小河内岳(2801.6m)

 

★ひとこと   「鳥倉林道から三伏峠を経て小河内岳へ」

三伏山から荒川、赤石、聖を背景に小河内岳を望む


★行った日   2016年8月8日(月) 晴後曇  単独

★コース
(前日)
高槻13:50(名神、東海北陸道、東海環状道、中央道)=松川IC(県道59、R152、鳥倉林道)=鳥倉林道ゲート駐車場19:29(車中泊)
(第1日)
鳥倉林道ゲート駐車場(17℃)5:17→6:00登山口6:05→7:45休憩7:52→水場8:15→塩川分岐8:52→9:28三伏峠9:49→9:58水場分岐10:27→11:18休憩11:23→11:40(2726m)烏帽子岳11:45→12:05休憩12:18→(2784m)前小河内岳12:53→(2801.6m)小河内岳13:57→小河内岳避難小屋14:05

 南アルプス中央部にある花と展望の爽快な小河内(おごうち)岳だ。鳥倉林道から三伏(さんぷく)峠経由烏帽子(えぼし)岳を経て小河内岳へ向かう計画だ。下山は塩見岳を経て三伏峠経由鳥倉林道へ戻るつもりだ。今まで鳥倉林道利用時は大阪を未明に出発していたが睡眠不足になりがちなので鳥倉林道ゲート駐車場にて車中泊だ。登山時刻のこの駐車場はいつも満車、下手をすると相当手前の第二駐車場利用となるが、下山時刻の過ぎた夕方には空きスペースが多く、トイレや水場完備、あすに備えて静かな雰囲気で睡眠可能だ。往きは名神の一宮JCT手前から事故渋、東海環状道回りで中央道へ、松川IC付近のコンビニで食料調達して暗くなり始めた鳥倉林道で他府県ナンバーの車で8割方埋め尽くされたゲート手前の駐車場に到着だ。
 熱帯夜の大阪と異なり適温にて快眠できた駐車場を出発、2年前にハイランドしらびそから登った300名山の朝日に映える奥茶臼山を南方に懐かしく眺めながら林道を進む。道端の夏草の中にヨツバヒヨドリやオトギリソウなどの草花が途切れない林道を2キロ半ほど、だらだら坂を進むと舗装の切れた先が登山口だ。すぐに急な樹林帯に入り、マルバダケブキが目立ち、所々でセンジュガンビが顔をのぞかせるカラマツ林を登ると支稜線だ。ここからシラビソの自然林をしばらく登ると視界が開けた手摺り道となり、荒川岳に向かう縦走路から西へ突き出た小日影山が南方に望める。マルバダケブキの咲く手摺り道には妖精のようなヤマオダマキが傘を広げていた。豊口山コルを過ぎると稜線の北面をたどる道となり、丸太桟道の多いトリッキーなところもある自然林の道をしばらく進むと水場だ。水場から幾つか桟道を過ぎ、開けた所から伊那谷越しに中央アルプスを眺めたりしながら登ると、現在通行止の塩川コース合流点だ。この辺りで丸い岩峰の塩見岳初見参、さらにシラビソ自然林の道をしばらく登ると三伏峠小屋の建つ三伏峠だ。

  (鳥倉林道ゲートを出発)   (朝日を浴びる300名山奥茶臼山)   (鳥倉林道登山口)

 (マルバダケブキ咲く唐松林)  (支稜線出合からシラビソ林)    (視界の開けた手摺り道)

  (手摺り道から小日影山)  (豊口山コル付近のシラビソ林)     (木製桟道が現れる)

    (6/10付近の水場)          (桟道が続く)      (8/10付近から中央アを望む)

    (通行止の塩川分岐)    (9/10付近で塩見岳初見参)       (三伏峠)

 テントサイトの木陰で小休止しているとヘリの轟音、荷物を運び上げる時の砂塵は想像以上、すぐ森へ逃げ込む。林間の塩見・荒川岳分岐を右折、だらだら坂の樹林帯を下り、お花畑からダケカンバ点在の美しい谷筋を塩見岳を正面に見て水場へ下り、これからの尾根筋は高山裏まで水場はないので2Lの水を汲んでお花畑へ戻る。三伏沢を下って三伏小屋(いまは閉鎖)へ向かう地形図記載の道は分からなかったので、水場から直接本谷山へ向かうルートも自然に返っているようだ。2キロ足しただけで急に重くなったザック(せいぜい15キロ以内)を担いでタカネマツムシソウばかりが咲き誇っているお花畑を金網に沿って登ると稜線だ。突き当たりが三伏ガレの崩壊地で切れ落ちている。南側がガレた稜線を所々で北面のダケカンバ林に逃げながら、トウヤクリンドウやミネウスユキソウの咲く急な尾根道を登る。しかし三伏峠までに体力を消耗した上に2キロの増量は大きく、急坂では数歩歩いては小休止を繰り返すので標準時間の5割り増しだ。足を動かしていればいつかは山頂に着くことを信じて頑張り通すとやっと大展望の烏帽子岳だ。北には鉄かぶとのような岩峰の塩見岳の彼方に仙丈ヶ岳、北岳、間ノ岳(あいのだけ)などが並び、南にはこれから向かう山頂の左に三角屋根を乗っけたなだらかな小河内岳越しに荒川東岳や中岳、赤石岳、兎岳などが望めたが、富士山は雲の中だ。

