塩見岳(3046.9m)

 

★ひとこと   「小河内岳から三伏峠経由塩見岳ピストン後鳥倉林道へ」

烏帽子岳から塩見岳を望む


★行った日   2016年8月9日(火)  晴後曇    単独
          2016年8月10日(水) 晴一時曇  単独

★コース
(第2日)
小河内岳避難小屋5:17→(2801.6m)小河内岳5:25→(2784m)前小河内岳6:08→(2726m)烏帽子岳6:55→7:30水場分岐7:40→塩見岳分岐7:47→(2600m)三伏山8:02→8:30三伏コル8:37→9:16(2657.9m)本谷山9:23→10:17本谷山コル付近10:24→塩見新道分岐11:10→11:32塩見小屋12:10→13:42(3046.9m)塩見岳14:00→塩見小屋14:57
(第3日)
塩見小屋5:20→塩見新道分岐5:33→本谷山コル6:06→7:03(2657.9m)本谷山7:09→三伏コル7:28→8:06(2600m)三伏山8:12→8:28三伏峠(三伏小屋)8:40→塩川分岐8:59→9:15水場9:20→9:42休憩9:47→登山口10:45→11:26鳥倉林道ゲート駐車場11:35(鳥倉林道、R152、県道59)=松川清流苑=松川IC(中央道、名神)=高槻

(第2日)
 塩見岳は3000メートル峰の立ち並ぶ南アルプスにあって、その中央部で鉄かぶとのような岩峰が目立つ山だ。小河内(おごうち)岳避難小屋から三伏(さんぷく)峠を経て塩見岳へ登って塩見小屋にて一泊、翌日三伏峠を経て鳥倉林道へ下る計画だ。小河内岳避難小屋は山頂の丘陵上に位置し、屋根を揺るがす昨夜の強風に時々目覚めつつ朝を迎えた。霞んだ富士山を眺めながら蝙蝠(こうもり)岳付近から昇る筈の期待の日の出を待ったが見物もままならず、これから向かう塩見岳はじめ荒川東岳や赤石岳も薄いベールをかぶったままだ。持参の助六で朝食を済まして出発だ。
 小河内岳山頂からハイマツの中に続く一本の線をなだらかに下って登り返すと前小河内岳だ。さらに三伏ガレから続く崩壊地の上縁をたどり、稜線を下って登り返すと烏帽子(えぼし)岳だ。山頂から西へ稜線を下るが、途中から地形図の道が三伏沢へ分岐しているはずだが三伏小屋閉鎖とともに自然に返ったようだ。途中、崩壊地の浸食により稜線から北面のダケカンバ林を数回通ったりしながら稜線を下り、鞍部からお花畑の金網に沿って右へ下ると水場分岐だ。先の避難小屋で1L水を頂いているので水汲みはパス、塩見・荒川分岐から三伏山へ向かう。シラビソ林をちょっと登ると展望抜群の三伏山頂上だ。南に、陽光に映えるいま歩いてきた小河内岳や緑のお花畑が望め、東北にはこれから向かう逆光の塩見岳が黒々と肩をいからせている。ハイマツの稜線を本谷山や権右衛門(ごんえもん)山を正面に眺めながらなだらかに下り、やがてシラビソやダケカンバの樹林帯に入り、三伏コルを過ぎてちょっと登り返すとのぞき岩だ。コルから三伏沢に下る道も分からず、ただ三伏沢幕営禁止の表示があるだけだ。のぞき岩岩頭から、南から西にかけて視界が開け、烏帽子岳から三伏峠小屋を経て鳥倉山へ続く稜線がたおやかに続いている。しばらくタカネコウリンカなど花の豊富な急な草地を登ると樹林に囲まれた小空間の本谷山だ。

(小河内岳から霞んだ富士山)  (前小河内岳から烏帽子岳へ)    (烏帽子岳山頂)

  (烏帽子から三伏峠へ下る)     (お花畑を通る)         (塩見・烏帽子分岐を左へ)

     (三伏山頂上)      (ハイマツの稜線を本谷山へ)     (花畑の斜面を登る)

  (中央ア展望台ののぞき岩)    (シラビソ林尾根を進む)       (本谷山頂上)

 本谷山頂上から西方に、小黒山から黒河(くろかわ)山、二児(ふたご)山へ続く魅力的な稜線が続き、その彼方の伊那谷の向こうに中央アルプスが望める。帰宅後ネットで調べるとこの稜線に登山道はないが縦走された猛者の記録を散見、道のある二児山周辺だけでも秋に歩いてみたいものだ。山頂の「塩見小屋は幕営禁止で冬小屋もなし」の掲示板の横から塩見岳を正面に見て稜線を下る。立ち枯れ林越しに南に小河内岳や荒川岳、東に塩見岳を眺めながら稜線を下り、倒木の多いシラビソの自然林を下ると林間の平地の本谷山コルだ。表示に従って権右衛門山南麓のトラバース路に入り、なだらかに樹林帯を進む。権右衛門沢源頭部を横断すると塩見小屋直下の急登表示があり、標高差200メートルの急登だ。杉島からくる塩見新道(落石通行止)と合流、ハイマツの急な尾根を頑張ると昨年建て替えられた塩見小屋だ。宿泊手続き後、ビールで喉を潤してサブザックで小屋横の稜線に上がり、塩見岳をめざす。

