(残雪の山頂平原を行く)
(鍋倉山三角点) (ジグザグに疎林帯を下る)
朝方の山麓での霧雨がここでは雪だったらしく、薄化粧した疎林帯をジグザグに下ると長者原展望所だ。説明板によれば、その昔に木地師の長者が美束(みつか)に住んでいたので長者原と云うそうだ。眼前に貝月山、その左に虎子山(とらすやま)、国見岳、伊吹山と並んでいる。また木々の間から北方にヤブ山三山の蕎麦粒山(そむぎやま)、五蛇池山(ごじゃいけやま)、天狗山が望めた。タムシバの白が目に染みる道を下ると小さな石仏のある日坂越だ。ちょっと上り返して平坦な道を進むと美束分岐だ。直進するとすぐに車道に出て美束に下れるが、ルートは右折して和佐谷を下る。はるか下に谷底を望む山腹を下る見晴しのよいトラバース道だ。鍋倉山北側の和佐谷周辺の木々の芽吹きは南側の高橋谷のそれより遅く、アブラチャンやキブシが特徴のある花を枝先にぶら下げていた。小さなベンチの置かれている和佐谷との合流点で左岸に渡り、しばらく下ると林道始点だ。和佐谷に沿って下ると途中から舗装路に変わり、県道出合だ。ここから8キロ弱の車道歩きだ。スポーツサイクルで汗を流している数人の若者を眺めつつバス時刻の調整のため休憩していると2人組の女性に話しかけられた。谷汲方面から下辻峠を越えて宿泊地の東津汲に早く着き過ぎたので日坂を往復されている様子だ。埼玉の方で、何回かに分けて今年中に箕面まで完歩の計画だそうだ。そのファイトに完全脱帽だ。途中の夫婦滝を眺めたりしながらぶらぶら歩き、トンネル手前で久瀬ダムへの道を分けて南下し、久瀬橋で揖斐川を渡ると東津汲だ。時刻通りに来たバスで揖斐駅を経て帰阪した。
渓谷美の高橋谷、ブナやミズナラの森の鍋倉山、白砂の和佐谷、など変化に富んだルートだ。鍋倉山周辺は鈴鹿山系の永源寺や多賀界隈と山相がよく似ているとの印象を持ったが、木地師たちが同じような場で生活していたせいかもしれない。
(長者平展望所から貝月山) (展望所から伊吹山)
(下り道からヤブ山三山)