★コース
大町5:37(県道306、林道)=白沢登山口駐車場6:00→白沢登山口6:12→紅葉の滝6:52→魚止めの滝7:17→7:50最終水場7:55→8:44休憩8:48→9:31休憩9:39→10:14大凪山表示10:21→P2235
11:27→12:48草地休憩13:12→餓鬼岳小屋13:39→(2647.2m)餓鬼岳→南へ稜線散歩→餓鬼岳小屋
餓鬼岳(がきだけ)は燕岳(つばくろだけ)北方に位置し、深い東沢乗越で裏銀座とも切り離されているため独立峰的な山だ。そのせいか、展望のよい山にもかかわらず、北アルプスの殆んどの山々に登ってから最後のほうで登る人が多い。燕岳または中房(なかぶさ)温泉から東沢乗越を通る道と、白沢(しろさわ)からの2ルートがある。両者とも距離、標高差とも大きく、難路だが後者の方がましなのでこちらから登ることにした。大町の山麓線から「アルプスあづみの公園」まで立派な2車線道路を進み、1車線となった林道でモトクロス場の前を過ぎてしばらく進むと登山口駐車場だ。5、6台位駐車できるスペースが3ヶ所あるが、一番遠いところに1台分空いていたので駐車して出発だ。
仮設トイレのある餓鬼岳登山口の林道分岐点を表示通りに進む。朝早くから植林帯の下草刈りのエンジン音を響かせている細い地道林道を10分位進むと白沢登山口、ここから登山道だ。早速、白沢の左岸から右岸へ架橋を渡って、河原へ下りたりしながら白沢沿いに進む。徐々に道は険しくなり、古びた桟道をこわごわ渡ったりしながら進むと、対岸の色づき始めた木々の間に垣間見えるのが紅葉の滝だ。足元の桟道が不安定なので早々に通り抜け、何回か沢を架橋で渡り、小さな枝尾根を梯子で越えたりしながら沢をつめる。やがて正面の一枚岩を膜状に滑り落ちる魚止めの滝が現れ、右岸側の急斜面を巻いて上流に出て、狭くなってきた白沢を桟道、梯子などを渡って進むと最終水場だ。登山口からここまで渓谷美を探勝する2時間コースだが、不安定な所が多いので下りでも時間を見ておく必要がある(翌日の下りに1時間半かかった)。ここから標高差500メートルの大凪山(おおなぎやま)までが急登の核心部だ。いよいよ白沢を離れて急登開始だ。地形図の点線はそのまま白沢を遡行し稜線に達してから大凪山に向かっているが登山道が付け替えられたようだ。急な樹林帯をジグザグに石ころ道を登り、次に落石注意の表示のある急な枯れ沢のガレ場を登るが、この辺りがこのルートの一番しんどい坂だ。しばしば振り返って樹間から安曇野(あづみの)を眺めながらの小休止だ。やがて笹原の樹林帯稜線に達すると、最終水場から2時間もかかってやっと大凪山だ。僕は足腰は強い方だが加齢による心肺機能の低下は如何ともし難く、デジカメ撮影を言い訳にして、ゆっくりゆっくりをモットーに動いていれば何時かは着くと思いながら登っている。
(林道餓鬼岳登山口) (白沢登山口)
(早速、白沢の左岸から右岸へ)
(沢の河原歩きもある) (小沢を横切る登山者)
(紅葉の滝前の桟道)
(垣間見える紅葉の滝) (何度も沢を渡る)
(縁を上り下りして沢をつめる)
(魚止めの滝) (滝の右岸を巻いてさらに進む) (最終水場)
(白沢から別れて樹林帯を登る)
(急坂のガレ場が始まる)
(落石注意のガレ場を登る)
(樹林帯に入る)
(大凪山表示) (笹原林床シラビソ尾根を行く)
笹原林床のシラビソやコメツガの美しい尾根道を進む。北方の樹間から立山や剱、針の木もちらちら見え、紅葉の始まった笹原の疎林帯を日を浴びながらほぼ水平な道をぶらぶら歩きだ。大凪山を一旦下って、針葉樹林帯の尾根をなだらかに登り続け、北方に鹿島槍ヶ岳が樹間に姿を現すとP2235だ。ダケカンバも現れた稜線をしばらく進み、南側が切れ落ちた崖上を過ぎると笹原にダケカンバが群生している百曲りの始まりだ。なだらかな九十九折の道からダケカンバ越しに、大凪山から続く、今しがたたどってきた稜線や眼下に広がっている安曇野が望める。早く小屋に着いても仕方がないので、百曲り上部の道端の草地で気持ちのいい大休止だ。英気を養ってからひと登りすると餓鬼岳小屋だ。早速、宿泊手続きだが、晴れの三連休の初日とあって大混雑、大勢の泊り客に対して2人の従業員が忙しそうだ。小屋でもらった「餓鬼岳小屋シンボル(よくきた)」はなかなかユーモラスだ。缶ビール休憩後、裏山の餓鬼岳へ散歩だ。山頂は、きょうは少し靄っていて槍ヶ岳がようよう見える程度だが、さながら北アルプスの展望台だ(画像は翌日の唐沢岳参照)。西北には尖がり帽子の唐沢岳、西南にはぎざぎざのケンズリが特徴ある姿を見せていた。山頂ではハイマツと岩石の間に入り込んで風を避けながらの日光浴でうとうとと夢心地だ。山頂を下ってテント場を過ぎてちょっと稜線を南下、燕岳から縦走してきた汗だくの登山者に会う。ケンズリの登山道は大きく西側を巻くため東沢乗越などアップダウンが激しくしんどいコースだそうだ。人の少ない静かな餓鬼岳を想像していたが、小屋全体で70人、食堂兼用の広間だけで44人の賑やかさだ。布団1枚に2人、今年の天候不順の夏山シーズンを10月に入って取り返しているようだ。夜中に外へ出てみたが、安曇野の明かりは美しかったが月齢10日の月明かりのため大きな星々しか見えなかった。
秘境を期待して餓鬼岳を訪れたが殆んど登山者の切れ目のない賑わいだ。桟道や架橋の整備された渓谷美の白沢探勝、ガレ場の枯れ沢の急坂登り、コメツガやダケカンバの稜線歩き、など変化のある山歩きの末に山頂から北アルプスの絶景が望める。
(樹間の立山、剱、針の木) (紅葉の始まった尾根を行く) (快適な日陰の樹林帯を行く)
(なだらか道の百曲りの始まり)(笹原ダケカンバ九十九折の道) (眼下に広がる安曇野)
(バテバテでやっと小屋到着) (餓鬼岳へハイマツ帯を行く) (餓鬼岳山頂)
(餓鬼岳から安曇野を望む)
(山頂から唐沢岳)
(餓鬼岳小屋) (山頂からケンズリ)
シラヒゲソウ(白沢) アキノキリンソウ(白沢) ゴゼンタチバナ(大凪山)
風にそよぐチングルマ(百曲り) コケモモ(餓鬼岳) オトコエシ?(白沢)