至仏山頂直下から小至仏山(こしぶつさん)までの岩稜下りが、風も強く最も神経を使った40分間だった。凍りついた岩を掴みながら白くなった踏み跡を探しつつ岩石の間を下り、ハイマツの小高い丘まで来ると小至仏山の標柱だ。ここで、至仏山へ向かっている熟年夫婦に出会ったが悪天候のためここから引き返すそうだ。稜線をしばらく下ると木道が現れ、と同時に風も弱くなりほっとして下った。積雪した木道は静かに歩くと滑ることはない。笠ヶ岳分岐まで下ってきたが、視界もなく降雪も依然続いているので、笠ヶ岳ピストンは中止だ。この辺りの雪が半分融けた状態の木道では注意しても尻餅だ。ここで4、5人の団体がその内の1人の手当てをしている場面に遭遇、木道で滑って手を突いて捻挫だそうだ。雪の木道は注意が必要だ。オヤマ沢を過ぎ、オオシラビソ林の次に笹原にダケカンバが点在する掘れた道を順調に下る。笠ヶ岳分岐から丁度1時間で鳩待峠へ帰り着いた。まだ昼過ぎだが、笠科川沿いの紅葉を愛でつつ尾瀬戸倉温泉ヘ向かった。
有名すぎる至仏山は登山道も完備し誰でも簡単に登れる山だが、気象が悪化すると2000メートル以上の上越国境に近い山は大変だ。きょうは東京や大阪でも木枯らし1号が吹き、冬装備を怠った今回は難行だった。天気さえ良ければ、湿原に広がる池塘の眺めや山頂からの武尊山(ほたかさん)、上越の山々や日光連山など360度の展望が期待できる筈だ。
(山頂から岩稜を下る) (岩稜に成長する氷膜)
(氷結したハイマツ)
(寒さで震え上がった小至仏山) (稜線を下る)
(木道が現れる)
(樹林帯の笠ヶ岳分岐)
(オヤマ沢を通過)
(樹林帯をなだらかに下る)
(薄雪になった笹原林床の道) (ダケカンバの森を行く)
(やっと鳩待峠に到着)