近のなだらかなダイセンキャラボク群落、などさすがに中国地方第一の名山であることを実感した。快晴の山歩きに満足し、明日の蒜山登山に備えて真賀温泉に向かった。

志賀直哉「暗夜行路」に大山の夜明けを描写した記述がある・・・・・・(以下に再録する)

不図、目を開いた時には何時か、四辺は青味勝ちの夜明けになっていた。星はまだ姿を隠さず、数だけが少なくなっていた。空が柔らかい青味を帯びていた。それを彼は慈愛を含んだ色だと云う風に感じた。山裾の霞は晴れ、麓の村々の電灯が、まばらに眺められた。米子の灯も見え、遠く夜見ヶ浜の突先にある境港の灯も見えた。或る時間を置いて、時々強く光るのは美保の関の灯台に違いなかった。湖のような中の海はこの山の陰になっているため未だ暗かったが、外海の方はもう海面に鼠色の光を持っていた。
明け方の風物の変化は非常に早かった。しばらくして、彼が振り返ってみた時には山頂の彼方から湧き上がるように橙色の曙光が昇って来た。それが見る見る濃くなり、やがて又褪せはじめると、四辺は急に明るくなって来た。萱は平地のものに較べ、短く、その所々に大きな山独活(やまうど)が立っていた。彼方にも此方にも、花をつけた山独活が一本ずつ、遠くの方まで所々に立っているのが見えた。その他、女郎花(おみなえし)、吾亦紅(われもこう)、菅草(かんぞう)、松虫草なども萱に混じって咲いていた。小鳥が啼きながら、投げた石のように弧を描いてその上を飛んで、又萱の中に潜り込んだ。
 中の海の彼方から海へ突き出した連山の頂きが色づくと、美保の関の白い灯台も陽を受け、はっきりと浮かび出した。間もなく、中の海の大根島にも陽が当たり、それが赤鱓を伏せたように平たく、大きく見えた。村々の電灯は消え、その代わりに白い烟が所々に見え始めた。然し麓の村は未だ山の陰で、遠い所より却って暗く、沈んでいた。謙作は不図、今見ている景色に、自分のいるこの大山がはっきりと影を映していることに気がついた。影の輪郭が中の海から陸に上がって来ると、米子の町が急に明るく見えだしたので初めて気付いたが、それは停止することなく、ちょうど地引網のように手繰られて来た。地を嘗めて過ぎる雲の影にも似ていた。中国一の高山で、輪郭に張切った強い線を持つこの山の影を、その儘、平地に眺められるのを稀有の事とし、それから謙作は或る感動を受けた。

★ルート断面図


 
 
 

 



★地  図

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

昭文社刊山と高原地図から転載

(参考地図)
・昭文社刊山と高原地図 大山・蒜山高原
・2万5千分の1地形図  伯耆大山

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