   (三伏峠小屋と運搬ヘリ)    (塩見・荒川分岐を右へ)      (お花畑の水場分岐)

  (マツマシソウばかりの花畑)  (金網に沿ってお花畑を通る)     (烏帽子岳へ稜線を登る)

  (稜線から三伏峠を振り返る)  (ハイマツ帯の稜線を行く)        (烏帽子岳山頂)

                 (烏帽子岳から360度の景観)

 烏帽子岳からハイマツ帯を下り、三伏ガレから続く西側の崩壊地の上縁を進み、タカネコウリンカやイワインチンなど花の多いハイマツ帯の稜線を登り返すと前小河内岳だ。眼前に緑の絨毯を敷き詰めたようなハイマツで覆われた鈍角三角形の小河内岳が左斜面に避難小屋を乗せてたたずんでいる。この辺りからガスがかかり始め、小河内岳へ登り返したときには周囲は真っ白だ。すぐに山頂直下の避難小屋へ、親切な管理人ご夫婦の出迎えを受け、ほっと一息だ。夕立はなかったが雲は完全に取れることはなく富士山も見えなかったが、夕日に染まる荒川東岳や中岳の山並み、塩見岳は雲の中だが前小河内岳のガレた斜面などが美しい。寝袋やマットは携行品を使い、夕食は小屋のカレーで済ましたのでコンロや食料の重量は減らず。6人宿泊の高所ながら暖かい小屋で熟睡できた。
 小河内岳避難小屋は最高の立地条件のこじんまりした人情味あふれる小屋だ。小河内岳避難小屋周辺は荒川東岳や塩見岳、運がよければ富士山の展望台だ。また、南アルプスを特徴付ける三伏峠へシラビソ林の続く道も魅力的だ。きょうの目算違いは、慣れ親しんだいつもの日帰りザックと異なり、僕の重量制限オーバーに起因する体力の消耗だ。

 (前小河内岳へ稜線を下る)    (西側崩壊稜線を進む)    (前小河内岳から稜線を行く)

 (小河内岳へなだらかに登る)   (ガスった小河内岳山頂)     (山頂直下の避難小屋)

            (避難小屋付近から夕暮れの見えない富士山方面を望む)

  (夕暮れの荒川東岳と中岳)    (夕映えの前小河内岳)   (絶好ロケーションの避難小屋)

★道で出会った花(塩見岳を一括掲載)

  ヨツバヒヨドリ(鳥倉林道)    オトギリソウ?(鳥倉林道)    バイケイソウ(1/10)

   ホタルブクロ(鳥倉林道)       ウド(鳥倉林道)      タカネビランジ(鳥倉林道)

     ?(鳥倉林道)        ミソガワソウ?(1/10)     マルバダケブキ(1/10)

    サワギク(2/10)       オニシモツケ?(3/10)     カニコウモリ(5/10)

    メタカラコウ(5/10)      ダイモンジソウ(6/10)      レイジンソウ(6/10)

    ヤマハハコ(7/10)    タカネマツムシソウ(三伏峠)    オヤマリンドウ(三伏峠)

   ウメバチソウ(三伏峠)      イワオトギリ(三伏峠)    トウヤクリンドウ(烏帽子岳)

  イブキボウフウ(烏帽子岳)   ハクサンフウロ(烏帽子岳)   イワギキョウ(烏帽子岳)

 コバノコゴメグサ(烏帽子岳)   イワツメグサ(烏帽子岳)    ミネウスユキソウ(烏帽子岳)

   イワインチン(烏帽子岳)   タカネコウリンカ(烏帽子岳)   エゾシオガマ(前小河内)

  ミヤマホツツジ(前小河内)   ゴゼンタチバナ(前小河内) イブキジャコウソウ(前小河内)

 ミヤマコウゾリナ(前小河内) ミヤマオトコヨモギ?(前小河内)   イブキトラノオ(前小河内)

 ミヤマダイコンソウ(前小河内)  ヤマトリカブト?(前小河内)  ヨツバシオガマ(前小河内)

  ミヤマミミナグサ(烏帽子岳)    ウサギギク(小河内)       チングルマ(小河内)

   モリアザミ?(前小河内)   ミヤママンネングサ(前小河内) イワギキョウ(烏帽子岳)

  トモエシオガマ(烏帽子岳) ミヤマアキノキリンソウ(本谷山)  タカネナデシコ(本谷山)

    ヤマハハコ(本谷山)     チシマギキョウ(塩見岳)     イワベンケイ(塩見岳)

   タカネツメクサ(塩見岳)     タカネニガナ(塩見岳)     タカネヒゴダイ(塩見岳)

  ミネウスユキソウ(塩見岳)    セリバシオガマ(3/10)    タカネシオガマ(塩見岳)

    イワオウギ(塩見岳)       イワウメ(塩見岳)       イワベンケイ(塩見岳)

  サラシナショウマ(5/10)      キオン?(5/10)        ヤマオダマキ(4/10)

   ヨツバヒヨドリ(2/10)       センジュガンビ(1/10)     ソバナ?(鳥倉林道)

  イブキボウフウ?(鳥倉林道)   キツリフネ(鳥倉林道)     ツリフネソウ(鳥倉林道)


*(備考)1/10は登山口から三伏峠を10分割した1区画目を示す

★ルート断面図

★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図  信濃大河原、塩見岳

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