  (本谷山から伊那谷を望む)     (立ち枯れ林尾根を行く)     (針葉樹林帯を進む)

   (塩見小屋の急登表示)     (塩見新道分岐表示)           (急登が続く)

     (塩見小屋到着)    (塩見岳(左)へ尾根を登り始める)  (マーク通りに岩稜を登る)

 昼を過ぎるとガスが湧き出し遠くは雲の彼方だ。天狗岩下方の稜線から、北方の間ノ岳(あいのだけ)に連なる稜線が、そして南方の荒川岳に連なる尾根筋が続く雄大な眺めだ。ハイマツ帯の急坂をジグザグに登り、天狗岩下の岩場の南側をペンキマーク通りに巻いて登る。一旦コルに下り、山頂へ続く急な岩稜に取り付く。岩場の間にチシマギキョウやイワツメグサなどの咲くルートをマークに沿って登ると山頂に向かう緩斜面となり、タカネシオガマやイワウメの咲く稜線を進むと塩見岳西峰だ。すぐ先の岩峰が5メートル高い東峰だが、いずれもガスに覆われて真っ白だ。しばらく待機したが黒雲に覆われてきたので下山開始だ。ガスった稜線を往路通りに下り、大賑わいの塩見小屋に帰り着いた。サブザックで休み休みだが順調に登ることができ、重いザックでの急坂登りがすぐに息があがる主因だ。夕方5時頃にポツリときて6時前から天水利用小屋は大喜びの夕立だ。ほぼ満員の小屋は蒸し暑く、寝苦しい夜を明かし、きょうは嬉しいような悲しいような下山だ。

               (天狗岩下辺から歩いてきた稜線を望む)

     (天狗岩を巻く)       (コルから山頂へ岩稜を登る)  (ペンキマークを頼りに登る)

    (最後の岩場を登る)     (なだらかに稜線を登る)         (塩見岳西峰)

 (西峰より5メートル高い東峰)   (ガスった稜線を戻る)        (塩見小屋へ帰着)

(第3日)
 早朝、小屋前でMTB(マウンテンバイク)の青年と歓談、二軒小屋から蝙蝠(こうもり)岳、塩見岳を経て三伏峠経由鳥倉林道へ下るが、塩見岳の岩峰付近は無論、林道以外は殆どMTBを担いで歩くそうだ。筋肉マンではなくごく普通の青年のファイトと底力に感嘆だ。朝日に映える山頂を背に下山開始、ザックが軽くなったせいもあるが何といっても下り主体の道は楽、最後の展望地の三伏山で小休止だ。景観を楽しみ、三伏山を下り始めたときに登ってくる熟年単独行の女性と談笑、小ぶりのザックながら畑薙(はたなぎ)大吊橋から聖、赤石、荒川を経てきょうは小河内岳避難小屋を出発して6日目、広河原をめざしているそうだ。前述のMTBの青年といい今回の小母さんといい疲れを殆ど見せずかくしゃくとした姿だ。三伏峠小屋前ベンチで食事中のMTBの青年と再会、水場で風の如くMTBさんに追い越されたが、ここでは先に出発、順調に登山口に下り立ち、長い長い林道歩きでゲート前駐車場に帰着だ。この近くに来るといつもお世話になる松川の清流苑で汗を流すとともにエネルギーを補充して順調に帰阪した。
 三伏峠から烏帽子岳を経て小河内岳に続く稜線は、荒川岳や赤石岳、塩見岳を周囲に眺めながらハイマツの中の一本道を歩く2700メートル内外の快適稜線だ。10年ぶりの塩見岳だが過去の記憶は一切なく北アルプスのような岩稜登りを楽しむことができた。今回の山行では素晴らしい人々に出会って元気をもらった。体力が減退するのは仕方がないが自分に見合った山へいつかは山頂に着くことを信じ、わずかづつでも一歩一歩着実に登っていきたいものだ。

(朝日を浴びる山頂を背に下山)   (立ち枯れ林を下る)        (本谷山を通過)

   (花畑を三伏山へ下る)     (三伏コルを三伏山へ)        (三伏山頂上)

                  (三伏山から360度の展望)

    (三伏小屋)             (シラビソ林を下る)        (手摺り道を下る)

    (カラマツ林を下る)         (鳥倉林道登山口)      (やっと林道ゲート到着)

★道で出会った花(小河内岳に一括掲載)

★ルート断面図
(1)小河内岳避難小屋〜塩見小屋

(2)塩見小屋〜鳥倉林道

★地  図

 (備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       塩見・赤石・聖岳
・2万5千分の1地形図  信濃大河原、塩見岳



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