釣瓶岳(1098m)


★ひとこと   「栃尾からコメカイ道で重い新雪に苦労して絶景尾根の釣瓶岳」

釣瓶岳山頂

★行った日   2022年2月26日(土)  晴   単独
 
★コース

高槻5:25(名神)=京都東IC(湖西道路、県道311、R477、R367)=6:50栃尾橋西詰P(-2℃)7:07→栃尾登山口7:12→8:00P449(SS着)8:13→地蔵峠分岐8:47→9:04休憩9:14→10:18ササ峠分岐10:30→11:39イクワタ峠北峰11:45→13:03(1098m)釣瓶岳(昼食)13:40→イクワタ峠北峰14:21→14:48ササ峠分岐14:56→地蔵峠分岐15:29→15:43P449 15:53→16:08林道出合(SS脱)16:14→栃尾登山口16:22→16:25栃尾橋西詰P16:47(R367、R477、湖西道路)=京都東IC(名神)=高槻18:44

 今冬のさしもの寒気も2月末ともなると息切れしてきたようだ。きょうあたりから大阪でも最高気温が10℃を上回り、ほどなく雪山も厳しい冬山から木の幹回りにポットホールのできる春山へ衣替えだ。今年3回目のスノーシュー(SS)漫歩は、結果的には厳しい重い新雪に悩まされたが、急坂のないSS向きの展望尾根歩きのできる栃尾のコメカイ道から登る釣瓶岳だ。西の空にかかる明けの明星の金星と細い三日月に見送られて出発、ひと頃より夜明けも早くなり、湖西道路の高架橋から黎明に浮かぶ三上山を横目に、正面に白峰の蓬莱山に輝くびわ湖バレイの灯を眺めつつ北上、雪壁はあるが路面凍結のない途中峠を経て、安曇川沿いに北上、栃尾橋西詰の除雪された拡幅部に路駐だ。きょうのルートは急坂もなく、気温もあまり低くないのでチェーンスパイクだけを持ち、SSをザックに括り付けて重い冬靴で出発だ。
 栃尾橋で安曇川右岸に渡り、水地蔵に手を合わせて隣接のコメカイ道栃尾登山口から薄雪の林道に入る。一軒家の手前の道標通りに雪の積みあがった山道に入り、先行者の足跡を辿る。すぐに工事中の新設林道に出合い、迂回路の指示通りに山道に入り、植林帯の斜面をジグザグに進む。先行者はワカンの2人連れだけ、山頂までこのトレースのお世話になる。植林帯を抜けてP499の尾根に上がると自然林主体の尾根道となり、先行者のワカンの跡といえどもツボ足では度々踏み抜くのでSSを履く。この辺りから山陰を脱して日が差し始め、まだポットホールのできない斜光に映える樹林帯を進む。地蔵峠分岐では道標が撤去され、トラロープで閉鎖されている。しばらく進むと倒木帯の明るい空間だ。北には武奈ヶ岳や釣瓶岳の山頂が稜線越しに、西南には鎌倉山から北へ続く山並みが梢越しに望めた。この辺りから勾配は緩くなるが積雪が深くなり、20p位沈む上にフレームに乗った雪が重く体力弱者にとって艱難辛苦だ。ワカンで掘り返した跡は歩き難く、どこで退却しようかと考えながらノントレ雪面を一歩づつゆっくり進み、ササ峠分岐で倒木に腰かけてへたり込む。ここもササ峠の表示はなく、撤去されたようだ。

    (栃尾橋を渡る)        (登山口手前の水地蔵)     (コメカイ道の栃尾登山口)

   (林道から雪の山道へ)  (林道出合から迂回路の山道へ)  (植林帯の山道を登る)

   (急坂をジグザグに登る)      (P449でSS着)         (V溝の山道を行く)

 (閉鎖されている地蔵峠分岐)  (自然林の尾根道を進む)  (倒木帯から武奈ヶ岳と釣瓶岳)

    (赤松林を行く)        (重いトレースを振り返る)    (ササ峠分岐で小休止)


