至仏山(2228.1m)


★ひとこと   「鳩待峠から山の鼻を経てエビの尻尾成長する山頂へ」

寒風吹きすさぶ至仏山頂上

★行った日   2011年10月26日(水)  雪 風強し  単独
 
★コース

尾瀬戸倉温泉5:51(県道63、県道260)=6:11鳩待峠6:19→山の鼻7:15→8:50休憩9:00→10:19(2228.1m)至仏山10:30→(2162m)小至仏山11:09→笠ヶ岳分岐11:32→鳩待峠12:32(県道260、県道63)=尾瀬戸倉温泉13:00

 きょうは燧ヶ岳(ひうちがだけ)とともに尾瀬ヶ原を代表する至仏山(しぶつさん)だ。好展望とともに蛇紋岩特有の高山植物が多く見られる至仏山は、植生保護のため山の鼻からは上り一方通行だ。そのため、鳩待峠(はとまちとうげ)を起点に至仏山を反時計方向に周回し、悪天候のため行けなかったが、途中から笠ヶ岳をピストンする計画だ。先週くらいから鳩待峠まで車が入れるようになったので、早朝に尾瀬戸倉温泉を出発、紅葉真っ盛りの笠科川(かさしながわ)沿いに県道をさかのぼり、坤六峠(こんろくとうげ)方向を左に分けてしばらく進むと紅葉も終わった鳩待峠だ。生憎、雪のちらつく空模様だ。
 鳩待峠から尾瀬の山の鼻へ向かう木道をなだらかに下る。谷筋の中腹の疎林帯につけられた木道を滑らないように注意して下るが数回尻餅だ。最も厄介なのは半分融けた雪の木道を歩く時で、小股でチョコチョコ歩くのがコツだ。ブナやミズナラの森を愛でる余裕もなく、滑らないように緊張しながら1時間も歩くと山の鼻だ。ビジターセンターの寒暖計は木道滑り度最高の融けもせず積もりもしない0℃だ。数軒の建物のある山の鼻から表示に従って枯野の尾瀬ヶ原の木道を進み、至仏山の登り口から樹林帯に入る。笹原林床の針葉樹林帯を丸太階段でしばらく上ると樹林帯を抜け、笹原となり眼下に霞んだ尾瀬ヶ原が広がっている。断続的に木階段や岩肌が露出する道となり、山の鼻と山頂との中間点くらいから風が強くなり始め、山頂に近づくと目も開けていられないような肌を刺す風だ。ミルク状の気体が物体に当たると氷片ができ、衣服を見ているとこれが小さなエビの尻尾に成長していくようだ。風下を向きつつ山肌を登っていると突然山頂だ。山頂には至仏山の山頂石碑と三角点が岩稜上にあり、寒風で顔の感覚がなくなりそうなので早々に下山だ。

  (早朝の鳩待峠から尾瀬へ) (薄雪の木道をなだらかに下る) (ブナやミズナラの森を行く)

(近づく山の鼻ビジターセンター)  (山の鼻から至仏山へ)    (枯野の尾瀬ヶ原を西進)

    (至仏山登り口)       (笹原林床の樹林帯を登る)     (樹林帯を抜ける)

  (歩き難い笹原の丸太階段)  (霞んだ尾瀬ヶ原を振り返る)   (石ころ道の中間点付近)

   (霧氷成長中の道を登る)   (寒風が頬に痛い道を行く)    (烈風の至仏山三角点)


 至仏山頂直下から小至仏山(こしぶつさん)までの岩稜下りが、風も強く最も神経を使った40分間だった。凍りついた岩を掴みながら白くなった踏み跡を探しつつ岩石の間を下り、ハイマツの小高い丘まで来ると小至仏山の標柱だ。ここで、至仏山へ向かっている熟年夫婦に出会ったが悪天候のためここから引き返すそうだ。稜線をしばらく下ると木道が現れ、と同時に風も弱くなりほっとして下った。積雪した木道は静かに歩くと滑ることはない。笠ヶ岳分岐まで下ってきたが、視界もなく降雪も依然続いているので、笠ヶ岳ピストンは中止だ。この辺りの雪が半分融けた状態の木道では注意しても尻餅だ。ここで4、5人の団体がその内の1人の手当てをしている場面に遭遇、木道で滑って手を突いて捻挫だそうだ。雪の木道は注意が必要だ。オヤマ沢を過ぎ、オオシラビソ林の次に笹原にダケカンバが点在する掘れた道を順調に下る。笠ヶ岳分岐から丁度1時間で鳩待峠へ帰り着いた。まだ昼過ぎだが、笠科川沿いの紅葉を愛でつつ尾瀬戸倉温泉ヘ向かった。
 有名すぎる至仏山は登山道も完備し誰でも簡単に登れる山だが、気象が悪化すると2000メートル以上の上越国境に近い山は大変だ。きょうは東京や大阪でも木枯らし1号が吹き、冬装備を怠った今回は難行だった。天気さえ良ければ、湿原に広がる池塘の眺めや山頂からの武尊山(ほたかさん)、上越の山々や日光連山など360度の展望が期待できる筈だ。

    (山頂から岩稜を下る)     (岩稜に成長する氷膜)       (氷結したハイマツ)

(寒さで震え上がった小至仏山)     (稜線を下る)          (木道が現れる)

    (樹林帯の笠ヶ岳分岐)        (オヤマ沢を通過)     (樹林帯をなだらかに下る)

  (薄雪になった笹原林床の道)   (ダケカンバの森を行く)      (やっと鳩待峠に到着)

★道で出会った花(花はなし)

★ルート断面図


★地  図

(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       尾瀬・燧ヶ岳・至仏山
・2万5千分の1地形図  尾瀬ヶ原、至仏山

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