笊ヶ岳(2629.0m)


★ひとこと   「椹島から南アルプス東側にある南ア展望台の双耳峰へ」

山伏直下の雨畑林道から笊ヶ岳(右の双耳峰)を望む
                                     2009年10月12日撮影

★行った日   2011年7月24日(日)  曇一時晴   単独
          2011年7月25日(月)  曇一時晴   単独
          2011年7月26日(火)  曇一時雨   単独
 
★コース

(7月24日)
高槻5:40(名神、新名神、東名阪道、伊勢湾岸道、東名)=静岡IC9:15(R362、県道77、県道388、県道60)=11:35畑薙第1ダム手前駐車場→ダム堰堤バス停12:00(マイクロバス)=椹島ロッジ13:00
(7月25日)
椹島ロッジ4:31→笊ヶ岳登山口4:45→鉄塔5:13→6:53尾根合流点7:04→道標7:42→二本沢8:29→9:06休憩9:18→枯れ沢9:54→11:12稜線出合11:17→11:57(2629.0m)笊ヶ岳12:20→稜線出合12:42→13:20枯れ沢13:28→二本沢14:21→14:39水場14:48→道標15:07→15:31尾根合流点15:39→鉄塔16:30→笊ヶ岳登山口16:46→椹島ロッジ17:02
(7月26日)
椹島ロッジ8:00(マイクロバス)=ダム堰堤バス停9:00→畑薙第1ダム手前駐車場(県道60、県道77、R362)=山犬段分岐(R362、R473、R1)=袋井IC(東名、伊勢湾岸道、東名阪、新名神、名神)=高槻

(7月24日)
 計画では椹島(さわらじま)に連泊して笊ヶ岳(ざるがだけ)に登り、翌日から悪沢岳(わるさわだけ)-赤石岳(あかいしだけ)-聖岳(ひじりだけ)と周回して椹島へ下山の予定だった。しかし、今年は小笠原高気圧の鯨の尻尾が安定せず、週内はぐずついた天気が続くとのことで、以前に同じコースを歩いているので今回は笊ヶ岳だけして南ア周回は下山後中止した。椹島から笊ヶ岳は、単純標高差で1500メートル、累積で2000メートル以上なので体力確認のため7月に入って数回長距離の山歩きをしてから実行に移した。
 ほぼ1週間の山行なので重いリュック(といっても水を含め16キロ)を積んでゆっくり出発だ。久しぶりの走り易い伊勢湾岸道経由で静岡ICへ、本当は相良牧の原ICから太井川に沿って北上したほうが良かったが、ナビ設定にまかすと走り難い富士見峠をへて千頭(せんず)へでて太井川に沿って進み6時間かかって畑薙(はたなぎ)第1ダム駐車場到着だ。途中の長島ダムや井川ダムは台風6号の影響で流木の浮かんだ泥の海だ。畑薙第1ダム駐車場からは道路地盤崩落のため徒歩で堰堤に向かい東海フォレストのバスに乗車した。台風6号の傷跡があちこちに残り、沢筋の土砂崩落などのため数日前からバスが運行したばかりだそうだ。茶色に濁ったダムを過ぎ、赤石発電所放水口まで来ると透き通った藍色の流れになってきた。明日に備えてきょうはゆっくり椹島で休憩だ。同室の埼玉から来られたベテランらしい単独行の方はあす暗い内に同じ笊ヶ岳へ出発の予定だ。一緒に登らなくても同じ山に人がいるだけで心強いものだ。
(7月25日)
 昨日コンビニで買ってきた助六を部屋で食べ、薄明るくなってから椹島ロッジを出発だ。オヤジに出会わないように鈴をじゃらじゃら鳴らしながら、千枚登山口を左に見て滝見橋を渡り、右手の笊ヶ岳登山口から中電の巡視路マークに従って登り始めた。岩角道を過ぎるとプラ階段が現れ、歩き易い巡視路を登ると鉄塔だ。この辺りから明るくなり、やっと撮影可能になり始めた。登山口から標高差約700メートルの急坂の雑木林尾根が続く。前途は長いので外界の見えない樹林をゆっくり休み休み登り、登山口から2時間余かかってやっと尾根合流点だ。ボクの標準スピードは300メートル1時間なので丁度だ。ここから稜線の方向が東南から東北に変わり、岩がごろごろあるがしっかりした踏み跡のあるなだらかな尾根を進むと羊歯の茂る平地が現れ、鞍部に立派な道標が建っている。尾根を少し進むと山腹を行くトラバース道となり最初の小沢を渡る。トラバース道全体としてはやや上り道で大きな標高差はないが、枝尾根を高巻いたり、岩稜を避けたりと結構アップダウンの激しい道だ。樹間から西南に大無間山(だいむげんさん)や、東南に笊ヶ岳の肩が望め、二番目の沢は水場に好適だ。地形図にある川筋が勝手に名付けた二本沢で、渡ったすぐ下で2本の沢が合流している。

   (濁った畑薙第1ダム)     (発電所放水路の綺麗な水)      (椹島ロッジ)

  (鉄塔から撮影可能になる)    (ヤセ尾根を進む)      (連続した急坂の尾根を登る)

    (やっと尾根合流点)    (樹林帯尾根をなだらかに上る)  (鞍部の平地に建つ道標)

    (トラバース道に入る)      (最初の沢を横切る)       (枝尾根を高巻く)

   (沢が次々現れる)      (桟道もあるアップダウンの道)   (樹間から見える大無間山)

