東海自然歩道 26(六合〜東津汲)鍋倉山(1049.9m)


★ひとこと   「六合から東津汲へ鍋倉山を越える渓谷美の道」

揖斐川の久瀬ダム

★行った日   2010年4月14日(水)  曇時々晴風強し   単独
 
★コース

JR高槻駅5:45(JR)=8:01大垣駅8:25(養老鉄道)=8:49揖斐駅8:52(コミュニティーバス)→9春日モリモリ村バス9:19→高橋谷入口9:30→上ヶ流分岐10:14→谷山廃村10:51→10:57谷山峠分岐11:07→稜線出合11:43→12:54南峰・避難小屋13:06→(1049.9m)鍋倉山13:15→日坂越13:40→美束分岐14:03→林道始点14:25→県道出合14:25→15:06休憩15:22→夫婦滝15:50→16:35東津汲バス停17:12(コミュニティーバス)=17:45揖斐駅17:52(養老鉄道)=18:21JR大垣駅18:35(JR)=JR高槻20:26

 日帰り東海自然歩道26回目は、六合の春日モリモリ村から高橋谷を北上、鍋倉山を経て日坂経由東津汲(ひがしつくみ)へ下るルートだ。春日モリモリ村へ向かうバス便の都合で、まだ新快速のない早朝の出発だ。天気予報は曇時々晴だったが揖斐駅に着くと霧雨だ。粕川に沿って進むバスの車窓には霧雨の強風が吹きつけ山々の頂は雲の中だ。モリモリ村に到着して雨の準備をしていると急に日が射し始めたので安心して出発だ。
 高橋谷橋を渡って道標通りに林道に入る。砂で埋もれてしまった砂防ダムの横を通り、高橋谷の清流に沿って進む。やがて右の上ヶ流(かみがれ)から来た広い林道に合流して北上する。逆に、谷山廃村の方から下ってきた時には、橋を渡らずに右の細い林道に入るよう注意すべきだ。途中道路崩壊で車は通れない個所を経て、しばらく谷沿いに北上すると、出発して約1時間半で谷山廃村だ。説明板によれば、12世紀に滋賀県の君ヶ畑から移住し、木地師をもって生業としてきたが、昭和34年の伊勢湾台風で打撃を受け昭和41年に廃村となった。今は閉じられた数戸の家屋とともに付近のワサビ田も荒廃したままだ。舗装路もここで終点となり荒れ果てた林道が続いている。しばらく自然に返った石積みの杉林となった段々畑が目につく沢沿いの道を進む。石畳もある道の下の沢に沿って、かつてワサビ田だった湿地帯が広がっているが、今は所々でザゼンソウの葉っぱが青々と茂っていた。しばらく進むと谷山峠を経て外津汲(とづくみ)へ向かう荒れた沢道が右へ分岐している。林道跡はここまで、この沢を渡ってブナやトチなどの広葉樹林帯に山道が伸びている。この付近の斜面にはカタクリの葉っぱが目立ち、所々で閉じた残り花が散見された。稜線出合付近を過ぎると、木々の間から東に次回に通る妙法ヶ岳、南に前回に通った池田山を眺めつつなだらかな広い稜線を登る。残雪の散見される疎林帯を強風に吹きすさぶ音を聞きながら進むと南峰の避難小屋だ。フキノトウがびっしり群生している小屋前の広場からは周りの樹木が邪魔をしてあまり視界はよくなく、寒い風が吹き荒れているので小屋で昼食だ。内部は板敷きで清潔な綺麗な小屋だ。南峰から笹原林床のブナ、ミズナラなどの疎林帯をちょっと北上すると道端に鍋倉山三角点がある。展望は全くない。

(粕川と高橋谷合流点の休憩所)    (正面の高橋谷に入る)  (谷沿いの林道をさかのぼる)

  (高橋谷の清流沿いに進む)  (谷山廃村で舗装路は終点)   (荒れた林道跡を進む)

    (谷川に沿って歩く)     (自然に返った段々畑の石垣) (沢に沿って直進すると谷山峠)


 (沢から離れて山腹を登る)     (トラバース道を行く)        (稜線出合付近)

