猫又山(2378.0)大猫山(2070m)


★ひとこと   「ブナクラ谷堰堤から剱展望の大猫山を経て猫又山へ」

猫又山へ向かう東芦見尾根

★行った日   2011年9月27日(火)  晴後曇   単独
 
★コース

馬場島4:28→ゲート4:34→堰堤登山口5:08→6:31P1400 6:37→P1550 7:11→8:22展望尾根8:30→大猫平8:40→9:26展望尾根9:34→9:57(2070m)大猫山10:08→三角点10:46→10:58小猫11:06→稜線分岐12:14→12:28(2378.0m)猫又山12:44→稜線分岐12:52→14:23ブナクラ峠14:28→渡渉15:12→戸倉谷渡渉15:25→大ブナクラ谷渡渉16:25→小ブナクラ谷渡渉16:30→堰堤登山口16:37→ゲート17:04→馬場島17:11

 きょうはネコづくしだ。ブナクラ谷堰堤を起点に東芦見(ひがしあしみ)尾根の大猫山(おおねこやま)、小猫(こねこ)から猫又山(ねこまたやま)を経てブナクラ峠経由堰堤へ周回の計画だ。堰堤からの最初の上りがきついが、朝の空気が透明なうちに東芦見尾根稜線から剱岳岩峰を存分に眺めたかったので右回りにした。堰堤まで車が入れず1時間以上余分にかかるので真っ暗な中をヘッドランプを点けて出発だ。
 今朝は晴天でちょうど新月、ヘッデンを消すと鋭く輝く星空に吸い込まれそうだ。馬場島(ばんばじま)で直進の早月(はやつき)尾根方面を見送り、林道を左折して進むとすぐに鍵のかかっている車止めゲートだ。所々地道だが舗装林道を道なりに進み、白萩川を渡って林道分岐点を直進すると、馬場島荘から約40分でブナクラ谷堰堤広場だ。表示はないが広場左側の赤リボンが登山口目印、正面堰堤の左隅の急な小径が帰りのブナクラ峠からの道だ。すぐに急坂が続き、暗い尾根に幽霊のような立山杉が林立する枝尾根をぜーぜー云いながら休み休み登る。薄明るくなり始めた5時半頃にヘッデンを消し、曲りくねった立山杉を見る余裕もできて頑張って登る。P1400付近のピークから影絵のような剱岳や朝日に映え始めた大日岳が樹間から望めた。木の間から昨日登った中山を足下に眺めつつ急坂を登り、P1550の小突起を越え、4、5メートルの一枚岩をトラロープの助けを借りて慎重に下る。鞍部を過ぎてしばらく登り続け、樹林帯を抜けると展望尾根だ。西の遥か彼方に白山、すぐ近くに剱岳から大日岳の山稜が連なっている。好展望の小木帯をなだらかに登ると池塘の散在する笹原の大猫平(おおねこたいら)だ。池塘に映る剱岳の岩峰を眺めながら気持ちの良い笹原漫歩だ。

 (馬場島で池ノ谷方面へ左折) (林道ゲートで一般車通行止め)(白萩川を渡り右折せず直進)

(堰堤広場左の赤リボンが入口)   (急な尾根道を登る)     (P1400の樹間から大日岳)

 (見事な立山杉の急坂を登る)   (木の根を掴んでよじ登る)        (P1550)

(トラロープを頼りに一枚岩を下る)(樹林帯を抜けると展望尾根)  (展望尾根から白山)

  (展望尾根から大日岳)       (小木帯を進む)      (見晴し尾根から赤谷山と剱岳)

 (大猫平の草原を大猫山へ)    (大猫平の池塘と剱岳)     (大猫山へ草原を行く)

 大き目の池の畔の鞍部から大猫山への上りだ。振り返ると緑の大猫平の向こうに大日岳が日の光に映えていた。ダケカンバ林の傍らの急な笹原を登って振り返ると、赤谷山〜剱岳〜大日岳が屏風のように連なり、遥か彼方に白山まで望めた。そのすぐ先の東芦見尾根上の小突起が大猫山だ。山頂からは釜谷山(かまたにやま)やこれから向かう猫又山が初めて望めた。山頂のちょっと西に三角点がある筈だが、尾根には密な笹薮と小木が繁茂していた。標点探訪は止めて、山頂からなだらかな東芦見尾根の笹原草原を猫又山を正面に眺めながら小猫へ向かった。人っ子一人いない絶景を眺めながらの静かな稜線散歩道だ。大猫山から1キロほど稜線を行くと小猫?三角点が道端にあり、この先のピークが小猫?だ。北方には猫又谷を隔てて間近に猫又山がそびえ、南方にはガスがかかり始めた剱岳などの岩峰のオンパレードだ。東方にはブナクラ峠の彼方に五竜岳や鹿島槍ヶ岳などの後立山連峰が望め、足元ではチングルマの綿毛がそよぐ草原に草紅葉が始まりかけていた。小猫からピークを過ぎてハイマツ帯の急坂を登り、草原をトラバースするとブナクラ峠からきた道と合流し、あとひと登りで猫又山頂上だ。頂上は岩峰の上に開けたハイマツに囲まれた好展望の小広場だ。