  (水場に適した沢もある)      (端正な笊ヶ岳の肩)     (二本沢(勝手な名前)を通る)

 二本沢を渡るとすぐに沢沿いに急坂を上り、岩稜を越えたり沢を渡ったり、計7〜8本の沢を過ぎて樹林を抜けるとトラバース道も終わり、枯れ沢右岸の草地に出る。偃松尾山(はいまつおやま)から流れ下る大ガレの枯れ沢を左岸の白い踏み跡めざして横断し、テン場に適した左岸の草地からシラビソの樹林に入る。樹林を過ぎて草地の枯れ沢筋をしばらくなだらかに上り、表示に従って右岸の樹林帯に入って美しいシラビソ林を谷に沿って登る。ここで下山中の同室の単独行とすれ違い挨拶を交わすがきょう椹島から笊ヶ岳へ登ったのは2人だけのようだ。表示通りに方向を変えて急坂をジグザグに登ると縦走路の通る稜線出合だ。山梨県側から流れてくるガスに霞む稜線をダケカンバの目立つハイマツをかき分けながら、最後の力をふりしぼって登ると笊ヶ岳山頂の小広場だ。期待した南アルプスの大景観はガスのため駄目、双耳峰のもう一方の小笊(こざる)もあたりは真っ白なので省略だ。いつの日にかリベンジを期して下山を開始、稜線出合手前の展望稜線で少しガスが晴れ、縦走路の次のピークの偃松尾山や生木割山(なまきわりやま?)が見え、雲の中に薄く荒川東岳が姿を現したのが唯一の南アの雄峰だった。 

   (トラバース道が終わる)       (枯れ沢の草地)      (対岸の踏み跡めざして渡る)

  (生木割山から続く枯れ沢)  (シラビソ林をなだらかに進む)     (枯れ沢筋を登る)

  (表示通りに樹林帯に入る) (シラビソの間をジグザグに登る)  (縦走路の通る稜線出合)


   (ガスった稜線を登る)   (ダケカンバやハイマツが現れる) (何も見えない笊ヶ岳頂上)

     (稜線を下る)       (稜線展望地から生木割山) (展望地から荒川東岳(雲の中))

 稜線出合から椹島5時間の表示を眺めながら往路通りに下り、枯れ沢から笊ヶ岳の肩を振り返りつつトラバース道に入った。水場で休憩を入れながら歩き難いトラバース道を抜け、羊歯の原っぱを過ぎ、山頂から3時間余かかってやっと尾根合流点だ。ここから膝をガクガクいわせながら長い長い1時間の急坂下りで鉄塔だ。ポツリときた夕立を心配しながら予定通りに17時にロッジに帰りついた。何とか夕食にありつけたが、17時半を過ぎると駄目なので要注意だ。九州から飛行機でやってきたベテランの単独行も同室となり、あすから天候が思わしくないが雨も関係なく南ア周回だそうだ。笊ヶ岳の大展望を逃してがっかりしている雨嫌いの軟弱な僕は、あすからの悪沢-赤石-聖を中止することにした。
(7月26日)
 まっすぐに帰るのもシャクなので山犬段(やまいぬだん)から高塚山(たかつかやま)に寄ろうと千頭からR362を島田方面へ向かった。折から黒雲がわき立ち驟雨の中、高塚山へ登れなくても山犬段まで行こうとR362の上長尾から南赤石林道に入ったが大札山(おおふだやま)登山口から先が崩落通行止めの表示だ。台風6号の集中豪雨であちこちの林道に被害が出ているようだ。こころざし半ばの中途退却だが、主目標の笊ヶ岳に登れたのでそこそこの達成感を得て、仕方なく寄り道をあきらめ袋井ICから帰阪した。
 笊ヶ岳は12時間半を要したしんどい山だ。特に尾根合流点まで視界のない急坂の樹林帯登りが大変だ。ここからはなだらかになり、変化のあるトラバース道や所々で展望の開けるオオシラビソの林、高山帯のダケカンバやハイマツの稜線道がよかった。何といっても山頂からの南アルプスの大展望がこの山の売りだが、今回は残念ながら願いは叶えられなかった。今までのしんどい山のビッグスリーは、いずれも日帰りの乗鞍岳毛勝山とここだ。

    (稜線出合まで戻る)   (枯れ沢から笊ヶ岳を振り返る)       (二本沢を渡る)

 (大木樹林でトラバース道終了)(道標のある鞍部は羊歯茂る平地) (尾根合流点から激下り)

    (やっとヤセ尾根)         (鉄塔の下を通る)       (巡視路プラ階段を下る)

     (岩角道を下る)          (笊ヶ岳登山口)      (滝見橋の先の右が登山口)

     (滝見橋を渡る)        (右には千枚登山口)    (赤石ダム付近から笊ヶ岳(右))

★道で出会った花(特になし)

    シナノナデシコ(椹島)     ヒヨドリバナ(トラバース)     クルマユリ(トラバース)

   ウスユキソウ(トラバース)    キンレイカ(トラバース)     ホタルブクロ(枯れ沢)

   タカネビランジ(枯れ沢)     オトギリソウ(枯れ沢)      イチヤクソウ(枯れ沢)

   ゴゼンタチバナ(枯れ沢)   ミヤマバイケイソウ(枯れ沢)    シモツケ(トラバース)

  バイカウツギ?(トラバース)   シャクナゲ(トラバース)     オオマツヨイグサ(椹島)

★ルート断面図


★地  図
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図  赤石岳、新倉(あらくら)

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