池塘の点在する湿地帯の木道を進むと分岐点があり、ここから時計回りの一方通行だ。この時期、湿地帯はエゾカンゾウの黄色い波頭とワタスゲの白い穂波が圧倒的だ。次に多いのがシナノキンバイ、ヒオウギアヤメ、ハクサンチドリが目についたが、ミズバショウは大きな葉っぱだけになっていた。木道合流点を過ぎて少し進み、湿地帯を抜けて緩やかに登ると左側に雨竜沼全体が見渡せる湿地帯展望台がある。展望台自体は崩落しかかっているので上がれない。登山道へ戻りダケカンバが点在する高原をなだらかに登る。道端湿地のサンカヨウは緑の実をつけている。7合目でやっと海抜1000メートル帯に入り、だんだん遠のく雨竜沼を振り返りながら進む。上から眺めると雨竜沼ほど広くないがあちこちに湿地が点在している。最後にちょっとした急坂を登りきると南暑寒岳だ。西北にはこれから登る暑寒別岳が優美な姿を見せている。
(左は南暑寒岳、右は暑寒別岳) (点在する池塘) (花盛りのエゾカンゾウ)
(木道は時計回りの一方通行)
(湿地終端からなだらかに登る) (湿地展望台からの眺め)
(ダケカンバ帯を抜ける) (笹原の道が続く) (登山道から湿原を俯瞰)
(南暑寒岳の稜線に出る)
(身近に迫る暑寒別岳)
(南暑寒別岳三角点)
山頂からフィックスロープの設置された急坂を下る。南暑寒岳と暑寒別岳間は登り返しは厳しいが花も多く展望も素敵な変化のある稜線だ。コル辺りでは残雪が遅くまで残っていたらしく、サンカヨウは白い花をつけ、薄紫の花をつけたシラネアオイが群落を作り、ミズバショウやザゼンソウさえ咲き残っていた。コルから急坂を登り、支尾根伝いにアップダウンしながら高度を上げ、左が切れ落ちた急坂を登ると山上のお花畑だ。今の時期は白いエゾノハクサンイチゲ、黄色いシナノキンバイの花絨毯だ。小高い岩の上の小空間が暑寒別岳だ。増毛からの登山者に聞くと稜線に出るまでは大量の虫に悩まされたそうだが、雨竜からのコースでは殆ど見かけなかった。南暑寒荘の管理人によれば今年は水不足の傾向があって雨竜沼の水位が低く虫の発生が抑えられているそうだ。お蔭で折角持っていった網付き帽子の出番はなかった。帰りも同じ経路で下山したが南暑寒岳の急坂がきつく、疲れた身体に鞭打って数十メートル毎に休みながらやっと越える事ができた。あとはなだらかな下りばかりなのでルンルン気分で下ったが、好天に恵まれ往路6時間半復路5時間の山旅だった。管理人に入山届のコピーを提出してえべおつ温泉へ向った。
暑寒別岳は今回の北海道シリーズの目玉の一つだ。湿地の草花が少し淋しかったが期待通りの山域だった。特に、溶岩台地上にそびえる南暑寒から暑寒別に至る稜線歩きがコースの変化、眺望、草花など素晴らしかった。
(第7日)
きょうは移動日なのでゆっくり宿を出発、旭川経由で午前中に白金温泉に到着した。富良野、美瑛などを散策し明日に備えて体力回復に努めた。