 (ブナクラ峠の彼方の五竜岳)(ダケカンバの傍を大猫山へ登る)   (大猫平を振り返る)

             (大猫山手前の展望尾根から剱岳方面を望む)

    (大猫山頂上)       (東芦見尾根の草原を行く)  (猫又山がだんだん大きくなる)

            (大猫山頂上から釜谷山〜剱岳〜大日岳を望む)

 (東芦見尾根を振り返る)        (小猫?三角点)          (小猫頂上)

   (小猫付近から猫又山)      (始まりかけた草紅葉)      (稜線から赤谷山)

   (草原をトラバース)     (ブナクラ峠からの道との出合)    (猫又山頂上)


 お隣の釜谷山はすぐ傍に控えているが稜線には道はなく、ネット情報によればハイマツ帯の東側草つきを藪コギすると登れるそうだ。よほどの健脚以外は釜谷山へはテント泊が必要だ。山頂の東下広場が後立山連峰や釜谷山から毛勝山(けかちやま)へ続く山並みの素晴らしい展望台だ。存分に絶景を楽しんでから、先程の合流点まで戻りカール状のタテヤマリンドウの群生地でもある岩ゴロ斜面を下った。このあたりからガスがかかり始め、真っ赤な実をつけたナナカマドやムシカリの茂る紅葉の始まった稜線を下る。踏み跡は薄いがはっきりした稜線なので道を外すことはない。しばらく背丈位の笹薮コギが続くが、地面には踏み跡が残っているので注意深く下れば問題ない。下りは体重をかければよいが上りはちょっとしんどそうだ。ガスって景色もままならず、山頂から1時間半ほど黙々と下ると石仏のあるブナクラ峠だ。直進は赤谷山(あかたんやま)だが表示に従って右へ下る。しばらく岩塊原が続き、飛び石伝いに下ってから小木帯の道に入る。しばらく下ると、上りに最後の水場と思われる沢筋を渡渉、続いて戸倉谷を渡渉する。増水時は難儀しそうな所だ。その後、しばらく小さな沢筋を下るので多少濡れても良いようにスパッツをしっかりつけた方がよい。だいぶ下ってから立山杉の大木の所を直進せず山側に巻いて下り、大、小ブナクラ谷を渡渉すると発電所用取水場所の堰堤だ。右岸側の急坂をロープを頼りに下ると堰堤前広場だ。ブナクラ峠から堰堤までのブナクラ谷右岸沿いの2時間は、まだかまだかの下り道だった。約30分の林道歩きで馬場島荘へ帰り着いた。翌日、赤谷山を計画していたが馬場島から堰堤までの歩きとブナクラ峠までの谷筋歩きが鬱陶しく、また、きょう剱岳岩峰をじっくり眺めることができたので計画を変更し、帰途、石川・富山県境の医王山(いおうぜん)に行くことにした。
 大猫平から東芦見尾根を経て大猫山へ至る剱岳を眺めつつ歩く稜線は非常に素晴らしい。きょうは同宿の3人パーティーが僕と逆方向に周回したのとブナクラ峠でテン泊の単独行と会っただけの静かな山行だった。堰堤から大猫平までの急な枝尾根、ブナクラ峠から猫又山への藪コギなど、難儀な所もある長距離ルートだが、庭園のような静かな稜線歩きと山頂からの展望は今まで行った山域の中で最高ランクだ。毛勝三山は毛勝山、釜谷山、猫又山だが、いずれも山深く静かに山を楽しむ絶好の山々だ。

                 (猫又山から後立山連峰を望む)

   (釜谷山(左)と毛勝山(右))  (ブナクラ峠へ向かって下る)    (カール状地形を下る)

(群生しているタテヤマリンドウ)  (紅葉の始まった稜線を下る)  (ガスってきた稜線を下る)

   (笹薮をコイで進む)     (強風のガスった稜線を下る)   (石仏のあるブナクラ峠)

 (岩塊原を飛び石伝いに下る)   (歩き難い沢筋を下る)    (最後の水場の沢を渡る)

  (沢筋を水に浸かって下る)    (立山杉を山側へ巻く)    (堰堤右岸斜面をロープで下る)

★道で出会った花(前日の中山にまとめて記載)

★ルート断面図


★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       剣・立山
・2万5千分の1地形図  剱岳、毛勝山

Homeへ