 ササ峠分岐から尾根の様子ががらっと変わり、幅広尾根に広葉落葉樹の疎林が続く美しい雪原だ。雪面に伸びる樹木の影を楽しみながらゆっくり登る。先行者のワカン跡は力強く掘り返されているのに対し、悪いことにSSの下面が雪の団子になり、超重量級の足枷を時々払いながら歩くので疲れることおびただしい。今まで湿雪の経験はあるけれどもSS団子は初めてだ。海抜800〜900mにかけてだけの現象だったので、微妙な雪の温度、湿り気や空気含有量などが影響しているようだが確証はない。高度が上がるに従って左に蛇谷ヶ峰が姿を現し、右に武奈ヶ岳や蛇谷ヶ峰が頭をだし、正面には曲線美の雪面が青空に向かって伸びている姿が素晴らしい。出発して4時間半かかってやっとイクワタ峠北峰にたどり着いた。無雪期標準時間が2時間強の所2年前は3時間だったので、体力の弱体化もあるけれども雪質の悪さのためと自分を慰めている。疲れを補って余るほどピークからの展望は素晴らしく、びわ湖や江越国境の山々は霞の中だが、北には白い稜線の先に蛇谷ヶ峰、南には波打つ雪庇を乗せた北尾根の先に釣瓶岳、などが雄大だ。一旦ピークから下って雪庇の北尾根を登る。風紋の吹き溜まり部などにはままり込まないように注意が必要だ。標高1000m付近からは、時計回りに西から東にかけて視界が開け、若狭湾や湖北の山並みは霞の彼方だが、主稜線に続く蛇谷ヶ峰を中心として江越の山々や高島平?の安曇川の扇状地の地形が望める。

 (美しい広葉樹尾根を登る)  (先行のワカン2人のトレース)  (ブナ疎林帯尾根を登る)

 (尾根から蛇谷ヶ峰初見参)    (曲線美の雪原を登る)   (イクワタ峠北峰から蛇谷ヶ峰)

                  (イクワタ峠北峰から東方を望む)

  (釣瓶岳の雪庇の北尾根)      (北尾根を登る)       (雪庇尾根から振り返る)

               (北尾根の標高1000m地点から北方を望む)

 標高1000mでアラ谷右尾根ルートを合わせて綿帽子をかぶった針葉樹を眺めながら斜面を頑張り、千手観音のような大ブナを過ぎると杉の大樹に囲まれた釣瓶岳山頂だ。道標の行先表示板が頭を出しているだけで山名表示板は多分雪の下だ。展望の良い雪面をSSでならして座り込み、陽光を浴びて定番昼食、絶景の雪景色を眺めながら食べるのは最高だ。下山は快適、雪の回廊を前面に眺めながら重力に任せて下る。北峰手前できょう初めての登山者出合、同じルートで武奈ヶ岳までピストンしたワカン2人連れの登山者だ。トレース利用のお礼をいいながら歓談、さっさと先に下って行かれた。イクワタ峠北峰から所々で生気みなぎるヤドリギの点在する落葉樹疎林帯の雪原を下るとササ峠分岐だ。往路と同じ倒木で小休止、あとは順調に下って工事中の林道出合でSSを脱ぎ、上り6時間もかかったが3時間で下山できた。
 終日陽の光に恵まれて最高の雪山を楽しむことができた。今年は例年に比べて積雪が多く、重い新雪にたたられて、先行者のトレースを利用したにもかかわらず、疲労困憊してやっと山頂にたどり着いた。雪の釣瓶岳はこれが最後かもしれない。

  (風の乱れか荒れた風紋)   (釣瓶岳山頂はもうすぐ)      (稜線横の綿帽子)

   (山頂下の最後の雪庇)       (山頂下の大ブナ)         (釣瓶岳山頂)

   (巨樹に囲まれた山頂)      (稜線を戻り始める)     (SSに快適な下りスロープ)

    (展望尾根を下る)      (展望尾根から霞びわ湖)    (イクワタ峠北峰を下る)

   (生気溢れるヤドリギ)      (ササ峠分岐で小休止)     (枯死した赤松林を行く)

    (林道出合でSS脱)       (栃尾登山口帰着)        (栃尾橋へ戻る)



★道で出会った花(花はなし)

★ルート断面図


★地  図

(備考)この地図および断面図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第90号)

(参考地図)
・山と高原地図       比良山系・武奈ヶ岳
・2万5千分の1地形図  北小松

 

Homeへ