前岳(3068m)中岳(3083.2m)

 

★ひとこと   「鳥倉林道から小河内岳、荒川岳を経て赤石岳へ(2)」

小河内岳から望む朝焼けの富士山


★行った日   2013年8月4日(日) 晴後曇 単独

★コース

(2日目)
小河内岳避難小屋4:57→5:00(2801.6m)小河内岳5:04→展望コル6:34→7:19(2646m)板屋岳7:36→8:29高山裏避難小屋8:36→9:03水場9:11→9:53ケルン10:00→道標11:12→12:53(3068m)前岳13:05→13:21(3083.2m)中岳13:29→中岳避難小屋13:34

 2日目は小河内(こごうち)岳から高山裏(たかやまうら)避難小屋を経て荒川中岳までだ。昨日の午後7時頃夕立があったが今朝はすっきり晴れ渡り、雲海にそびえる朝焼けの富士山が素晴らしい。夏山の晴天は午前中だけが恒例なので日の出と共に、黒々と連なる荒川三山や塩見岳を眺めながらご主人に見送られて出発だ。
 蝙蝠(こうもり)岳あたりから昇る朝日を浴び始めた小河内岳山頂に立つと、これからたどる重畳と連なる稜線の彼方に荒川三山や赤石岳の山頂のみ朝日に輝くシルエット、その彼方に南アルプス南部の峰々やさらに西には中央アルプスの山並みが絶景だ。山頂からハイマツ帯の稜線を下ると静かな樹林帯歩きだ。アップダウンを繰り返しながらオオシラビソ林と林床のマルバダケブキが満開のダケンバ林が交互に現れる稜線を進む。やがて、大日影山の南前方に裸地の稜線が現れる、展望コルだ。赤石山から奥茶臼山へ続く稜線が順光に照らされて輝いている。展望コルで景色を楽しんでいると遥か後方からヤッホーの黄色い声、昨夜同宿の長野のご夫婦のP2599付近からの呼びかけだ。こちらも大きく手を振ってエールの交換だ。このコースは半日歩いても数人しか登山者に会わないので人恋しい道だ。展望コルから険しい急な稜線を登ると白い岩のピークだ。岩頭から振り返ると、瀬戸沢をはさんで北側にずんぐりしているが格好の良い小河内岳が鎮座している。しばらく稜線を進むと樹林の中の一通過点、板屋岳だ。板屋岳の少し先に西側が崩壊崖の風衝地の稜線を下る。正面に見える荒川三山や赤石岳の山並みが鮮やかだ。カワラナデシコの揺れる稜線を過ぎ、しばらく樹林帯を下ると花畑の中に赤い屋根が鮮やかな高山裏避難小屋だ。ここは三伏峠と荒川小屋の間にある唯一のテン場だ。小屋ご主人と歓談、帰りに立ち寄ることを約して出発。

 (小河内岳から眺める富士山)  (仙丈ヶ岳(左)と塩見岳(右))(これから歩く重畳と連なる稜線)

 

 (交互に現れるオオシラビソ林) (交互に現れるダケカンバ林)    (大日影山展望コル)

(展望コルから端正な奥茶臼山)(板屋岳から小河内岳を見上げる)(樹林の中の板屋岳山頂)

                (板屋岳付近から南ア南部の山々を望む)

 (崩壊地の風衝稜線をたどる)(風衝地に揺れるカワラナデシコ) (お花畑の高山裏避難小屋)

 オオシラビソの原生林を20分ばかり進むと水場だ。ここから先、荒川小屋近くまで水場はないのでしっかり汲み、しばらく続く水平道をたどり始めた。針葉樹林から広葉樹に変わると共に岩礫の歩き難い道となり、ナナカマドの小枝をかき分けながら鎖場の岩場もある歩き難い道を進むと明るい広場のケルンだ。振り返るとだいぶ小さくなった小河内岳に雲がかかり始め、塩見岳は雲の中だ。ここからカール地形の急坂登りだ。ケルンからハイマツ帯の急坂を頑張り、道標から岩礫帯の急坂だ。この長い急坂で15キロのザックが体力を奪い、10歩登っては息を整え、を繰り返しつつゆっくりゆっくり登る。ガスに覆われた大斜面の上端の稜線に近づくと前岳大崩壊地の縁を登る。年々崩壊が進んでいるようだ。風の強い前岳で小休止、視界のない山頂を後にしてなだらかに下り、赤石岳を右に分け、緩やかに登って中岳を過ぎ、ガスの中をなだらかに下ると中岳避難小屋だ。きょうの宿泊客は6人程度のがらがらで安眠できそうだ。ご主人はしっかりした山男の風格だ。持参の水や食料を消費してザック減量に貢献、強風が吹き荒れ、小雨のぱらつく音を聞きながら暗くなるとともに寝てしまった。
 きょうは静かな樹林がメインのコースだ。時々現れる南アルプスの山並みを楽しみながらあまり高低差のない道を過ぎ、前岳の大斜面で汗を絞り取られるがガスがなければ雄大な景色が望めるはずだ。避難小屋泊まりは静かな山歩きができるが体力が必要だ。

             (崩壊地に立ち並ぶ大日影山から板屋岳へ続く山稜)

  (オオシラビソ原生林を行く)        (水場)             (鎖場もある)

  (急坂の始まりのケルン)         (小木帯を登る)         (道標から岩礫帯を登る)

    (大斜面を振り返る)      (稜線の険しい道を行く)     (大崩壊地の縁を行く)

      (荒川前岳)               (荒川中岳)           (中岳避難小屋)

★道で出会った花(1日目に一括記載)

★ルート断面図


★地  図
(1)小河内岳〜高山裏避難小屋

(2)高山裏避難小屋〜荒川中岳

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図  塩見岳

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