丹沢(たんざわ)山地は関東平野の西南部に盛り上がった山塊で、蛭ヶ岳(ひるがだけ)はこの山地の最高峰だ。今回は主脈上に並ぶ三ノ塔(さんのとう)、塔ノ岳(とうのだけ)、丹沢山、蛭ヶ岳をヤビツ峠から縦走だ。日帰りは無理なので蛭ヶ岳山荘泊まりで、都心の夜景や朝焼けの富士山も視野に入れて、主脈稜線から相模湾、丹沢、箱根や富士の展望を楽しむつもりだ。車中泊のヤビツ峠から車で菩提(ぼだい)峠へ移動、広場に駐車して出発だ。多くの車の間をぬって林道ゲートをまたいで西へ向ったが、途中でGPSをチェックすると林道間違いだ。おまけに足はスニーカーのままだ。寝ぼけにアルツが重なった症状にわれながらあきれながら、登山靴をちゃんと履いて駐車場から北へ上る林道ゲートを越えて再出発だ。なお、ヤビツ峠からはこまめに道標があるが、菩提峠からの登山口標識は見当らないので注意が必要だ。
林道をしばらく進むとヤビツ峠からのルートと合流、登山者カウンターのついた登山口から杉林の小尾根を登り始める。ブロック積みの廃墟を過ぎると灌木帯となり、急坂をウンウン唸りながら頑張る。やがて樹林帯を抜け、見晴しのよい幅広の尾根を登ると二ノ塔だ。西南には箱根山群や富士山が、その間に昨日登った愛鷹(あしたか)山塊がくっきり望めた。振り返ると大山(おおやま)が逆光に霞んでいる。少し下って丸太階段を登り返して戸川からの道を合わせると360度展望の三ノ塔だ。避難小屋もある。現在、山頂付近は整備工事中だ。南には陽光が輝く相模湾、北には塔ノ岳から長々と伸びる大倉尾根と、その向こうに富士山が望める。
(菩提峠) (林道の塔ノ岳登山口)
(ブナ林の丸太階段を登る)
(二ノ塔手前の見晴し尾根を登る) (二ノ塔休憩ベンチ)
(二ノ塔から富士山を望む)
(三ノ塔から富士山方面を望む)
(三ノ塔から大山方面を望む)
三ノ塔から梯子場もある急坂を塔ノ岳を正面に見ながら標高差150メートルほど下り、鞍部から登り返すと烏尾(からすお)山荘の建つ烏尾山だ。烏尾尾根道を合せ、さらに、作治小屋に至る仲尾根道を左に分け、下って登り返すと行者岳だ。岩稜帯を鎖場で下って、登り返すと新大日茶屋のある新大日ピークだ。振り返ると歩いてきた稜線の向こうに大山が立ちふさがり、その彼方に光り輝く駿河湾が雄大だ。次のピークの木ノ又小屋を過ぎて、山頂の建物を見ながら急坂をヒーヒー云いながら登りきると大展望の塔ノ岳だ。山頂で大倉尾根からの道と合流、急に登山者が多くなった感じだ。山頂にはエリアマップの展望図とほぼ同じ山名盤があり、大展望を楽しむことができる。尊仏(そんぶつ)山荘横に水場の表示があるが、水量は未確認。余談だが、山荘の人が持ってきたのか、大きな猫が一匹日光浴をしていたのが印象的だ。
(三ノ峰から急な梯子場を下る) (烏尾山へ登り返す)
(烏尾山休憩ベンチ)
(行者岳) (行者岳から鎖場を下る) (鞍部から急坂を登りかえす)
(新大日手前から振り返る) (新大日休憩ベンチ) (木ノ又小屋)
(塔ノ岳へ向ってもうひと登り)
(塔ノ岳山頂広場) (塔ノ岳の尊仏山荘)
(塔ノ岳から360度の景観)
