三沢岳(2846.5m)


★ひとこと   「夏の残り花を求めて千畳敷カールから展望の稜線で三沢岳」

端正な三沢岳
   
★行った日   2019年8月25日(日)  晴一時曇   単独
          2019年8月26日(月)  晴一時曇   単独
 
★コース

(8月25日)
高槻12:08(名神、中央道)=松川IC(県道15、R153)=16:38道の駅田切の里
(8月26日)
道の駅田切の里(20℃)5:45(R153、県道75)=6:07菅の台バスセンタP7:01=しらび平駅(ロープウエイ)千畳敷駅8:00→極楽平8:50→三沢岳分岐9:05→9:15大岩9:23→11:22(2846.5m)三沢岳(昼食)12:10→三沢岳分岐14:28→14:34極楽平14:43→15:15千畳敷駅15:30(ロープウエイ)しらび平駅=16:17菅の台バスセンタP16:33(県道75、地方道)=清流苑(県道15)=松川IC(中央道、名神)=高槻0:15

 今年の8月は連日の酷暑についで秋雨前線が停滞、来週も傘マークが連なっているのでこの数日の晴れ間は貴重な山日和だ。関西から最も近くで高山の雰囲気の味わえる中央アルプスだ。中でも大賑わいの木曽駒ヶ岳の主稜線から外れて位置し、花と展望の静かな三沢(さんのさわ)岳だ。ロープウエイ利用で初心者でもアクセスできるルートだ。4年前に訪れたときには駒ヶ岳SAにて車中泊したが大型トラックの騒音に悩まされたので今回は道の駅だ。駒ヶ根周辺には「道の駅花の里いいじま」と「道の駅田切の里」が何れもコンビニに隣接してあり、松川や飯島周辺をグルメを求めて徘徊後、田切の里で満天の星空の下で熟睡だ。朝日に輝き始めた木曽駒ヶ岳の山稜を眺めながら車を走らせ、朝早くから50〜60%埋まった菅の台バスセンター駐車場に到着だ。平日とはいえ貴重な晴れ間の登山日和に大勢の人々とともに切符売り場に行列、定刻より早い臨時バスに滑り込む。バスは山岳道路を大田切川沿いに遡り、豪快に流れ落ちる谷筋(中御所谷?)を桧尾橋で渡り、北御所登山口で一人の登山者を降ろしてしばらく進むとしらび平、始発臨時ロープウエイだ。逆光に目を細めて、連瀑の谷を足下に、雲の彼方に南アを眺めつつ7分で千畳敷駅到着だ。左に宝剣岳、右に伊那前岳に連なる山稜が青空をくっきり切り取り、岩稜の下に続く緑のハイマツ原が広がるカール地形は、いつ見ても迫力十分だ。
 駒ヶ岳神社に手を合わせてハイマツの道を歩き出す。ハイマツの切れ目に群生するホソバノヤマハハコや茶髪の巻き毛を揺らしているチングルマなどが足元を飾っている。振り返ると伊那前岳の山並みを背景に緑の斜面が美しく、ピストン運転のロープウエイの発車を知らせる音声が響き渡っている。この辺りは花の宝庫だが、ハクサンイチゲやシナノキンバイなど派手な草花は終わり、ウサギギクやヨツバシオガマなどが咲き残っている程度だ。始点から稜線まで標高差200メートル程度だが、息が切れて丸太階段をフーフー言いながら休み休み上る。小一時間頑張ると一気に西側の視界が開け、稜線出合の極楽平だ。東を振り返るとガスったカール地形がぼーっと見えるだけで南アの山並みは霞の彼方だ。空木岳方面を左に分け、右の木曽駒ヶ岳方向へ主稜線のだらだら坂をしばらく登る。左に端正な三沢岳、その右の彼方に雲をまとった御嶽山を眺めながらハイマツ帯の稜線を進むと三沢岳分岐ピークだ。

     (道の駅田切の里)   (菅の台バスセンター切符売り場)  (ロープウエイ(復路))

  (お馴染みの千畳敷カール)  (駒ヶ岳神社に挨拶して出発)    (ハイマツの登山道へ)


 (群生するホソバノヤマハハコ)   (茶髪を揺らすチングルマ) (カールを振り返ると伊那前岳)

   (丸太階段を登り続ける)   (湿地に点在するウメバチソウ)  (咲き残りのヨツバシオガマ)

    (稜線出合の極楽平)      (稜線を宝剣岳方向へ)   (西に三沢岳を見ながら進む)

               (三沢岳分岐付近から西方を望む)