 (雑木林をなだらかに登る)      (丸太階段を行く)       (南峰の避難小屋広場)

                    (稜線から東方を望む)

  (残雪の山頂平原を行く)       (鍋倉山三角点)      (ジグザグに疎林帯を下る)

 朝方の山麓での霧雨がここでは雪だったらしく、薄化粧した疎林帯をジグザグに下ると長者原展望所だ。説明板によれば、その昔に木地師の長者が美束(みつか)に住んでいたので長者原と云うそうだ。眼前に貝月山、その左に虎子山(とらすやま)、国見岳、伊吹山と並んでいる。また木々の間から北方にヤブ山三山の蕎麦粒山(そむぎやま)、五蛇池山(ごじゃいけやま)、天狗山が望めた。タムシバの白が目に染みる道を下ると小さな石仏のある日坂越だ。ちょっと上り返して平坦な道を進むと美束分岐だ。直進するとすぐに車道に出て美束に下れるが、ルートは右折して和佐谷を下る。はるか下に谷底を望む山腹を下る見晴しのよいトラバース道だ。鍋倉山北側の和佐谷周辺の木々の芽吹きは南側の高橋谷のそれより遅く、アブラチャンやキブシが特徴のある花を枝先にぶら下げていた。小さなベンチの置かれている和佐谷との合流点で左岸に渡り、しばらく下ると林道始点だ。和佐谷に沿って下ると途中から舗装路に変わり、県道出合だ。ここから8キロ弱の車道歩きだ。スポーツサイクルで汗を流している数人の若者を眺めつつバス時刻の調整のため休憩していると2人組の女性に話しかけられた。谷汲方面から下辻峠を越えて宿泊地の東津汲に早く着き過ぎたので日坂を往復されている様子だ。埼玉の方で、何回かに分けて今年中に箕面まで完歩の計画だそうだ。そのファイトに完全脱帽だ。途中の夫婦滝を眺めたりしながらぶらぶら歩き、トンネル手前で久瀬ダムへの道を分けて南下し、久瀬橋で揖斐川を渡ると東津汲だ。時刻通りに来たバスで揖斐駅を経て帰阪した。
 渓谷美の高橋谷、ブナやミズナラの森の鍋倉山、白砂の和佐谷、など変化に富んだルートだ。鍋倉山周辺は鈴鹿山系の永源寺や多賀界隈と山相がよく似ているとの印象を持ったが、木地師たちが同じような場で生活していたせいかもしれない。

 (長者平展望所から貝月山)    (展望所から伊吹山)      (下り道からヤブ山三山)

        (日坂越)          (気持ちのよい稜線の道)        (美束分岐)

 (和佐谷のはるか上方を下る)      (林道始点付近)       (和佐谷に沿って下る)

       (県道出合)         (舗装道路歩きが始まる)        (夫婦滝)

    (夫婦滝休憩所)           (久瀬ダム分岐)       (東津汲の久瀬橋を渡る)


★道で出会った花

     シャガ(高橋谷)        カキドオシ(高橋谷)        ナズナ(高橋谷)

  ムラサキケマン(高橋谷)    ナガバモミジイチゴ(高橋谷)    ヤマブキ(高橋谷)

   ネコノメソウ(高橋谷)      タチツボスミレ(高橋谷)       ミツマタ(高橋谷)

     ツバキ(高橋谷)      ボタンネコノメソウ(高橋谷)       ウメ(高橋谷)

    カンスゲ(高橋谷)        エドヒガン?(高橋谷)     ミヤマカタバミ(高橋谷)

   エンレイソウ(高橋谷)       カタクリ(鍋倉山)         ミヤマシキミ(鍋倉山)

    タムシバ(鍋倉山)       アブラチャン(和佐谷)       ユリワサビ(和佐谷)

  ショウジョウバカマ(和佐谷)     キブシ(和佐谷)          キケマン(日坂)

       ?(日坂)            キランソウ(日坂)       ヒメオドリコソウ(日坂)

★ルート断面図

★地  図
(2)鍋倉山〜東津汲

(1)六合〜鍋倉山

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)


(参考地図)
・2万5千分の1地形図  美束、横山、谷汲

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