塔ノ岳から大下りして笹原の稜線を登り返すとナラ枯れの多い落葉樹の点在する美しい日高(ひったか)だ。少し下ってまたまた登り返すと開けた展望台地の竜ヶ馬場(りゅうがばば)だ。しばらく落葉樹点在の美しい笹原尾根を鹿食害防止の金網に沿って進むと丹沢山だ。百名山の標柱がある山頂は側らにみやま山荘の建つ落葉樹の点在するすっきりした広場だ。山頂から丹沢三峰(みつみね)を下る道を右に分け、蛭ヶ岳へ向う急峻な尾根筋を下る。不動ノ峰の牛の背のようなずんぐりした稜線を正面に眺めながらゆっくり下る。ここは僕の好きなポイントの一つだ。不動ノ峰を過ぎ、広葉樹の点在する綺麗な笹原稜線を漫歩だ。棚沢ノ頭で熊木沢を左に分け、正面の蛭ヶ岳に向って笹原の稜線につけられた一筋の線を直進だ。絶景の鬼ヶ岩から鎖場を下って、見た目よりもなだらから稜線を登り返すと蛭ヶ岳山荘の建つ山頂だ。富士山はじめ360度の大展望は云うに及ばず、都心の夜景が素晴らしい。好天に恵まれ、夕暮れの富士山や横浜?の街の灯りを楽しむことができたが、北アの突刺すような星空は見えなかった。
(塔ノ岳から下って上り返す) (日高付近の稜線を行く)
(竜ヶ馬場の展望休憩ベンチ)
(丹沢山へ尾根道を行く) (丹沢山三角点)
(丹沢山のみやま山荘)
(不動ノ峰(左)の稜線を越える) (不動ノ峰休憩舎)
(不動ノ峰ピークを行く)
(蛭ヶ岳へ向って稜線を行く) (棚沢ノ頭へ尾根を登る)
(蛭ヶ岳への最後の上り尾根)
(蛭ヶ岳山頂) (蛭ヶ岳から富士山を望む) (蛭ヶ岳から横浜?方面)
(蛭ヶ岳から西方を望む)
(蛭ヶ岳から東方を望む)
翌朝、日の出とともに刻々と色彩を変える富士山が素晴らしかった。カメラ技術が未熟なため再現ができないが、実際はもっと素晴らしい眺めだ。山荘のご主人曰く、昨夜から今朝にかけて年に数回しかない絶好の日和だったそうだ。昨夜は30人位の宿泊客で1人1枚の布団でぐっすり眠れたが、きょうは晴れの土曜日とあって満員の70人で布団1枚に2人だそうだ。朝日に映える蛭ヶ岳を後にし、澄みわたった朝の山々を楽しみながら丹沢山を経て塔ノ岳まで戻ると大倉尾根からの登山者が続々と着きはじめていた。三ノ塔付近からはヤビツ峠からの登山者で、難所では渋滞だ。お昼に菩提峠に着いたので、お隣の大山を訪れることにしてヤビツ峠へ。駐車場は満杯、何とか車道の広い所に駐車したが、ヤビツ峠付近はサイクリングの人々で大賑わいだ。
絶好の天気に恵まれ、丹沢山塊の主稜線をヤビツ峠から三ノ塔、塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳まで楽しむことができた。特に、はじめて見る赤富士や、丹沢山から蛭ヶ岳に続く笹原稜線漫歩が素晴らしい。深田久弥は丹沢山塊全体を百名山の丹沢山として採り上げているので、最高峰の蛭ヶ岳をその代表とした。
(朝日を浴びる蛭ヶ岳山荘) (朝焼けを過ぎた富士山)
(丹沢山へ尾根道を戻る)
(丹沢山から朝日に映える西方の山々を望む)
(人の居ない丹沢山頂上広場)
(塔ノ岳から富士山を望む) (塔ノ岳山頂)
(塔ノ岳からガレ場を下る) (新大日の休憩ベンチまで戻る)
(三ノ峰へ続く鞍部を行く)
(三ノ峰まで戻る)
(大山を正面に三ノ峰を下る) (相模湾を見ながら稜線を行く)
(樹林帯を下る)
(林道を下る) (菩提峠へ帰着)
★道で出会った花(花は見かけず)
★ルート断面図
★地 図
(2)塔ノ岳〜蛭ヶ岳
(1)菩提峠〜塔ノ岳
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)
(参考地図)
・山と高原地図 丹沢
・2万5千分の1地形図 大山
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