 目の前に宝剣岳の岩峰がそそり立ち、南には雲間から空木岳が頭をのぞかせ、安平路山や恵那山まで木曽山脈の峰々が姿を見せている。ここで主稜線と別れて三沢岳へハイマツの茂る支稜線を下る。順光に輝く三沢岳は近くに見えるが、見た目より遠くしんどい稜線歩きだ。ちょっとした岩場もあるハイマツ帯を下り、最低鞍部から急登すると展望岩場だ。西北に霞んで見える木曽谷の集落や殆んど雲に覆われた御嶽山が望める。一旦下ってゴゼンタチバナの咲き残るロープ場の岩場を疲れた身体に鞭打ってよじ登る。東を振り返ると、下って来た支稜線を中心に左の木曽駒ヶ岳から続く主稜線が屏風のように立ちふさがっている。ケルン横を通り、ハイマツ帯を登りつめると山頂下の草原、お花畑だ。実をつけたコバイケイソウやアキノキリンソウの残り花が咲いているだけの夏の花の季節が終わった風景だ。山頂は巨岩を敷きつめたようなハイマツの小さな台地だ。

(分岐の先にそそり立つ宝剣岳)(分岐からハイマツ尾根を下る)  (雲間にのぞく空木岳)

(近くて遠い三沢岳めざして下る)   (右手に見える御嶽山)   (最低鞍部手前のピークへ)

 (展望岩頭から木曽谷を望む)  (岩場から尾根を振り返る)  (岩場下のゴゼンタチバナ群生)


 (岩の隙間のダイモンジソウ)        (台地のケルン)      (山頂手前の草原を往く)

(唯一派手に咲くカンチコウゾリナ)    (もうすぐ山頂)          (三沢岳三角点)

 三沢岳三角点から360度の大展望のはずだが午後からガスが湧き立ち、東の主稜線が望めるが、西方の木曽谷を介して阿寺山系の峰々、御嶽山や乗鞍岳なども想像するだけだ。山頂で昼食、スマホで見えない山々の山座同定で時間つぶしと疲労回復だ。大休止後、往路を下り始めるが下りは楽だ。最低鞍部からの上り返しは辛く、休み休み標準の倍ほど時間をかけてやっと稜線までたどり着いた。あとは下りだけなので草花を接写しつつ、急に増えた登山者と共にゆっくり下って駒ケ岳神社に下山の挨拶をし、ロープウエイ千畳敷駅だ。上伊那へくると恒例の清流苑で汗を流し腹ごしらえをして、高速の深夜料金に合うように帰阪した。
 ロープウエイ利用で、容易に高山の草花に出会え、展望の尾根歩きができるのが本コースのうりだ。ただし花の最盛期には約1ヶ月遅過ぎたようだ。三ノ峰と比べて累積標高も低く沿面距離も短く、楽勝と考えていたが、三ノ峰よりしんどい山行だった。これは体の調子にもよるが、歩いた標高が三ノ峰より千米ほど高かったのが要因と推定、体力のあるときは殆んど影響を受けないが衰えてくると千米当り約10%の酸素濃度減少の差が影響するものと思われる。

               (三沢岳から東方の山稜(縦走路)を望む)

   (山頂から下り始める)    (ガスったケルンを通過)       (岩場を下る)


    (展望岩頭への上り)  (しんどいハイマツ尾根を登り続ける) (宝剣岳も見えない分岐)

  (極楽平からカールへ)      (花を撮りながら下る)      (イワオトギリのアップ)


    (イワツメグサのアップ)     (向日葵のようなウサギギク)    (神社に下山の挨拶)

★道で出会った花

 ホソバノヤマハハコ(カール)   クロトウヒレン(カール)       シャク?(カール)

   ミヤマリンドウ(カール)      ウメバチソウ(カール)     ミヤマホツツジ(カール)

   チングルマ(カール)         イタドリ(カール)        ウサギギク(カール)

   モミジカラマツ(カール)      イワツメグサ(カール)     ヨツバシオガマ(カール)

   ゴゼンタチバナ(岩場)      ダイモンジソウ(岩場)   ミヤマアキノキリンソウ(三沢岳)

   イブキトラノオ(三沢岳)    コバイケイソウ(三沢岳)     カンチコウゾリナ(三沢岳)

     ?(三沢岳)         オヤマリンドウ(三沢岳)     イワオトギリ(三沢岳)

     ナナカマド(稜線)       トウヤクリンドウ(稜線)     コマウスユキソウ(稜線)

★ルート断面図


★地  図
 
(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       中央アルプス・木曽駒・空木岳
・2万5千分の1地形図  木曽駒ヶ岳

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